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第10話 ギガース(1)

なんでこうなった?


俺たちはサウスランド共和国の南部、グラナダへ撤退中である。


サウスランド共和国とレックス連邦共和国との共同による機人最大の街ジブラルタルの攻略に俺たちは参加していた。

そして、アヴェルアーカのヘルハウンドも破壊され、俺のヘルハウンドに乗せて絶賛、逃亡中である。

くそっ、またホークアイがレーザーを撃ってきやがった。バレットで撃ち落とす。


話は、3ヶ月前に戻る。


ネロディの酒場で俺は、アヴェルアーカと飲んでいた。


「まだ、ギガースと戦ってないんだけどやつはどこにいるんだ?」


「いるところなら知ってるわよ、ジブラルタルね」


そう、あの有名な要塞ジブラルタルだ。


「うちの傭兵団は行かないぞ、最近はうまくやってるんだ。スンツバルの二の舞は御免だ」


ボルベルクはあの後、護衛任務を繰り返し、さらに武装獣を2機増やしたそうだ。ガトリングウルフだ。


「あそこはマジでヤバいんだよ、お前たちもやめたほうがいいぞ」


「でもレックスとサウスランドの軍隊が南に動いてるって噂は聞いてるわ、あそこを抑えられると地中海が抑えられたのと同じなのよ」


「モスコーヴィアは動かないのか?」


「あそこは、年中、スカンジナビアで戦闘中よ、他に兵を回す余裕はないわね」


俺とアヴェルアーカは、あの寒いスカンジナビアで戦闘するのは嫌なので参加してない。北にあるラッピなんて北極圏だ。

モスコーヴィアには寒いという印象しか残ってない。それに今は冬だ。

モスコーヴィア製の武装獣は暖房完備だそうだが、俺のフェンリルにはそんなのは付いてないし付ける気もない。


寒いなら暖かい所に行けばいい。サウスランドなら暖かいだろう。


俺とアヴェルアーカは、とりあえずサウスランド最南端の拠点、グラナダに向かった。


グラナダは騒ぎになっていた。2つの国の軍隊が集結中なのだ。


まず、情報を集めてみた。戦争開始は1ヶ月後だということ。


ギガースの大きさも分かった。その高さは500mに達するというのだ。ドラゴンでさえ250mだったのだ。

ちなみにジャイアントの高さは100mだ。


さらに、ギガースはマザーシップのように飛行機人ホークアイを吐き出しまくるのだ。タチが悪すぎる。


俺たちのキャノン砲では500mという高さでは威力を発揮できない。さらにギガースの防御力は非常に高いのだ。

全可動式の高威力なスナイパーキャノン砲が必要だ。


そこでフェンリルよりも大型のヘルハウンドという武装獣を買うことになった。

機動力を重視した対巨大機人向けの武装獣だ。その値段は武装獣としては高価なフェンリルのさらに4倍だ。

サウスランドの戦争で儲けた分とそれまで稼いだ分を合わせれば十分買える金額だった。

だが、今回の戦いに参加するという条件で半額にして貰えるというのだ。

これほどうまい話はない。俺たちはその条件を飲んだ。


ヘルハウンドは、機動力をあげるために4機の高性能な魔導機関を積んでおり、可動式ヘヴィスナイパーキャノン砲を2門搭載している。両肩には可動式のキャノン砲が2門だ。

防御力としては魔導機関による物理防御魔法シールドを4つまで並行展開可能だ。これは常時展開できない。攻撃を予測して展開する。

ヘルハウンドは対ギガース用として開発された武装獣なのだ。


高価な買い物だったが、ギガースとの戦いには必要なものだ。


ギガースの攻撃は炎の爆発弾だ。その威力はブラストに匹敵する。ドラゴンの炎の弾よりタチが悪い。

シールドを張りまくる必要がある。ヘルハウンドなら自分で魔法を発動するより効率的にシールドを展開できる。

まさにうってつけの機体なのだ。


まず、試運転をしてみた。大きさに見合わない速度と俊敏さだ。だてに4機も魔導機関を積んでない。それも高出力型だ。フェンリルと比べても申し分ない。

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