12・領主の学友・2
領主に学園内で、友にならないか、と提案したタツミは、能力的にはよくある自分の複写能力を笑われたので、様式美のどこが悪いんだよ、と、すこしプンプンした。
実際には、複写能力はかなりレベルの高い能力で、実際に持っているものはひと世代に数人ぐらいだろうか。
なぜわたしのようなものと仲良くなろうと思ったのだ、いったいあなたにどんなべねふぃっとがあるのだ、と、領主は聞いた。
めりっと、と言わないところが雑なふぁんたじぃとは違うところである。
私ってさあ、目立っちゃうんだよね、だから一緒にいるとなんか目立たたくならないかと思って、とタツミは言った。
考えてみると、ヒトとの交流を、自分に利益があるかないか、で選んでいてはいけないのだろう、と、領主は考えた。
自分が誰かの利益になるなら、それも悪くないかもしれない。
とりあえず、この学園でいちばんえらい生徒会長をボコって、次期生徒会長になろうか、と思ってるのね、と、タツミは言った。
「まず、それは『とりあえず』ではなく、誰であろうとボコってはいけないのではなかろうか」と、領主はまともなことを言った。
ふたりは、この暖季より新一年生になったため、学校の制度や生徒もよくはしらない。
しかし、腕力や能力で生徒会長のような重職、というより管理職を決めていいものなんだろうか。
「今の生徒会長は能力の強さで選ばれ、その能力はあらゆる能力を無効化できる……おい、ちょっと待てよ、またそこで笑うなよ、確かにまぁ様式美ではあるんだけど、強いよ」
「えーと、ちょっと考えさせてね、あなたの能力で生徒会長を倒そうとすると、向こうの無効化能力が無効になって、でも、あなたの複写能力が無効になるんだから、無効化能力は有効になるのでは」
ややこしい能力だな、どちらも。
「友になるのも、協力するのもやっていいけど、わたしの倍速能力は自分にしか効かないよ。誰かを倍速にして戦わせたりはできないから」
そんなことのために、私の仲間になって欲しいわけではない、とタツミは言った。
「それじゃ、その前にひとつお願いがあるんだ、と、領主は言った。
*
領主はタツミとともに領地に戻り、軍事大臣に言った。
「あんた前から自分の教練相手に、もっと強いやつが欲しいなぁ、って言ってただろう、連れてきた」
こんなやつがですか、という風に、いつも大体のものを舐めている軍事大臣は、それでも練習場に行き、領主は保存食の乾飯に海苔とお茶をかけ、軽食として、流行の音楽を聞きながらしばらく、それなりの時間を待った。
軍事大臣はけっこう長時間にわたって戦ったあと、音を上げて戻ってきた。
「この者は強いですな」
まあ、そりゃそうだよね、あんたと同じ強さだからね。
領主は心の中で言った。




