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トイレの花子さん  作者: NNNNNmatchy
第1部 葉菜子編
3/4

双山小学校の黒い噂

【群馬】黄泉市にまつわる噂スレ その28


▼ 0258 本当にあった怖い名無し 20XX/12/23(月) 19:24:05.65

そういえば双山小学校のあの噂って結局マジなの?


▼ 0259 本当にあった怖い名無し 20XX/12/23(月) 19:49:48.34

噂ってどれ

いっぱいありすぎる


▼ 0262 本当にあった怖い名無し 20XX/12/23(月) 22:37:19.32

>>259

いや普通にあの有名なやつ

3階の女子トイレで呪いが叶うっていう


▼ 0264 本当にあった怖い名無し 20XX/12/23(月) 22:51:19.39

え、トイレの花子さんじゃなくて?w


▼ 0267 本当にあった怖い名無し 20XX/12/23(月) 23:06:48.34

だから花子さんがその呪いを〜ってやつでしょ

てか4年前(だっけ?)に盗みが入ったとかってなんだったの

目が潰されたとかそんなのなかったっけ


▼ 0269 本当にあった怖い名無し 20XX/12/23(月) 23:12:47.99

あれ泥棒とか言われてるけどどう考えても呪詛代行だろ

目は単純にそのための犠牲


▼ 0275 本当にあった怖い名無し 20XX/12/24(火) 01:20:12.49

黄泉市全体ヤバいけどなんで小学校にあんな怪異が集中してるんだ?

パワースポットかやっぱ


▼ 0277 本当にあった怖い名無し 20XX/12/24(火) 03:09:18.07

なんかラッパーの友人探してるとかいう変なDJが俺の知り合いにいたな

記憶が書き換えられたとかもうわけわかんねえこと言ってて怖かったわ

それは別に関係なさそうだけどそいつ曰く小学校の近くにある神社からトンネルのらへんが霊の通り道だとか

だから小学校があの世との窓口なんじゃねw


* (ここで怪しげなラウンジミュージックが流れる)


「警部、どうです?」

「どうです?、じゃないよ眠いよ……こんな朝っぱらから」

「発見者は教頭だそうで、いつも通り7時に来たところこの旧校舎の裏庭で倒れている校長を見つけたとのことです」

「じゃそいつが犯人だろ」

「しかし土曜でよかったですね」

「何が」

「ほら平日だと登校日じゃないですか」

「ああ、もし犯人が校内のもんなら面倒ごととか見越して土曜に合わせたんだろう」

「一応クラブ活動で登校する子たちの親御さんには連絡をしてあるそうで」

「ふーん。こいつなあ……悪名高くて有名だったからな」

「そんな悪徳な奴だったんですか」

「この男に恨みを持ってるヤツなんざわんさかいる。誰に殺されてもおかしくない」

「検死官の見立てでは致命傷に不自然な点があると断定されてますね」

「と言うと?」

「はい、転落死で間違いはないのですがどうもここではないかと」

「つまり移動した形跡があると?」

「のようです。やはり単なる事故死とは考えられませんね」

「ほう……誰かが事故死か自殺に見せかけた……?」

「警部、あるいは殺人に見せかけるために移動したとは?」

「何の意味が。理由が分からんな」

「例えば周りの者への見せしめとか?」

「一番しっくりくる線ではある」

「こいつはどんな奴だったんです?」

「腐りきった野郎だ。20年前、市が合併する話が持ち上がった時、市長選挙で相手の候補者がそれを推していたことがあった。校長が付いてた陣営としては市が大きくなって支配力が弱まり地域開拓で色々と掘り返されると都合が悪く、どうしても勝ちたかった。それでどうしたかというと手下の者たちを誘惑し、相手の議員を事故に見せかけて大怪我をさせて勝ち取ったって話だ。それを編み出したのは言わずもがなこの男で」

