第3話 武装獣フェンリル
「これだけのお金があればあなたの武装獣も買えるわよ」
どうやら俺はエルフの突然変異と思われているらしい。アヴェルアーカはロードだ。たしかに角が2本頭に生えてる。
鬼の角というよりヒツジの角みたいにくるくる曲がっている。
武装獣を買うことになった。俺としてはパワーよりスピード重視で選びたい。攻撃力よりは回避力だ。死にたくはない。
ロキというのがよさげだ。武装的にはアサルトウルフか。
「2足歩行の武装獣はないの?」ロボットは漢のロマンだ、一応聞いておこう。
「そんなのないわね、6足歩行ならあるわよ、キャノンタランチュラがお薦めかしら」
回避能力的にどうだろう?フェンリルよりも二回りくらいでかいよ、これ。火力重視型のように見える。
色々悩んだが、同じ部品を共用できるということで武装獣としては高価なフェンリルになった。ちなみにキャノンタランチュラはもっと高かった。まあでかいしな、あれ。
大量の魔石や部品を持ち込んだことでギルドのランクがあがった。GランクからBランクだ。Aランクでもおかしくないということだが、いきなりAランクにはできないようだ。アヴェルアーカはAランクだ。
この世界にはレベルというのはないようだ。まあ、レベルアップなんてファンタジーだしな。
ただ、機人を倒すと魔力があがるそうだ。魔石があるからだろうか?
購入したフェンリルには2門のキャノン砲が両肩に付いている。アヴェルアーカのフェンリルには4門のキャノン砲がついている…、なぜだ?
「なんでアヴェルアーカのフェンリルにはそんなにキャノン砲がついてるの?」
「私のフェンリルは魔導機関をチューニングして出力をあげているのよ、それで武装も多く積めるようになってるの。お金はまだあるから同じ仕様にできるわよ」
そうして貰った。武装が多いほうがいいような気がする。よくわからんけど。
「武装獣があるから討伐クエストが受けられるわよ」
まずは、試運転だ。
「武装獣を試しに動かしてみてからにしたいよ、いきなり戦うのは無理…」
「それなら私が相手をするわ、手加減してあげるわよ」
武装獣に乗り込む、双剣が邪魔だ…。
コクピットは銃を撃つトリガーとモニターのようなものがあるだけで、操縦桿がない…、なぜだ?
アヴェルアーカのフェンリルが近づいてきた。
「魔力で機体を操るのよ」
なるほど、そういえば魔力で制御するとか言ってたな。
魔力を体から放出するとフェンリルが反応した。走るイメージで魔力を動かしてみる。
よたよたと走った…。なんだこれ。
練習するうちにちゃんと走れるようになった。むしろ、速度がぐんぐんあがっている。急カーブも軽快だ。
モニターを見る。意識するとそこにポイントが浮かび上がる。トリガーを引くとフェンリルがそちらに向き直ってそのポイントにキャノン砲が撃ち込まれた。固定砲なので姿勢を変えるのか、まあ、そうなるわな。
トリガーは4つある。4門のキャノン砲があるからだろう。
アヴェルアーカのフェンリルと並走した。こちらの方が素早く速い。おそらく俺の魔力が方が強いからだろう。
「あなたのフェンリルは異常に速いわ、魔導機関のチューニングはいらなかったんじゃないの?」
まあ、やってしまったものはしょうがない。
「さっきの機人の街にいってみるわよ」
アヴェルアーカの速度に合わせて、付いていった。
さっそく機械の蠍がいた、スコーピオンだ。こちらを見つけてジャマーを展開している。マザーシップがもう来て機人を補充していたようだ。
弾がもったいないのでフェンリルに乗りながら、実弾系中級攻撃魔法バレットを撃つ。機械の蠍が壊れた。
わらわらと蠍が出てくるのでバレットを撃ちまくる。スコーピオンの攻撃は、尻尾からミサイルを撃つようだ。
それにスコーピオンに取り付かれたらジャマーで魔導機関が停止して動けなくなる。
スコーピオンの攻撃を避けながらバレットを撃つ。まだ、ジャイアントの補充はされてないようだ。やつがいないと経験値が上がらない…。とりあえず、スコーピオンは殲滅した。
倒した魔石を集めている。
「あなたの魔法があるとスコーピオンを倒すのが楽ね、本当ならこんな数を相手にしてたらやられてたわよ」
そりゃ、キャノン砲を打ちまくったら弾切れになるわな。それとキャノン砲の欠点は撃つ時に姿勢を変えるため動きが止まることだ。固定砲なので走りながら撃てない。そこをスコーピオンに襲われたらやられるだろう。
「そろそろ、ネロディの街に戻るわよ」
今度は盗賊は出なかった。さっきので全滅したようだ。




