第9話 スンツバルまでの護衛
俺たちは、ネロディの街に戻って次のクエストを探していた。
できれば、討伐系がいいな。
そこでボルベルクに会った。
「ここだとなんだから、まあ、酒場に行こうぜ」
どうやら、俺達に用があるらしい。まあ、だいたい用件は分かるんだが。
要するに、戦力が足りなくなったので手伝って欲しいようだ。
あれから中古で2機のガトリングウルフを手に入れたらしいが、それだけでは足りないようだ。
サウスランドが戦線で大破して置いていった武装獣を修理して大量に売りだしたらしい。それで安く買えたそうだ。
1機がアサルトウルフで、4機がガトリングウルフ、2両がネオレオパルドという戦力だ。質より量を優先して戦力を補充したようだ。
スコーピオンや武装獣を相手にするならアサルトウルフよりガトリングウルフの方が強力な気もするが、ジャイアント以上の機人ならやはり、アサルトウルフってところだろう。
どうも、今回は要人警護ってやつらしい。
よくあるパターンで狙われていたりするんか?どうもそこらへんが分からない。
目的地はモスコーヴィヤ連邦共和国のスンツバルだそうだ。
モスコーヴィヤは東欧、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、西ロシア周辺を合わせたような大国だ。
ここも機人との戦闘をしている。機人はスカンジナビア半島南部を支配して拡大を狙っている。
スンツバルはその最前線の街だ。ここに行くまでには機人との戦闘が想定される。それで助けを求めてきたようだ。
大国の要人なだけあって報酬は武装獣が買える値段を提供するとうのも胡散臭い。それも2機だ。
空飛ぶ機人、ホークアイがいるので航路はない、陸路を行くしかないようだ。
俺たちは2台の補給車を加えて出発した。
意外とやっかいなことに気づいた。最短距離ということで海沿いを旅をしているため、機人に遭遇するのだ。
イングランドかスカンジナビア半島からマザーシップを出してると思われる。これで武装獣2機は安すぎないか?
今は、東欧のリトアニアがあったところまで来ている。
既に、4度機人の群れを突破しているのだ。先に進むにつれてスカンジナビアが近づく。さらに遭遇することになるだろう。
絶対、ボルベルクは騙されたな、実際に苦い顔をしている。傭兵団の武装獣は軽症で済んで簡単な修理をして進んでいるが、そのうち脱落するのが出てきそうだ。バルト地帯を抜けるところに奴らがいた。スコーピオンとジャイアント3体だ。
俺とアヴェルアーカは武装獣をジャイアントに向けて走らせている。露払いはガトリングウルフに任せた。
スコーピオンを駆逐するにはガトリングウルフの方が向いているのだ。
早く倒さないと傭兵団に被害が出てしまう。ギガバレットを使うことにした。俺が2体を相手にして、アヴェルアーカが1体に徹甲榴弾を撃ちこんでいく。2人での戦いも慣れてきた。阿吽の呼吸だ。
バレットでスコーピオンを潰しながらジャイアントに近づく、エナジーサークルが見えた。ギガバレットを撃つ。
1機沈めた。俺を強敵だと思ってか、スコーピオンが寄ってくる。うざい、相変わらずうざすぎる。
バレットを撃ちまくる。アヴェルアーカの方は順調に徹甲榴弾を撃ちまくってるようだ。俺にスコーピオンが集中している…。
ガトリングウルフはなにしてんだ!と思いながらスコーピオンを駆逐する。道が開けた。ジャイアントにギガバレットを撃ち込んだ。1機沈んだ。残り1機だと思ったら、アヴェルアーカが沈めたようだ。残ったスコーピオンを貫通弾で潰しまくる。俺のフェンリルは4門あるので2門を貫通弾、残り2門を徹甲榴弾にしているのだ。
結局、ジャイアントを潰した後にガトリングウルフが出てきた…。あてにならねー。信じた俺が馬鹿だった…。
