第5話 亜獣
人類が大量生産して破棄した亜獣というのがいるのだそうだ。その討伐だ。
代表的な亜獣がヒドゥンウルフやソニックタイガーだ。知能が高く魔法も操るらしい。元々は、ジャイアントやスコーピオンに対抗して作られたらしいがやがてジャマーによって不要になってしまったそうだ。だが、この亜獣は、巨大なので武装獣が必要だ。
あのジャイアントを狩っていたくらいだし、かなりでかそうだ。
「Aランクなら保証金が必要になるけど武装獣をレンタルできるのよ、あなたも今回のクエストでAランクになったし、このクエストを受けましょう」
借りれる機体は1種類しかないらしい。アサルトウルフだ。機械の巨大な狼に2門のキャノン砲を載せている。
「フェンリルとどこか違うの?」
「製造している国が違うのよ、東亜連邦製よ、それにフェンリルの方が性能はずっと上ね、射程距離も短いから気をつけてね」
亜獣にはジャマーがない。実弾系魔法を使わなくていいなら俺にはいいカモだ。
さっそくレンタルして試運転をしてみた。確かに、アサルトウルフはフェンリルより遅いし瞬発力も落ちる。
クエストは南のカーサスガルという街外れの森にいるヒドゥンウルフの討伐だった。4体いるようだ。
アヴェルアーカと2人でアサルトウルフに乗って、カーサスガルの街へ向かった。そして、森に入っていった。俺には探知があるのだ。昔より有効範囲が広いから見つかるだろう。500mだ。
「ここらへんにいるらしいわよ、気をつけて」
探知でヒドゥンウルフの群れを見つけた。
「この先にヒドゥンウルフがいるよ、4匹いる、こっちだ」
ヒドゥンウルフは尋常じゃなく速かった。瞬発力がすごい強力なのだ。迷宮の4階層にいた大猿よりさらに速い。相手の攻撃魔法はレジストしているが、こちらから攻撃しないと終わらない。
サンダーウェブで1匹捉えてグラビトンを撃って殺した。残り3匹だと思ったらアヴェルアーカが魔法をくらっている。
悪いがアヴェルアーカを囮にしてサンダーウェブを撃つ、捉えた2匹をグラビトンで殺した。最後の1匹は逃げてしまった。ヒドゥンウルフは速すぎてアサルトウルフでは追いつけない…。
逃がしてから気づいた。意識を奪えたんじゃね?機人じゃないし。機人とばかり戦っていたのですっかり忘れてた。
3匹の牙を双剣で剥ぎとった。これってクエスト失敗じゃね?
「ごめん、やられたわ、この機体はもう動けないの」
「カーサスガルからトレーラーを借りてくるしかないね、ちょっと行ってくる」
アヴェルアーカのアサルトウルフをトレーラーに載せてネロディに帰った。
やはり、クエストの報奨金はでなかった。アサルトウルフの修理代がかかったので今回は赤字だった…。
「今回は失敗ね、ヒドゥンウルフは無理だったわ」
というか、速すぎだろあれ。大猿より速いって昔の人類がんばりすぎだ。あれは生き残るわ。
「フェンリルが治るまでゆっくりしようよ」
俺のフェンリルならヒドゥンウルフに勝てた。アサルトウルフは駄目すぎる。
「そうするわ、アサルトウルフは駄目ね」
ならレンタルするなよ…。