第22話 総統の視察
俺が仕事をしていると総統からなにやら手紙が届いた。討伐依頼か?
総統が俺の街を見たいとか言ってきた。この街は独立を宣言してはいるが一応やつの国だ。断るわけにもいかんしな。
まあ、文句は言わせない。許可しよう。
総統がノワールにやってきた。街に近づくに連れてなにやら馬車を多く見かけた。頻繁に行き交っているようだ。
「なぜ、こんなに馬車がいるのだ?」
「ノワールは、この国でも一番の生産拠点ですから、商品の輸送が多いのです」
「なにを運んでいるのだ?」
「あらゆるものですな。食品、酒類、工業製品と衣料品、治療薬と言ったところが主なものかと思います」
「なぜ、そんなに生産する必要がある?」
「総統もノワール産の酒をお好きではないですか、ダークエルフは物を作るのにこだわっているのですよ」
街に着くと予想を超えた規模だった。
「あの壁は農地を守っているのか、砦もある、こんなに農地を増やしおって、南部から苦情がくるはずだ。街の中にいくぞ」
そこはサウスノワールの街だった。
「なにやらでかい街だな」
「この街はサウスノワールといって、鍛冶屋やガラス職人、工業製品を生み出す職人達の街です」
「それだけのために、こんなでかい街を一つ作ったのか、道もみんな石畳か、ラングでもここまで石畳をひいてないぞ」
「ここから問屋というところを経由して、ノースノワールへと運ばれていきます、それなので石畳の方が便利なのではないかと思います」
「なぜ問屋などと面倒なことをするのだ?」
「さあ、そこまではわかりかねます」
ノワールの街に着いた。
「ノワールの街の外も農地か、どれだけ農地を作ってるんだ」
「さあ、できるだけ農地を増やしているようです」
「ノワールの街も賑やかだな、他の街よりずっと活気がある、それに街が清潔に保たれているようだな」
「ダークエルフはきれい好きのようですね、スラム街もありませんし、サウスノワールも清潔でした」
「ダークエルフはどこにいる?」
「ここの城の執務室にいるかと思います」
「まあいい、やつの顔はみたくない、ギルドにいくぞ」
「これはテオクライオン様、なに用でこちらへおこしになられたのですか?」
ギルドマスターのウォズニックだった。
「冒険者たちの様子を見に来た、やつが統治してからどのようになっている?」
「1階層と2階層の12階だけですが兵により休憩所を設けています、それだけで以前より冒険者の死亡率が下がっています」
「他にはなにかあるか?」
「魔術師と神官の数が増えています、特にスペルオーガを無効化する魔法を教えているようで、これも死亡率の低下につながってます」
「それはどのようなことをしたのだ?」
「よく分かりませんが、魔術師の育成に力を入れているようです、治療院の費用も下がっています」
冒険者にもなにやらいろいろと対策しているようだ。
「ノースノワールとやらにいくぞ」
「また、ここにも農地を作っている。どれだけ作れば気がすむのだ」
「ダークエルフは農業も好きなようですね、どうも農税をかなり抑えているようです」
「ノースノワールとやらは、商店がたくさんあるな、規模がでかい、さすが商業の街ということか」
「衣料品はこの街で作られているようです、それとここで農産物やサウスノワールの製品が売られているそうです。新しい街も商業の街になると聞いております」
「またこのような街を作る気か!だいたい分かった。帰るぞ!」
どうやら、ダークエルフは街を作る才能が高い。化け物のくせに内政にも能力を発揮しているようだ。
貴族が宰相に押す理由も分かった。
それにノワールはラングよりもこの国にとって重要な街になっている。
今使っているアルコールランプもノワールで作らている。
もはや、ノワールはこの国になくてはならないものになってしまったのが分かった。
ノワールの果実酒がないと困るしな。
俺が仕事をしているうちに総統は帰ったようだ。
無視していたが、ここにはこなかったので、用はなかったのだろう。
文句も言われなかったし、新しい街の建設を続けるとしよう。