第2話 初パーティ
ギルドランクというものがある。Fランクから始まり、Sランクまであるそうだ。
ランクが上がれば、武器や装備、アイテムを買うときの割引率があがるという仕組みだ。
そして、迷宮以外のクエストもランクごとにある。
ただ、死亡率でいうと初心者と上級者が高いらしい。
初心者はいわずもがなだが、上級者PTが下階層の最深部に行くと、かなり強力な魔物と戦うことになる。
雷をまとった巨雷狼や、火竜に遭遇すると素早すぎる魔物で逃げる事も出来ず死亡することが多いとか。
そんなのとどうやって勝てというのかなぞだが、Sランクの中には倒したことがあるというすごい人もいるらしい。
魔剣とかで戦うそうだ。ただ、魔剣は上級者でもなかなか買えない値段らしい。
さらに下には最下階層というものがあるそうだが、Sランク専用のとても危険な階層らしい。
Sランクでもかるく死ねるとかいう階層だそうだ。どんだけだよ。
迷宮で戦うと地上で戦うより強くなれるそうだ。
詳しいことは不明なのだそうだが、迷宮の魔力にそういう力があるようだ。
ギルドランクについては、中階層にいるゴブリンシャーマンの魔石があったので3段階アップしてもらった。
つまり、Dランクだ。
ギルドの用も終わったので明日香さんにお薦めの宿を紹介してもらった。
火竜亭という名前らしい。なんかいつか出会いそうなことになるフラグなのか、これは?
見たこともないダークエルフということで最初は難儀しそうだったが、明日香さんの紹介ということで泊めさせてもらった。どうやら、この街では今後もここしか泊まれそうにない悪寒がする…。
長期滞在ということで1ヶ月分を払おうとしたが、朝食付きで1泊30ゾルで1ヶ月では30日で900ゾル…。
途中で買い食いをしてしまい、お金が足りないので10日分を支払った;;。
明日も迷宮に行って稼がないといけないようだ。
全体回復があるとはいえ、正直、魔物の攻撃は痛い;;。防具も欲しいところだしなぁ。
とりあえず、お風呂に入って寝ようと思ったが、この世界にはお風呂はないようだ。
お湯を入れた桶を渡された…。しょうがないので、体をお湯で拭って寝た…。
翌朝になってよくよく考えてみた。
自分がダークエルフなのでまずパーティには入れてもらえそうにないこと。
自分の戦い方は相打ち狙いがメインで、傍から見ればおかしなこと。
魔物とパーティを組んでいたら、まず自分が襲われるだろうということ…。
結論としては、昼間には迷宮に入れないな…。
真夜中にいくしかないか…。
どうせ迷宮は暗いんだし、昼も夜もないしなぁ。
防具を買うまで真夜中で戦い続けました…。
一週間ほど戦ってそこそこお金も貯まったので、防具を買いに街にくりだしました。
やはり、痛い目で見られている…。これはボロボロになった服を着ているせいなのか?
まあ、そうだよなぁ…。
普通の服だし、これ。攻撃されて穴だらけだよ…。
防具屋に入っていろいろ物色してみると欲しいものはやっぱり高い…。
痛い目で店の親父が見ているので時間もかけたくない…。
つーか、まずこのボロボロの服の代わりを買った方がいいんじゃね?
普通の服なら高くないだろ。と服を買うことにしました。
2万円くらい使ってしまった…。
着替えてから、また防具屋にきました。
なんか、痛い目で見られている…。
服のせいじゃないんじゃね、これ?
でも防具買うしかないんだよなぁ。
手元にあるのは50万円ほどで5000ゾル。
プレートメールで150万円とか高すぎだろ。
つーか、これきたら全体強化のスピードが意味ないじゃん。
やはり、革製なのか。鉄板入りとかいいよなぁ。ガードできるし。
ということで予算内ギリギリのを一つ買ってきましたよ。
色はもちろん黒色です。黒服が好きなのだ。
新しい防具を買っても仲間もいない俺…。
試しに新しい防具を着てギルドの隣の酒場に繰り出しました。
ここで仲間でも見つけようか。ってとんがってる耳を発見した。
エルフじゃね?でもダークエルフってエルフと仲悪いってラノベで見たよ、俺…。
とエルフを見てたらいきなり目と目が合いました。
下手したら、やばいんじゃね、これ…?。
なんか立ち上がったよ。近づいてくるよ…。
「あんた誰?、何者?」
なんか聞いてきたよ、超上目線きたこれ…。
「見ての通りのダークエルフですよ」
これ以外なんて言えばいいんだよ、おれ…。
「職業は?」
「…呪術師です。」
「はぁ?、なにそれ?」
「回復職ですよ、魔術も少し使えます」
ゴブリンシャーマンを捕まえて教えてもらったんだよ、ファイヤーボールだけだけど、てへ。
「こいつは、真夜中のダークエルフって言われてるんだよ、けっこう噂になってるぜ」
ツッコミが入ってきたよ。というか、なんで知ってるんだよ!
