13・領主の学友と生徒会長
領主の学友であるタツミに、戦闘能力で領地の中ではいちばん、ということになっている軍事大臣は、肉体戦闘では勝てなかった。
魔力を使えば、軍事大臣より強い者もいることはいるので、その者に、能力使ってよし、ということでも勝てなかった。
じゃあこの中でいちばん弱そうなやつをタツミと戦わせてみないか、と領主は提案し、、タツミとなんか弱そうな兵は、同時にぶっ倒れた。
なかなかやるな、と、タツミは言い、お前もな、と弱そうな兵は答えた。
大体わかったろう、この子はちょい強い奴には強いけど弱いやつではそうでもないんだ。
しかし、軍事大臣の真の能力、つまり早めし大食いに勝てるかどうかはわからない。
そういう方面での肉体は、タツミは鍛えていなかったのだった。
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それからしばらくして、タツミは生徒会長と一対一で、正式な能力闘争をすることになった。
私に負けたら、その座をいただこう、と、タツミは言った。
なお、その模様は学園の放送部によって全世界に流されるというのもまた様式美ではある。
何しろ今まで生徒会長に挑んで勝った能力持ちはいないのである。
戦う前にタツミは、大きめの杖を手にして、通常使われる魔力集中をおこなった。
しょせんはったりではあるけれどもまあ目くらましにはいいだろう。
生徒会長は、なんかハリネズミみたいな感じがするヒトで、領主よりはすこし大きい程度の、試合に臨んでは錫杖を持ち、ぷるぷるしながら、どこからでもかかってきなさい、と言った。
生徒会長が戦った相手は、炎熱の魔女、氷結の皇女、モロッコの辰、スッポンの政、とんがらしの五郎、などなど、歴代でも有数の能力持ちだったけれど、その能力はことごとく生徒会長には効かなかったのである。
タツミは相手をいきなり杖の先でぽかっと殴ったら、かなり初手から効いたようで、生徒会長は、いったーい、と言ってうずくまって涙目になった。
なんで魔力とか能力で攻撃してこないのよ、という生徒会長に対し、そんなの関係ないとタツミは容赦なく、ぽかぽかと殴り続けた。
単純な武器の威力では、タツミの杖のほうが生徒会長のおしゃれ錫杖より全然強い。
能力持ちの能力を無効化する能力を持つ生徒会長に対し、無効化する能力に限らずなんでも複写できる複写能力の持ち主であるタツミは、能力ともなんの関係もない単純な物理攻撃で生徒会長に簡単に勝った。
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今すぐ生徒会長の地位を渡すのは無理なので、次期にはよろしく頼みます、と、タツミの将来は保証された。
これもあんたの効果的なな指示のおかげだ、ありがとう、と、タツミは言って、お礼にタツミの領地からリンゴを一箱送って領主にプレゼントした。
タツミの領地は北国にあり、戦前からリンゴの産地として有名なのである。
これからもよろしく頼むぜ、ミカン、とタツミはいった。
なお領主の学校内での偽名はミカン、ということになっている。




