第三話
其れから自分の部屋に戻り残り時間72時間という期間でテストを作成し始めた。
一年生の問題だからいたって簡単、ウチの高校は公立でレベルも別に高いっていうわけでもなく極一般的な普通の高校。
滑り込みである程度の知識さえあれば入れるとウチの高校は有名だったため生徒数が異常なまでに多いのだ。
今は少人数で授業をする学校が多いらしく、生徒の保護者がウチ(高校)でも少人数にして欲しいと言われたのだ…だったら…
だったら子供を他の学校に入学させろよ。
と思いながらそばで聞いていたのを思い出して一人微かな笑みを浮べる。
ふと窓際を見ていると一枚の羽が落ちていた。
「…黒い羽…?」
拾い上げ近くで見てみる、すると何故か頭の中が真っ白になった。
そして思い浮かぶのは学生時代に見てしまった忌々しい光景。
空を必死に飛んでいく二人の翼を持つものと、それを追いかけるもの。
何でこの光景が頭の中に??
俺は一体どうすればイイのだ??
そして閉ざしていた記憶から抱えられていた黒い翼の少年の瞳思い出す。
幼い頃は俺にも自傷癖と似たような癖の持ち主で瞳を見ただけでコイツが自分と同類だと分かった。
俺は何とか今は隠しながら暮らしている、学校にも袖まである服しか着ないようにしているし今のところ知っているのは親友のアイツだけ。
知っていても俺に普通に慕ってくれるから俺は離れずにすんだ、まさかライバルと宣言され今まで競ってきたのだから。
思い出に流されていたら何時の間にか目の前には一枚の羽のみになっていた。
それにしても黒い羽なんて…カラスなんかが近くに出るなんて聞いても居ないし…。
ってか、カラスにしては羽が綺麗だ。
まるで…昔、俺が拾った羽のように綺麗だった。
「まさか…あの時の…??」
でも、アレ以来そいつ等の姿なんて一度も見ていない。
「まさか…な…」
そう思う…いや、無理矢理そう思って忘れようとした。
そして部屋の奥へと進んで行く。
そして、今日の一日が終わった。