第4話 遭難者
夕方起きて、宿で飯を食っていると女将のシルティさんにいきなり言われた。
「あんた、Sランクになったんだってね、すごいじゃない」
いきなりバレてるよ、ギルドの情報だだ漏れじゃないか。
「お祝いにこの飯代は、ただにしてあげるよ」
護衛の任務でもしてゆっくりしたいけど、魔剣代を稼がないといかんしなぁ。
武器屋に行って、相場をみてみよう。
「腕のいい武器屋を知らないですか?」
「それならこの街の東にグランって人がお薦めだよ」
東にその手の店が集まってんのかな。
お礼をいってグランって人の武器屋に行ってみた。
やはり高い…。それに、両手剣が多くて、双剣の魔剣は少ないなぁ。双剣人気ないんか…。
魔法付与防具とあまり変わらない値段なので当分は無理だわ。
武器を研いでもらって潜ることにした。
この迷宮に来てから、わかったことが一つある。
遭難者に出くわすのだ。迷宮の規模がでかいからなんだが、面倒な事が増えた。
日が沈んでから潜る俺は救助隊みたいなことをしている。
いちいち、地上まであがるので効率が悪い…。
でも、人がいると好きに戦えないから出て行ってもらうしかないんだが;。
人が確実にいないのは3階層の中部くらいからだ。
ここで遭難したらまず死んでる。
また、いらない噂が流れるんじゃないかと思うと鬱陶しいがほっておくのも気分が悪い。
しばらく、潜り続けていたらダークエルフの救助隊というあだ名に変わっていた…。
今日は2階層11階でPTを見つけた。
「ダークエルフがきてくれたぞ!」
「よかった帰れる!」
いやいやいや、俺の目的はそうじゃないから。
「もう戻りますよ、ちゃんと後ろにいてください」
「あの魔物たち固まってるんだけど?」
「拘束の魔法です」
「詠唱してないじゃない」
「詠唱するのが面倒くさいんですよ」
もう魔法ということにしている。
拘束してないやつはパラライズをかけて殺す。
シャーマンにあったらマジックドレインでMPを補給する。
たんたんと戦闘をしながら救助する。
地上に出た、お礼を言われて帰っていった。
また、ここからかよ。
今日は2回救助した。
というか、俺が来てくれることが前提になってる。
来ない日があったらどうするんだよ。
気になって毎日潜るようになった。
修理に出しても潜れるように魔法付与防具も2着買った。魔剣の方が欲しいんだよ…。
1ヶ月ほどしたところ、ギルドからの報奨金も出たのでつい防具を買ってしまったのだ。
感謝状とかもあったが断わった。ここを出ていく時に荷物になるようなものは持ちたくないからだ。
まあ、自分をクエストに出したら救助できなくなるのでギルドもなにも言ってこないだろ。
ギルドの職員にならないかと言われたが断わった。
戦闘以外はしたくないからだ。