志賀直哉の短編「灰色の月」
志賀直哉の短編「灰色の月」は文庫本でたった4ページの長さの短編小説だ
是非読んでほしい作品の一つだ
舞台はちょうど80年前、「昭和二十年十月十六日」の東京、山手線の車内である
主人公の「私」は東京駅から品川方面に向かう電車に乗ると、座席に17~18歳と思われる少年工がいた。
目をつむり、口を開け、眠っている? いや 乗客たちは病気か、酔っぱらいかと疑った
乗客の一人が少年工にどこまで行くのか尋ねると、上野と答える
東京より四つ前の駅 少年工が乗り越しに気付き体を起こすと、重心を失い「私」に寄りかかってきた。「私」の体重は50キロほどだったが、少年工の体重は少年にはちと軽すぎる
「戦争が終わり、そして子どもたちの戦いが始まった」ということであろう
それによると、上野駅は1945年3月の東京大空襲で比較的被害が軽かったので 東京の玄関口である上野駅周辺では、空襲時に火事が広がらないよう、あらかじめ建物が取り壊されていたためとみられる
駅には戦後、空襲で住む家をなくした人たちが雨風をしのごうと集まってきた。46年11月に東京都が行った調査によると、その数は千人以上で、戦争孤児も多く含まれていた。駅の地下道は外よりも暖かかったが、食べ物が少なく、大勢の人が病気や栄養失調に苦しんでいたのだった
終戦直後の一幕を描いた作品であるが非常に読みやすい作品であった
みなが苦痛になるがつつましく生きようともがく少年を描いている
少年はろくに食べることも出来ず栄養失調死であった
胃を指差して一歩手前とはそういう描写なのだと私は思う
終戦直後でみんな苦しい中でわたしも乗客も手を差し伸べてやることもできない
「どうでも、かまわねえや」の一言に応えるやることもできないのだろう




