第17話 戦争の終結
アルノール共和国のラングの街、テオクライオンにトルメキアから使者が届いていた。
「あのダークエルフがトルメキアに攻め込んだそうだ…」
貴族たちに向かってそう言った。
「なぜやつがそんなことを!?」
「トルメキアがパロアを攻めたことがダークエルフの逆鱗に触れたようだ」
「それでどうなったのですか?」
「一人で砦ごと軍隊を潰して、そのまま3つの街を滅ぼしたと使者からきている」
「一人でですか?」
「そうだ。たった一人でだ…」
「それで我が国にどうしろと?」
「パロアからはトルメキアに3つの街を要求している。トルメキアは飲めないようだ。その仲介を頼まれた」
「ダークエルフは今どこにいるのですか?」
「どうやらパロアにいるらしい」
「総統は仲介をする気ですか?」
「前の総統からダークエルフの機嫌を損ねるなと言われているのだ。ようするに必要以上に接触するなということだ」
「とすると、どういうつもりですか?」
「使者を追い返すしかないだろう」
「それでトルメキアは納得するのですか?」
「我々にとってはトルメキアよりダークエルフの方が危険なのだ」
総統はそう言った。
「…、分かりました、トルメキアには悪いですがそうするしかないようですな」
トルメキアの皇帝ナウルヴァーン宛にアルノールからの使者が届いた。
「アルノールは、ダークエルフを止める気がないと返事がきた!仲介はしないと言っている!どういうことだ!」
「間者によるとアルノールは我が国よりもダークエルフの方を恐れているようです」
。
「想定内の回答かと思います…」
「…、分かった、パロアには3つの街をくれてやれ…」
セントルシアの王宮で暇を潰していたがやっとトルメキアからの回答がきたようだ。
第一王子のガイラから呼ばれた。
「トルメキアから降伏条件を飲むと回答がきた」
「それはよかったですね、全面降伏ですか?」
「そうだ、賠償金も支払うと言ってきている」
「それでは俺もノワールの街に戻ります。俺が統治している領地ですからあまり留守はできないんですよ」
「そなたへの褒美はなにがいい?」
「別にいらないですよ」
「そういう訳にはいかないなにが欲しいか申せ」
「それじゃ、ミスリルの製法を教えて下さい」
「その製法はパロアの外には出せんのだ、すまん。それ以外にしてくれ」
「それじゃ、ダークエルフのいる場所を教えて下さい」
「それは私にもわからないのだ、お前以外で見たことはない」
「それ以外には特に欲しいことはないです」
「そなたの願いを聞き入れなくてすまない」
龍殺しのダークエルフは帰っていった。
その後、王子は軍勢を連れて街に入った。
「これは、まるで地獄のような惨劇だな…、ガンビア。お前は、ダークエルフの戦いを見ていたそうだな、どうだった?」
「あれは悪魔のようでした…、思い出すと未だに震えが止まりません」
ガンビアは震えながら言い続けた。
「笑いながら敵を殺して行きました。その速さは目に止まらないものでした。風のような勢いでいつの間にか敵の血が吹き飛んでいく一方的な虐殺でした、戦い終わった後は、腰が抜ける程の殺気を全身から発していました…、自分が殺されるのではないかと思いました…。まだ夢であのときのあの恐ろしい目を見ます…。そうすると全身が氷付きます…。その悪夢を未だに見ます…」
そして、ガンビアは訴えた。
「あのものを敵に回したらいけません!その時は我が国は滅ぶでしょう…」