表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/55

第8話 サウスランドの戦い

「今回は、私もほとんど無傷でドラゴンを倒せたわ」


アヴェルアーカは機嫌がよかった。前回はかなりボロボロに機体を痛めからだろうか。


「味方の被害も前回よりは少なかったわ、気分がいいわね」


「俺の方は被害が出たんだよ、全く、散々だ」


ボルベルクは愚痴を零していた。ここはシュヴェリーンの酒場だ。


「報奨金が出たじゃない?あれじゃ直せないくらい武装獣が壊れちゃったの?」


「報奨金が出たとしても丸々は使えないんだ。うちは人数が多いんで維持費が嵩むんだよ」


「前回のドラゴンとの戦闘で壊した武装獣の代わりを手に入れなきゃいけないしな、入院しているやつの武装獣も用意しておかないと人が余っちまう、年中武器を手に入れるのにお金を回してちゃ俺のところにはほとんど利益は残らないのさ。今回も団員には羽振りがいい振りして報奨を全員に出したしな」


「ガトリングウルフが手に入ったじゃない」


「ああ、あれは助かったよ。手が空いてる団員が減った。本当は戦車なんかじゃなくて武装獣を揃えたいんだ」


「団長も大変ね、その点、私は気楽でいいわ」


「お前の相棒は本当に腕がいいな。ドラゴンをやっちまう程の冒険者なんてそうそう見つけられないぞ、うちにくれないか?」


「それは無理ね、一人で何人分も働いてくれるのよ、手放せないわ。まあ、あなたが困ったらまた助けてあげるわよ、その分、お金は貰いますけどねw」


俺は金にはあまり興味がない。ただ、戦えればそれでいい。アヴェルアーカは戦闘好きなので気が合う。


「アヴェルアーカはこれからどうするんだ?よければまたうちで働いて貰いたいもんだな」


「このギルドでクエストを見つけるわよ、いいのがなかったら手伝ってあげてもいいわよ」


俺は酒場を出て宿屋の近くで双剣を振り回していた。武装獣に座っていると体が鈍る。運動してから寝るのは心地良い。


二度の狂戦士化によって剣術も変わっていた。踊るように滑らかに剣を走らせる。ダンスをしている気分だ。


最も、この世界には俺と剣で踊ってくれる相手はいない…。そのうち、ヒドゥンウルフと踊ってみるか。


「相変わらず見事な剣術ね、そんなに剣術を鍛えてなにに使うのよ」


アヴェルアーカが宿に帰ってきたようだ。そりゃこの世界じゃ剣より銃を使うだろう。剣術、それも双剣なんて意味ないな。


「ヒドゥンウルフ相手にこれで戦ってみたいね、昔はあんなのと戦ってたんだよ」


「普通は剣で戦う相手じゃないわよ、あんなのと剣で戦うなんてあなたは相当の戦闘狂みたいね」


そりゃ、狂戦士だしな。加護の力は今でも感じる。スサノオの神はこの世界にも実在するのかな。日本はなくなってしまったが。


「明日からは南に移動するわよ、サウスランド連邦共和国が機人に押されているみたいなの、冒険者を集めてるわ」


サウスランド共和国は、フランスと南欧を合わせたような国だ。押されているということはギガースもいるかな。楽しみだ。


宿屋で一泊して、俺たちは南に向かった。傭兵団も一緒に向かうようだ。儲かる仕事のようだな。


「ようセージ、しばらくは一緒に戦えそうだな」


ボルベルクは元気になってる。まあ、辛気臭くちゃ団長は務まらないだろう。


「今度、うちのヤツを鍛えてくれよ」


「俺は手加減できないんですよ、相手を潰しちゃいますよ」


「そりゃ困るわな、アヴェルアーカに相手をして貰うか」


双剣ならともかく武装獣で戦うとなると相手を潰すしか戦い方を知らないんだよ。


