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4・領主の能力

 領主たちの世界では、ケッコンしてツレになったふたりが、教会・神殿そのほか神のいそうなところへせっせと祈って寄進をすれば、しかるべき日にしかるべきコをさずかることができる。


 生まれたてのコは、たいていは教会・神殿そのほかの宗教あるいは無宗教施設の中で見出されるけれども、ごく稀に施設の外で、誰のコなのかわからないコが生まれることがある。


 かつてカミノコとも言われていた時代には、カミに敵対する存在のせいか、正しいオヤの感情の補佐(アイと呼ばれているような感情)がなかったせいか、どうもうまく育たなかったため、あえてステゴと名づけて、雑に育てた領地では無事に成長することが多かったため、各領地の領主もそれにならうことにした。


 領主はツレは持ててもコは持てないことになっている。


 そのかわりに、ステゴ=カミノコを育てる義務を負っている。


 ステゴは異能力を持つため、ヒトノコとは異なった育てかたがされた。


 領主になれるのはステゴでしか許されない時代が長く続いたため、ステゴ=貴族あるいは領主、として扱われるようになり、ステゴであり、コを持てない領主は、適切な人材を、適切な年齢のステゴの中から選ぶようになっていた。


 しかし、帝国の敗戦とそれにともなう共和国指導による制度改革で、それ以前より進められていた貴族・領主専制制度の見直しは加速され、一般市民が領主、つまり領地の代表者になるところも、それなりに増えていった。


 この物語の領主は、昔からある時計台の近くで拾われ、それは大変めずらしいことだった。


 ステゴの異能力は、自然や動物の能力、つまり火とか水をあやつる能力、動物に変身できる能力が一般的ではあるのだけれど、この領主はキカイの能力を持っていたのだった。


 どんな能力かというと、みなさんもよくやってたりするでしょ、って、みなさん、って誰やねん、つまり「倍速」。


 つまらない記者会見や動画配信を見たりするとき、ついやってしまう時間節約の方法である。


 領主は、つまらない会議や学校の授業は「倍速」で視聴し、自分で書類を見たり予習をするときには自身を「倍速」で動かして片づける、という、実にズルっぽい能力なのだ。


 なお、3倍速や7倍速、最大では20倍速にすることもできるのだけれど、それでは何言ってるかわからないし、自分をその速さで動かしたら骨折する危険があるので、「倍速」以上にはめったにしたりはしない。


 どうだ、すごいだろ、と、こんな能力考えた自分、って作者なんですけど、をほめてあげたい。


 確かに、戦闘のとき加速するのはありますよね、古いところだとサイボーグ009の加速装置とか、ファンタジー世界の主人公の異能力とかでも。


 でもそれだと、年取っちゃうからね。


 だいたい、みんな、普通の生活してて、倍速で戦うことなんて実際にあるかよ。


 倍速で視聴したいもののほうが多いだろ。


 なお、相手を倍速で視聴している間は、領主はのろのろとしか動けないかわりに、年を取るのが遅くなる。


 家令は、領主の成長がどうもはかばかしくない、ということを気にしているけれど、それは栄養が足りてないのではなく、くだらない会議が領主になってから多くなりすぎたせいだろう、と、領主は思っている。


 正式な領主および社長になってからはまだ時間は経っていないけれども、先代の領主が次代領主を選ぶ事前事務として、書類仕事と人間観察は、それなりにやってきた。


 領主が、領主としての執務室に入ったころは、葉を落とした木々と茶色い枯れ草が、執務室の窓から見えていた。


 今は、さまざまな花が咲き、草地はうす緑色に変わり、ときどき窓を開けると、寒さがまだ勝りながらも暖期の盛りが近いことを感じさせる空気が入ってきて、執務室の紙類をさわさわと動かすこともあった。


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