第20話 新しい領地
トルメキア帝国の首都、トルメキアンでは紛糾していた。
皇帝ナウルヴァーンは怒り狂っていた。
「アルノールからの使者がきた。停戦させた報奨を出せというのだ!」
「皇帝陛下、我が国の財政はすでに逼迫しております」
「どのくらい出せるのだ?」
「要求された金額の半分程度かと」
「無視した場合には、どうなるのだ?」
「確実に伽盧皇国が攻めてくるでしょう」
「では、どうすればいいのだ!」
「もう、分割払いということでお願いするしかありません」
「それで納得しなければどうすればいい?」
「領土を差し出すしかないでしょう」
「我が領土を渡せというのか!」
「それしか生き残るすべがございません」
「…、分かった、交渉はまかせる」
結局、アルノールは分割払いを認めず、領土の割譲をすることになった。
アルノール共和国のラングの街、総統府では議会を招集していた。
「トルメキアから割譲を受けた領土をどうするかだ」
テオクライオンもその取り扱いに困っていた。
そこはアルノールから最も離れたパロアとの国境線だったからだ。
「この領地を欲しいものは誰かいるのか?」
誰も欲しくないのだ。領地があればそこを守る兵力がいる。トルメキアとパロアに挟まれた領地なんて欲しくないのだ。
「ダークエルフに預ければいいのではないかと思います」
押し付けるにはいい相手だ。
「他に意見はないのか?」
なかった。
「それでは、この領地はダークエルフに預けることにする」
俺はまた総統の使者が来たということで、相手をしている。
今度はなんだ?討伐以外なら断る気だった。
「おめでとうございます、新しい領地をセージ様に与えることになりました」
言っていることが胡散臭い。
「それはどこだ?」
「トルメキアとバロアとの間になります」
「そんなものいらん」
「そう言われても、既にセージ様の領地でございます」
「それは、俺の好きにしていいんだな?」
「左様でございます」
言質はとった。バロアにあげよう。
アルノール共和国のラングの街、総統府では議会を招集していた。
テオクライオンは頭をかかえていた。
「トルメキアから奪った領土をダークエルフがバロアに渡した」
「なにを勝手なことを!、一体どうするのですか!」
「ダークエルフにはなにも言えない、どうしようもないから議会を開いたのだ」
「バロアからはなにか言ってきたのですか?」
「使者が既に来た。感謝して帰っていった」
「なにも言わなかったのですか!」
「ダークエルフの機嫌を損ねることはできないのだ、言えるわけなかろう、それにダークエルフからも使者がきた」
「なにを言っきたのですか?」
「好きにしていいと言われたのでバロアにあげた、そう言ってきた」
「誰がそんなことを言ったのですか?」
「私の使者だ…」
「どうにもなりませんな」
「私もどうにもならないと思う…」