「なんで昼間に入らないのよ?」
おお、核心をついてきたよ。というかいえねーよ、魔物とパーティ組んでるとか。
「人気がないのが好きなだけですよ、じゃあ」
逃げるしかねー。つーか、やっぱりパーティとか普通に組めないんじゃん、おれ;;。
「待ちなさいよ!ちょっと付き合いなさいよ」
何に付き合うんだよ、逃げたいんだが…。
なぜか、パーティ組むことになったよ。
そして、迷宮の中階層にいる俺。
エルフはどうやら有咲希実香というらしい。
なんでエルフなのに日本名?
パーティは4人。
エルフと牙狼族と虎族で亜人パーティじゃね?
獣人2人は剣士で、エルフは精霊術師らしい。
狼が勝長、虎が謙信。つーか、戦国時代?
苗字?名乗らないのでわかんねーよ。
「左80mにゴブリンの集団6人いるよ、シャーマンはいない」
「便利だな、その探知ってやつ、そっちに行くか」
狼やる気まんまんだな。虎はあまり口きかない。
「じゃあ、全体強化かけるよ」
「ひょー、こりゃいいや」
ゴブリン6人を駆り立てる狼と虎。
つーか、後衛2人やることねー。
どうやら回復職は人気らしく、パーティに誘うのは難しいってことだったようだ。
全体強化で前衛無双でなにすればいいん?
「きたよ、これたぶん、ミノタウロスだよ、右斜め前60m」
またもや、定番の全体強化。
ミノタウロスやっぱつえー。2人がかりで競ってるよ。
自分も参戦したいけど、2人が邪魔で割り込めないよ。
あ、狼が一撃食らって吹っ飛んだ。調子乗りすぎだよ。
そこで自分が割り込んでみた。
1週間前よりスピードあがってる、レベルアップしてる、俺?
相手の大剣を避けながらザクザクと短剣を差していく俺。
面倒なので全体強化をやめて、意思を奪うことにした。
「動きを封じたよ、とどめ刺しちゃって」
狼が寝てたけど起きてきた。どうやらけっこう重症そうだが、死ぬほどじゃないだろう。
虎と出番がきたエルフの精霊魔術でダメージを当ててる。
ミノタウルスが倒れたので、全体回復を前衛2人にかける。
「やっぱり、回復職がいると便利だなというかさっきのはなんだ?」
「相手を拘束する魔術ですよ」
狼は陽気だが、虎はなんだか不機嫌そうだ。この術があまりお好みにあってない様子だ。
その後も戦闘が続いたが、二匹目のミノタウロスを倒した所で帰ることにした。
酒場に戻って飲んでると狼が話してきた。
「おめーがいると、超楽チンじゃねーか。なんで一人で真夜中に潜ってんだ?」
「一人の方が気楽でいいんですよ」
というかとどめをさすのが狼と虎とエルフに譲ってるから俺の出番ないし、レベルアップしないんじゃね?俺。
「なんで不満気なのよ?」
やっと核心についてきたよ、エルフ。
「俺の力じゃねー。こういうのに慣れたら後々痛い目をみるぜ」
虎がいいこと言った。俺もこのパーティより一人の方が気楽でいいよ。
というか、俺ってパーティに合わないんじゃね?1人でも普通にやれてるし。
ミノタウロスなんて強くても馬鹿だからいいカモだよ。というかこの2人より気を使わなくていいし、
前衛として優秀なんだよ。ミノタウロス。
「じゃあ、自分はそろそろ宿に戻ります」
さっさと逃げよう。
「またパーティ組まないか?セージ」
「しばらくは、一人で潜ります、謙信さんもその方がよさそうですしね」
「まあ、考えといてくれよ」
脱出成功だ。もう当分組まないよー。
俺は宿に戻って汗を拭った。。
パーティは気を使うし、あまりいいことないな。
そして、寝た。