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21・領主と魔界の郷土納税

 領主は執務室の自分の机の上で、大きめの携帯端末を開き、郷土納税に関する網站を眺めていた。


 ふむ、帆立に米に肉、それに素麺と醤油の套箱か。


 まさか領主も他領地への郷土納税を考えているのではないでしょうな、と、いきなり人事大臣が後ろから声をかけた。


 びっくりさせるなよ、こっそり来てたのか。


 人事大臣はしょっちゅうそんなことをやるのだった。


 いやもちろん、そんなこと考えてないよ、なに言ってんだよおまえは、ちょっと見てただけ、見せただけだから、と、領主は両手を広げてあわあわと振った。


 説明すると、この郷土納税という制度は、あちこちの領地が設けており、地元の特産品や名産品、それに農産物・海産物といった商品を、地元以外のものによる納税の謝礼として送るという制度である。


 さすがに領主とか領地の閣僚ががそんなことやっちゃだめでしょねーと人事大臣は領主より残念そうに言った。


 当たり前だよ、郷土納税税として、他の領地に収めた額の追加税収を要求する制度を作っちゃうよ、と領主は言った。


 ところでうちの方でもやってたんじゃなかったっけ、ほら高級旅館の1泊宿泊券とかさ。


 王都のごく限られた地域では、本当に高級な旅館はありますけど、うちはなかなかそこまでは、と、人事大臣は言った。


 あと面白いところでは、他領地では自転車とか重機なんてのもありますね、かなりの額の郷土納税をしないと難しいんですけど。


 なおこの制度はだんだん利用がきびしくなるため、利用したいかたはお急ぎください。


 誰に言ってんの、と、領主は聞き、いや普通に読者にですが、と、人事大臣は答えた。


 うちも名産物とか特産品の謝礼考えて、あちこちから郷土納税かき集めないといけないなあ。


 わが領地は、たしかに農産物は取れますけど、ほかの領地と比べると、ぶらんど力とか知名度はありませんし、ほぼ近隣の領地を含めて、地産地消の状態であります。


 いや、工業商品とかあるだろ、うちの領地にある護謨会社は、あちこちの企業に信頼されてて、部品の一部として納品とかしてるし、じゃむとか、高いところでは自転車なんかどうかな。


 郷土納税は、原則として地元で作られるものでないといけない、というのが軛でしてねえ、と人事大臣は説明した。


 その規定によると、謝礼として送れるものは……じゃむの蓋、の、しっかり締めるための護謨部分とか、自転車の車輪護謨……あ、握り手も大丈夫ですけど、そんなもんもらってもしょうがないでしょうな。


 あとは護謨球と、食用護謨、それからお前らがおすすめの全護謨製の馬具か、と、領主は、とほほ、という気分になった。


 その点はご安心ください、昨年開発した新謝礼があります、と突然あらわれた軍事大臣は自信満々に報告した。


 我が領地にある沼地で採れる特製大型ウナギの生体出荷が大変、一部のかたには好評だったのです。


 あー、あのすごいでかいやつか。


 勇者集団の中では、何人か半死半生になったり、初級集団が全滅したりとか、素人向きではありませんけど、味は大変評判がいいのであります。


 やっぱ魔力保存とはいえ、生きたままのウナギを送るのはまずいんじゃないかな、と領主はまともなことを言った。


 なに言ってんですか、その食うか食われるか、という微妙なところが人気なんですよ、それにウナギは冷凍とかにして送るより、生きたまま送って、ウナギ職人にさばいてもらったほうがだんぜんおいしいのであります。


 しばらくわたしもそのようなぜいたくな食事はしていないので、視察をかねてウナギの養殖池に行ってみようか、と領主は言ったので、軍事大臣は、やった、という顔をした。


 腕がなる戦いのあとに、おいしいウナギを食べられるというのは、軍事大臣の闘争欲と食欲が満たされること確実なのである。

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