第四話
翌朝、予想外にスッキリと目覚めていた
昨日見つけた羽はまだ外に放っておいたままだったのを思い出し窓を勢い良く開ける。
それと同時に風に吹かれて乱れていた寝癖だらけの髪が余計に乱れてしまう。
「早朝からこれかよ…にしてもキツイ風だったな」
独り言のように呟き落ちている羽に手を伸ばす。
守が羽に触れた瞬間、嫌な感じに襲われた。
……何かがくる…?
ふッと思い見える限り周りを見わたしてキョロキョロとする。
だが全く何も見えないし、何かが来る様子も見えない。
「気のせい…か…?」
9階から見渡す光景に少しばかり目を奪われるがすぐ我に戻って窓を閉じる。
だが、先程の事が気になってしまう守
あんな事これまで生きてきて初めての事だった。
何かに恐れて何かに怯えて体を震わせて冷や汗が流れ落ちるなんて…
いや……初めてなんかじゃない…。
「そうだ、この感覚……あの時と同じだ」
あの時だ…この目で天使を見たときと同じ感覚。
恐怖で体の震えが止まらなくて男のくせに泣きそうになって。
今思い出しただけでも体が震えだす。
俺から【普通】という言葉を消し去った俺の中の大事件
誰も知らない俺だけが知っている出来事
天使というものが怖くなった瞬間
悪魔というものを愛しく思えた日
天使なんて見掛け倒しだと思えた。
神様、俺は愚かなのでしょうか?
次の話は守の過去についての話です。