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10・領主たちの世界

 ここでもうすこし、読み手にも面倒かもしれないけれど、書き手にはもっと面倒である、領主たちの世界あるいは世界設定について雑に整理してまとめておく。


 頭の中に浮かんだものがそのままテキストになるような道具があるといいんだけれど、しかし音声入力とどこが違うのかわからない。


 領主たちの世界には、裏でこっそり、あるいは公然と、ヒトには将来達成するかもしれないけれど、その時点では未知の部分が多い技術を、宇宙人が提供している。


 宇宙人、と、とりあえず言っておくけど、ヒトではないことは間違いない。


 ヒトとは異なる、ヒトとダンゴムシぐらいには異なる、超知性体である。


 つまり、ヒトのような感情をもっているのかは、ヒトにはわからない。


 宇宙人は貴金属や宝石など、ヒトが尊ぶものにはほとんど興味がない。


 地球のどこにでも生えてたり育っている珍しくもない雑草や、キツネ・ネコといった、宇宙人にとっては「命」を感じさせるものとか、石油などによって作られる化学合成物質のいくつかは、取引の材料とされる。


 宇宙人が提供しているものは、たとえば通信衛星や気象衛星、そのほか人工的に作ることは可能だけれども、地球からロケットを飛ばしたりしなくても、宇宙人が安価に軌道上に乗せられる便利道具で、軍事用のものも作れるんだけど、あなたたちに危ないものの開発は自分でやってね、と言われていて、現在ヒトの科学者によって開発中である。


 ちなみに費用はものすごくかかる。


 原子爆弾のような大量破壊兵器も、ウランやプルトニウムを使えば作れるけど、原材料は自分で調達してね、みたいな同じことを言われている。


 世界の上をぐるぐる回るたくさんの、宇宙人の技術による通信衛星、そして一緒に技術提供された通信端末を使うと、個人が持ち運びができる程度の、蒲鉾板ほどの大きさの道具で、各個人同士の情報のやり取りが可能なうえ、世界中の公開されている情報を得ることができる。


 それは文字だけに限らず動画や映像でも同じことである。


 しかし、宇宙人はヒトの築き上げてつつある文明や進歩に対しては不誠実なのだった。


 帝国のかつての同盟国であった新帝国が起こした、特定民族の大領虐殺とか、

共和国による都市への爆撃や大量破壊兵器による大量殺人にも干渉するようなことはなかった。


 想像力が豊かな科学者の中は、宇宙人が求めているものは、ヒトによる「物語」であり、物語がたくさん生まれるためには、たくさんの悲劇が必要だという判断があるのだろう、という仮説を持っている者もいた。


 つまり残虐行為によってもたらされる人の感情、悲しみや怒りといった負の感情は、喜びなどと比べても力強いという判断がされているのだった。


 人にとって不幸なことかもしれないけれども、それだけで宇宙人の技術提供という風な安易な依存を回避することにはならない。


 領主やそのほかの者たちが、携帯端末を使って連絡をしたり、軍事機密以外の情報を安価に入手したりできるのは、話の都合もありますけど、ってそれはぶっちゃけすぎなので置いといて。


 人事大臣の話によれば、情報流通・生成の技術は、私たちと似ているけれども、宇宙人のいないヒトの世界の数十年後のものだそうである。


 かくして、領主は学校の授業も、録画された動画を遠隔でしょっちゅう視聴していた。


 倍速で。

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