第1話 新しい街
何も用意しないで出てきてしまった。
正直、困った。
食事には困らない。食えそうな魔物を殺してファイヤーボールで焼いて食べた。
南の街道も森が続いている。
このままいけば、街に出られるだろう。
野宿がやばいことにすぐ気づいた。地面に寝るのは魔物が襲ってくるのでまずい。
とりあえず、探知をかけながら木の上に登って目を瞑っているしかない。
ウサギよけにはなる。
ほとんど寝ない日が続く。
走りながら南を目指す。レベルが高いせいか体は軽い。
全体強化すればもっと早く走れるが暴走を抑えるのに疲れるからだめだ。
走りながら一週間で次の街に着いた。
ここはまだ伽盧皇国の中だ。でも限界だ。この街で一泊するしかない。
恐る恐る城門をくぐった。
「この街になにか用か?」
「冒険者です。ギルドカードもあります」
「1人で皇都からきたのか?どうやってきたんだ?」
「Aランクですから魔物なんて普通の動物みたいなものですよ」
「そうか?まあ、入っていい」
怪しさ満開なのにとりあえず入れた。
お金はある。宿に泊まろう。とりあえず、眠りたい。
宿を探したが、ダークエルフだとなかなか泊めてもらえない…。
やっと泊めてもらえる宿が見つかった。和泉亭って宿だ。
前払いでお湯を貰って体をぬぐってから寝る。
一日でここを出るということも話した。
後は、もう知らん。寝た。
朝になった。早くここを出たい。
南の城門に行ってみた。
「でかけるのか?身分証をみせろ」
「冒険者です、これがギルドカードです」
「うむ、通っていいぞ」
完全スルーだ。
宿で次の街までの距離も聞いた。走って4日くらいだ。
なんでこんな目に会わなきゃいけないんだと思うがしょうがない。
結局、アルノール共和国にたどり着いたのは皇都から出て3週間後だった。
そこから護衛のクエストを探して、街から街に移動したので楽だった。
ダークエルフというのは怪しいが、Aランクというのが効いた。
このノワールという街に来たのは、迷宮があるからだった。
北の国にいかなかったのは、そこはトルメキア帝国だったからだ。
皇帝とかいるのがまずヤバい。また同じ目には会いたくない。
この国は共和国だから、ヤバさは低いだろうという考えだ。
民主主義バンザイ。
まずこの国は半島になっている。それと島国を含んだ中央大陸南部の国だ。
伽盧皇国と共通言語だから問題ないだろう。ドイツ語だ。なぜかはわからない、それは謎だ。
とりあえず、宿を探した。Aランクだから多少高いところでもかまわない。
ダークエルフでも泊めさせて貰えたのはイシュタル亭という宿だ。
1ヶ月分を前払いした。あとは、冒険者ギルドに行く。
情報を仕入れないとどうにもならない。
迷宮の構造は、とにかく広い。
それが階層になっている。
4階層になっているのは同じだ。
伽盧皇国の迷宮より規模が大きくなった感じだ。
そこまでは事前に調べた。
あとは、細かい情報だ。
どうも、魔物の種類は基本的に同じようだ。
Aランクなら3階層までいける。
違うのは1階層12階だ。
広さも深さも規模が大きい迷宮になっているようだ。
PTに入るのはもう懲りた。ずっとソロでやると決めている。
後は、目立たないようにするだけだ。
酒場にもいかない。
ギルド以外は冒険者が行かない場所でおとなしくしていることにした。
今の問題はMPが足りないことだ。上級魔法が1発しか撃てない。まめに魔法を使っていこう。
そうすればMPも増えるだろう。俺は魔法使いになる。呪術師だけど…。
それと武装の強化だ。やはり、魔法剣が欲しい。防具は革製だから魔法付与とかしてもあまり防御力は変わらないだろう。