俺たちは、バルト地帯を抜けて、西ロシアに出た。
俺たちはクラスノダールで一泊している。
ボルベルクは愚痴をこぼしていた。
「こんなきつい依頼だなんて聞いてない!これじゃ、討伐依頼みたいなもんじゃねーか!」
目的地を聞いた時点で気づけよ。今更おせーよ。
「これじゃ、報酬が安すぎるんじゃないの?」
「もうこの金額で受けちまったんだよ、ギルドで受けたから今更変えるなんでできねえんだよ」
「あなた絶対騙されてるわよ」
「ああ、騙されたよ…この調子じゃ今回は赤字だ。やってられねー。」
ボルベルクは飲んで憂さ晴らしをしたいらしい。もちろん、付き合う義理はない。
「明日も朝早いんだぜ、俺たちはもう宿に帰るよ」
やっと、カレリアまでやってきた。もう、フィンランドは目の前だ。
ここまででガトリングウルフが1機大破している。あれから3度機人の群れを突破している。ジャイアント付きでた。
俺にばっかりスコーピオンが寄ってくるので試しに押し付けたら潰れたのは言えない。パイロットは怪我をして動けないので近くの街に置いてきた。
もちろん、ギルドの依頼をキャンセルもできるが傭兵団の信用は落ちるだろう。板挟みってやつだ。
まあ、俺には関係ない。俺は戦えればいいので丁度いい憂さ晴らしのできるクエストだ。付いてきて正解だった。
このままラッピに向かい、そのまま南下するのだ。はっきりってここは寒い。まだ冬でもないのにな。
俺は暖房の魔法を作った。ウォームだ。あったけー。
フィンランドを目の前にして戦闘が起こった。もう、ジャイアントが群れている。ここまで来ると4門とも徹甲榴弾にしている。撃ちまくりだ。正直楽しい。アヴェルアーカも楽しんでいるようだ。
ここでガトリングウルフがまた1機大破した。傭兵団にはあと3機しか武装獣がいない。俺とアヴェルアーカにはそれを気にする余裕はない。機人を倒さないと進めないのだ。
フィンランドを突破する頃にはボルベルクはもう諦めているようだった。頭を抱えているが俺は気にしない。
「このままじゃ、傭兵団は全滅してしまう…」
知らんがな、このままどうやって戻るのか聞く気にもならない。
「次の街でこのクエストをキャンセルする」
「もう、スウェーデンに入ってるのよ、目的地は目の前じゃない」
そうなのだ、判断するのが遅すぎる。もうすぐスンツバルに着いてしまうのだ。
「わかったよ、このまま行けばいいんだろ」
スンツバルの街に着く前に俺たちはドラゴン型機人を見つけてしまった。
既に、戦闘が始まっているようだ。モスコーヴィアの武装獣たちが戦いを挑んでいる。
どの道、ドラゴンを突破しないと目的地まで行けないのだ。
俺たちも行くしかなかった。ドラゴンが勝てば通れないのだから。
俺は、ドラゴンにギガバレットを撃ちまくった。炎の弾をよけながら撃ちまくった。最初から全力だ。
アヴェルアーカはジャイアントを相手にしているようだ。
気がつけば傭兵団には1機しか武装獣が残ってなかった。アサルトウルフだ。そして、ドラゴンは沈んだ。
やっと、俺たちはスンツバルに着いたのだ。
報酬は全部傭兵団が受け取ることになった。あまりに可哀想だったのだ。
帰り道にも武装獣が必要なので、ボルベルクはモスコーヴィア製最新武装獣ロキを買った。
ドラゴンを倒した報酬もあって3機補充して、4機の武装獣をもつことになった。
「結局、戦力は前よりあがったじゃない」
「怪我人がでてるんだよ、ここでしばらく休養させないと武装獣を動かせられないんだよ」
1ヶ月後に俺たちはスンツバルを後にした。
カレリアによって怪我した仲間と合流して遠回りして帰ることになった。
さすがに来た道を通って戻るのは機人と戦うことになるのでボルベルクが嫌がったのだ。
そうして、俺たちはネロディの街に戻った。