「私は嫌よ、ただ働きはしない主義なのよ」


とにかく南下していく。


フランス南部の途中で森を通るときにやつを探知した。ヒドゥンウルフだ。3頭いる。


「ちょっと戦う相手を見つけた、双剣で戦ってくる」


俺は武装獣を飛び降りて、ヒドゥンウルフに向かっていった。グラビティフォースを使う。風が心地良い。


久しぶりに炎の双剣で戦ってみたくなったのだ。だが時間もないさっさと終わらそう。

3頭と戦い2頭を仕留めたところで残り1頭の意識を奪い、グラビトンで殺した。

牙を剥ぎとって武装獣に戻った。ヒドゥンウルフを狩ると報酬がでるのだ。

しかし、ヒドゥンウルフも歯ごたえがない。2頭で飽きた。


「ヒドゥンウルフが3頭いた、牙を取ってきたよ」


「呆れた、本当に双剣で戦ってきたの?相手はヒドゥンウルフよ、まあ、その牙があれば修理代くらいは稼げたわね」


「ヒドゥンウルフ相手に剣で戦うとは聞いたことがないな」


ボルベルクも驚いているみたいだ。


俺たちは南にそのまま向かった。


サウスランド共和国の最前線、ルーゴの街についた。


ギルドに入ると賑やかだ。冒険者を相当集めているようだ。


戦場はア・コルーニャのようだ。クエストを受け取り戦場に向かった。補給は無料で受けられるようだ。食事も出る。

クエストとしてはいい待遇だ。


俺は相手が分からないのでフェンリルのキャノン砲に貫通弾を装填した。


戦場にはスコーピオンとジャイアントがいた。そして、マザーシップが飛んでいた。


サウスランドの兵隊と冒険者達がスコーピオンとジャイアントを狩り立てているが、次々とマザーシップが機人を投下しているのだ。


俺はマザーシップのエナジーサークルにアーマーピアシングハイエクスプロッシブを撃ち込んだ。魔法なら届く!次々とアーマーピアシングハイエクスプロッシブを撃ち込んだ。1機撃墜したがMPが底をついた…。


マザーシップ固え。


しかし、まだ2機いる。これは確かにきりがない。


とりあえず、キャノン砲でジャイアントを仕留めることにした。


スコーピオンとジャイアントを駆り立てる。ジャイアントに集中したいがスコーピオンが邪魔をする。これはうざい。


なんとか補給しながら4体目のジャイアントを倒したところで、でかい武装獣がでてきた。巨大な亀だ。


ヘヴィガンスナイパータートルというらしい。背中にレールガンを搭載した超大型武装獣だ。サウスランドが用意したようだ。マザーシップを撃ち落とす仕事をしてくれるらしい。


こいつを守るのが冒険者達の仕事になった。


大亀に近づくスコーピオンを駆逐する。ジャイアントも寄って来た。徹甲榴弾に変えればよかった…。貫通弾を撃ちまくる。

武装獣の集中砲火を浴びたジャイアントが沈んでいく。


やがて、マザーシップが1機撃墜された。あと1機だと思ったらまた2機やってきた。3機に戻った。

戦闘は続いた。夜になっても大亀を守る仕事は続く。冒険者達が交代で戦うことになった。


兵隊たちもスコーピオンとジャイアントを始末し続けている。


これは確かに冒険者をあちこちから呼びつけないともこの拠点を維持できない。

脱落していく武装獣もいるが応援がやってくる。


休んでは戦う日々が1週間続いた。アヴェルアーカのフェンリルは1週間もたなかった。今は修理中だ。

修理代もサウスランドが出してくれている。


大亀も1週間もたなかった。空中から攻撃してくるやつが出てきたのだ。ホークアイという機人だ。空中からレーザーを撃ってくる。フェンリルで撃ち落とすが、次から次へとホークアイもやってくる。


