第一話
日曜日の朝、
目の前には真っ白な天井と下には少し硬いベッドの布団が感じられた。
いつもどおりに目が覚めて深く深呼吸をする。
体はいつもより汗ばんでいて気持ち悪い。
「またかよ…コレで5度目だ…」
中学生の時の夢を見た。
今でも自分の記憶を疑うように俺自身は、あの光景を信じていない。
其れでも手元に残った証拠品を大切に保管している、矛盾な自分。
「10年経ったっていうのに…しつこい夢だ」
頭を抱えながら悩んでいる男性、
彼が高校教師の秋野守今年で24歳。
生徒の見本とならなければならないため髪は普通に黒く眼も黒い、いわゆる双黒。
「眠い……えっと8時か……」
デジタル時計を覗き込みながら呟くと傍に置いておいた携帯が無音で光っているのに気付いた。
誰からだ?と思いながら画面を見てみると…
【大川光】
「光から?…しかも電話だし…」
渋々といった感じに通話ボタンを押す。
『さッッさと出て来ぉぉい!!!』
携帯から零れるくらいの大声に守は驚き慌てて耳を塞ぐ。
其れでも電話の向こうから光の声が聞こえてくる。
嫌々だったが守は電話を耳に向けてから一言、
「何処に??」
『外に決まってるだろぉがぁ!!』
「あっそ…ってか、五月蝿いから静かにしてくれないか??」
『して欲しかったら約束ぐらい守れ!!』
約束??
えっと…約束って………あ!!
「車を貸すって約束だっけ??」
『そうだよ!!俺が野球部の副顧問だから車が必要だって昨日言っただろ?!』
「今思い出した」
守が欠伸をしながら答えると光が更に苛立ち始めた。
其れに気付いた守はベッドから立ち上がり着替えていく。
「今から外に行くから…待ち合わせって何処だっけ??」
『それも忘れたのかよ…お前ン家の近くにある噴水広場の駐車場だろ?』
「あ…そうだった」
玄関に向かっていき車の鍵をジーパンのポケットにしまう。
外に出てから少し邪魔な前髪をかきあげる仕草をする、それを見ていたのか若い女性が見惚れていた。
自分を見ていると気付いた守は女性に微笑みかけてから
「お早う御座います」
「お、お早う御座います!」
その様子が可愛く思えたのかニッコリと微笑んでから手を振り、そのままエレベーターに向かっていく。
なんたって、ここは9階なんですから。
「さっさと行かないと光に怒鳴られる」
いや…もう怒鳴られてたけどさ…気にせずに!
其れから地下に向かい光との待ち合わせ場所に向かっていった。