「捕まらなかったんですか」

「捕まったよ、実行犯の一人が」

「うーん……今にしてその鉄槌が下ったと考えるのは?」

「いやいや今話したのは氷山の一角だよ。もっと悪いこともやってるだろう、叩けばボロボロ埃が出てくる。捜査は困難を極めるな」

「ヤクザや政治関連の報復……迷宮入りしてもおかしくなさそうですね」

「いや、迷宮入りにはしない。事故で処理する」

「そんな! 許されませんよ。市民の安全はどうなるんです?」

「何言ってんだ? むしろこいつが死んでみんな喜んでるだろう。真実を暴く方がよっぽど市民の安全を脅かしてる」

「しかし……」

「それになぜ我々が呼ばれたと思う? 黄泉の管轄だろ普通は」

「それは警部がこの男に詳しいからでしょう」

「で、お前は? この間こっちに来たばかりの新人だろう。どういう意味か? 教えてやろう。“深く関わるな”だ。暗に事故処理しろと言われてる」

「では悪事を知りながら見逃せと?」

「なあ、お前はたぶん良い刑事になるんだろう。正義感に溢れて、人思いで……でも今この事件を追おうとするお前は定年を無事に迎えようとしてる俺にとって迷惑な部下だ。なんだ? その髪は。若い頃のブラピか?」

「ぶらぴ……? って何ですか。BLACKPINK……? パリピや、すきぴのようなものでしょうか?」

「ブラピも知らんのか。そんな奴が事件を解明しようって? 無理無理。ていうかさ、警察との癒着だってあるんだぞ? 揉み消されるのがオチだ」

「その後ろ盾を崩すのが──」

「俺は早く家に帰ってビールが飲みたい。お前もそうだろ」

「……警部も闇に侵されてますね」

「賢く生きるってのはそういうことだ」

「この男とおんなじです」

「そうか、じゃお前が捕まえろ。俺は一刻も早くこの市から出たい。こんな気味の悪いところに住んでて、市民の安全もクソもあるか」

「老いぼれは大人しく家に帰りましょう」

「そうだ、その老いぼれからもう一つ情報提供だ。どうもこいつが校長に赴任してからこの学校の怪現象が立て続いてるらしいぞ。命がいくつあれば解決できるんだろうなあ? ま、気をつけて頑張ってくれよ」



 葉菜子は戦慄した。

校長の死。それだけでも凄い衝撃だが、あのトイレでの怪現象の翌日。

瑠衣の行動、あたしへの態度。魔女の見せた謎の言動──。

まさにその真下で発見されたってことらしいけど……ほんと?

で、それらは偶然でいっさい無関係?

怪しすぎない……?

「いいなあーハナちゃん。明日も休みなんでしょ?」

 日曜深夜。風呂上がりでアイスを頬張る姉が言った。

朽木 (みつ)()

葉菜子の四つ上で高一。

「うちんとこも誰か死んじゃったりしないかな」

「ちょっと」

「あ、今のはさすがに不謹慎すぎた」

「今ね、気になって調べ始めたんだけど」

「え? その校長のこと?」

「さっきも話したけど、絶対なんかあると思わない?」

「いや〜あると思うけど……首突っ込まない方がいいっしょ」

「でもどうも気になっちゃって」

「危険だって。うちが通ってた時もやばすぎて近づかなかったもん」

「そうだけどさあ」

「一歩タイミング間違えたら口封じされてたかもよ?」

「え、誰に?!」

「うーん、その転校生の子か魔女、てかその二人?」

「こっわ! 怖すぎるって」

「だからやめときなって。明日は? 芽衣ちゃんと聖来ちゃんとかと遊ぶの?」

「いや、家でダラッとしたいかも。ちょっと微妙に一緒にいるの疲れる時あるし」

「あんなにクラス一緒になるの望んでたのに?」

「距離感バグったかな。って、え? これって……」

「ん?」

 だべりながらスマホを流し読みしていて、双山小学校に関するある記事が目に付いた。

教育委員会、過去のいじめ問題、損害賠償請求……何やら物騒なワードが並ぶその中でちょくちょく登場する名前があった。

「この、津田って、あの……?」

「例の不登校の子、だっけ」

「……まさか、ね」



【群馬】黄泉市にまつわる噂スレ その29


▼ 0097 本当にあった怖い名無し 20XX/04/20(日) 03:33:33.33

校長が死んで終わったと思うか

引き続き担任を務めろ

願いは成就させる

ただあのやり方は感心しない

恐怖政治は長くは続かない

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