ホークアイの弱点は装甲の弱さだ。貫通弾の一撃で沈む。だが、マザーシップが次々と投下してくる。

まじできりがない戦いだ。


大亀も次々と投入されているがやってくるペースが遅い。どうやら俺たちが来る前から大亀は投入され続けていたらしい。

後方で大亀を生産しては投入している状況だ。


マザーシップを落とすのは大亀に任せている。俺は大亀を守る仕事に集中している。バレットでスコーピオンやホークアイを片付ける。ジャイアントはキャノン砲を撃ちまくる。


2週間目も同じ状況だ。冒険者の応援がくるが脱落していく冒険者もでる。毎日1日中戦えばそのうち体がもたなくなる。

アヴェルアーカは復帰しては、修理するのを繰り返している。大破しないだけでも優秀だ。


3週間目も同じ状況だ。一体いつこの戦いは終わるんだ?ギガースやドラゴンがこないのがせめてもの救いだ。あれを投入されたら戦線が崩壊するだろう。


1ヶ月を過ぎたところだろうか、アヴェルアーカのフェンリルがとうとう大破した。新しいフェンリルで出撃してきた。大破しても1ヶ月戦ったからだろうかサウスランドから支給されたらしい。もちろん、キャノン砲は2門しかない。ノーマルのフェンリルだ。あの傭兵団は撤退したようだ。


2ヶ月で戦いは終わった。マザーシップは飛んで来なくなった。俺は2ヶ月戦い続けたということで報酬をたんまり貰った。これだけで武装獣が2機は買える。


数えきれないくらいジャイアントを倒したがレベルは30あがっただけだ。ジャイアントではこれ以上経験値を得られないのか。レベルは167になった。MPも2倍近く増えたようだ。マザーシップを2機撃ち落とせるようになっていた。


アヴェルアーカは俺の4分の1くらいの報酬を貰ったようだ。修理を繰り返していたのと既に1機フェンリルを支給されてるからだろう。


俺たちはネロディの街に戻った。


「フェンリルの改造費用を入れたらトントンね、でも歯ごたえがあったわ」


「確かにあそこは楽しめたな、また戦場があったら行きたいくらいだ」


ネロディの整備工場でアヴェルアーカのフェンリルは半可動式の4門に戻っていた。


きつい2ヶ月だったが、まあ楽しかった。


俺のフェンリルはやられはしなかったが2ヶ月戦い続けたのでオーバーホールをした。


アヴェルアーカは修理で休みがちだったが、機人を倒しまくったおかげで前より魔力があがったようだ。

半可動式のフェンリルでも重さを感じなくなったと言っている。


ボルベルクは先にネロディに戻っていたが赤字だと嘆いていた。


「あなた達は先に帰ったから分からないと思うけど、私たちはあの後大変だったのよ」


「こっちは武装獣と戦車がやられて赤字になったんだよ、慈善事業でやってる訳じゃないぞ」


武装獣を大破させたようだが、サウスランドから支給はされなかったようだ。戦い続ければ支給されたそうだが、死者が出たので断わったそうだ。


「どのくらい被害がでたのよ?」


「ガトリングウルフ1機が大破で、戦車は2両やられた。両方ともパイロットは死んだよ」


むしろ、あの戦場で生き残った戦車がいるのがすごいよ。俺だったら戦車であそこには絶対行かないね。


「お前たちはあの戦場でよく2ヶ月戦い続けたな、普通なら途中で引き上げるよ、さもなきゃ死んでるぞ」


「私たちはあそこで戦うのが楽しかったからよ、楽しめなきゃ2ヶ月も戦い続けられないわよ」


「お前たちは全く狂ってるな、臆病になることも生き延びるには大事なことなんだぞ」


「私たちはこれでいいのよ、また討伐クエストでも受けてくるわ、ボルベルクはどうするの?」


「1ヶ月は怪我人もでたから休業だよ、でも団員を養わないといけないんでそう休むこともできないんだよ」

一話を割愛することにして、最後を削りました…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