第二話
其れから10分程度、車を走らせると光との待ち合わせ場所の駐車場についた。
守が車から降りると真っ先に目にしたのが怒りに満ち溢れた笑みを浮べる光だった。
「よ、よぉ…遅れてゴメン」
「本当だ、罰として今度何かを奢れ」
「何時も何かと奢らせていただいているんですが…まぁイイや、其れで宜しく」
光は俺の幼馴染兼親友で高校時代まで一緒に馬鹿をやっていた仲だ。
何故か3年の時に夢、というか将来やりたいことが一致した。
だからお互いに頑張ろうと誓い合い相棒のように別れを惜しみ別々の学校で教師を目指した。
その結果、別れて今年の新任教師での初めての学校が偶然にも同じ学校だっのだ。
それから野球部の顧問である石塚拓海がユニフォームを着て上にジャージを羽織って二人の前に現れた。
「秋野先生!!」
「あ、石塚先生♪」
「遅いですよ、生徒達が待ちくたびれてしまいましたよ」
「スミマセン、ちょっと昨晩にはずせない用事で遅くまで起きてたものでして…」
「はッ、どうだか」
「おいおい、親友を疑うのか??俺はこんなにも光のことを信頼して大切な大切な…数千万もする車を貸すんだぜ?」
ワザとらしく大声でいうと野球部の生徒兼選手が集まってきた。
どうやら高い車が珍しいらしい、可愛いものだ。
でも、傷をつけられちゃ堪らない。
「ほらほら、さっきのは嘘だから離れろ」
「え〜嘘なのかよ、秋野先生の嘘吐き〜」
「五月蝿い、貸してもらうだけ有りがたく思え」
そういってから野球部のマネージャである女生徒を呼び荷物をつませた。
準備が整えられると光が守へと近づいてくる。
「んじゃ、8時までには連絡して返すから起きとけよな」
「いくら眠いからって、んな早くになんか寝たりしねぇよ」
「そっか…ところで守…最近疲れているのか??」
「はぁ?…んな訳ねぇだろ、ほら生徒達が待ってるぜ…試合、勝ってこいよな♪」
光に伝えると守は何も言わずに何も聞かずに自宅マンションへと向かって行った。