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やっとわかった自分の属性

本日五話目です

お間違えの無いようにお願いします

「君の属性は・・炎と太陽だな!」


「おぉ、二種持ちか!」


「素晴らしい、流石は太陽の神子だな!」


「うむ、我が国も安泰であるな!」


遂に分かった自分の属性に頬が緩む。

父と同じである炎と、先程授かった加護のおかげで使えるようになった太陽の属性のいわゆる二種持ちと言われるものである。

加護を授かった者の中には太陽だけしか現れない者もいると聞いていたため、少し不安だったのだが、何とかそれ以外の属性も使えることがわかってホッとした。


こちらを見ていた父に目を向ければ、それはもういい笑顔でサムズアップしていたので私も同じように返しておく。

いい息子とはそういう者だ、知らんけど。


ともあれ、私のここでの目的はこれで終わった。

私が最後だったのもあり、変に注目されていたので早いとこ退散したいと考えていたのだが、それを周りにいた大人達に阻まれる。

どうやら私と親交を深めたい人が多いらしく、話しかけてきた人のほとんどは勧誘だった。

それを全部丁重にお断りし、ようやく父の前まで辿り着いた私は、最後に全員に挨拶してその場を後にする。


「はぁー、儀式よりその後の方が疲れたよ・・・」


「はっはっは、神子に選ばれた者の努めと思って割り切るしかないな!それ程までに凄いことなんだ、誇っていいぞ!」


「んー、まだピンと来ないからなぁ・・まぁくれるなら貰うけどさ」


「ったく、お前はもっと信心深くなれ・・・太陽神フレイバル・ドーン様は何時でも俺たちを見守っていてくださっているんだぞ?そんなんじゃいざという時に助けていただけないぞ?」


これだけ厳つい見た目をしているのに、蓋を開けてみれば熱心な教徒なんだから分からないものだ。

私の元いた日本だと、そこまで宗教とか教会には縁が無かったため、不思議な感覚だった。

むしろ嫌なニュースしか見た事がないため、イメージがあまり良くないというのもある。

だからこそあまり関わりたくは無いのだが、初っ端から目立ってしまった。


しかも父が言うには、神子に選ばれた人間に嫉妬して、その神子を殺して生き血を啜る野蛮な教徒なんかもいるみたいなのだ。

なんだそれは、発想がぶっ飛んでてよくわからない。

そんな怖すぎる話を聞いたあとでは、やっぱり面倒臭いものを授かったかもしれないと思い始めた。

とにかく、加護を授かったことはあまり広めないよう父にも言っておいた方がいいだろう。

それよりも気になることがある、私は父に尋ねる。


「父さん、炎属性の魔法の使い方教えてよ!」


「父さんが得意なのは、魔法というよりも炎を武器に纏わす付与(エンチャント)の方だが、それでもいいか?昔から魔力制御が苦手でな、自分の体から離れた魔力をうまく制御できないんだ。だからいつも自分が持っている武器に付与して使っているんだけど、それでもいいのか?お前はいつも魔法にあこがれていたじゃないか、それなら母さんの方がうまく教えてくれると思うぞ?」


「ううん、剣術の修行の時に付与も一緒に教えてよ!それなら一石二鳥じゃないか!」


「いっせき・・・?なんだ?それ」


しまった、この世界にはない言葉だったか。


「こ、この前読んだ本で見たんだ!一個の修行で二個の修行ができることって意味!」


「ほぇー、やっぱりお前は賢いなぁ・・」


父が馬鹿で助かった。意味は少し違うが大体あってるのでまぁいいだろう。

私がそうやって考えていると、いつの間にか家に着いたようだった。

家の中に入ると、ごちそうでも作っているのかとても食欲を刺激するにおいが香ってくる。


リビングを抜けて食堂に入ると、母が鼻歌を歌いながら料理を作っているのが見えた。


「母さんただいまー!」


「おかえり、遅かったじゃない何かあったの?」


「うーんまぁちょっとね。疲れたから夕食まで部屋で休んでるよ!」


私がそう言って食堂を後にすると、背後から興奮した父の声が聞こえてくる。


「マリー喜べ!クラウンが太陽神様の祝福を受けたぞ!あいつはきっと立派になるに違いない!」


「まぁ本当!?でも、その割にはあの子あんまり喜んでなかったような・・?」


「あー、司祭様や他の見物客にしつこく勧誘を受けていたからな。その対応に疲れたんだろ」


実際は加護を貰ったことで巻き込まれるかもしれない面倒ごとのことを考えて気落ちしているのだが、そんなことを考えるのはこの世界で私くらいなのだろう。

とにかく部屋に戻った私は、ベッドの上に身を投げ出す。


(ステータス)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


クラウン 5歳 男 属性 炎 太陽


筋力:8


耐久:3


敏捷:6


魔力:101


加護:【太陽神の加護】


スキル:【百面相】lv.1【速読】lv.2【魔力循環】lv.4【異世界言語】


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


新たに属性と加護が増えていた。

今まで空白だった属性の欄が埋まったことに頬が緩む。

気落ちしていたが、魔法が使えることが分かるとそんなものはどうでもよくなった。

要は強くなればいいのだ。面倒ごとに巻き込まれても跳ね返せるよう強くなろう、そう心に決めた。


父に教えを乞うよう頼んだが、使えると分かれば使ってみたくなるのが人間というもの。

私は魔力の出力に気を付けながら、人差し指の先に小さな炎を灯す。


「できた・・・!綺麗・・・」


魔法は想像力がすべてだ。

どの程度の規模で、どのくらいの魔力で、どのような効果か。

それを詳しく想像できなければ、魔法は発動しないといわれている。

以前読んだ本には、「魔法は創造するものである。どんな事象が起こるか、それを頭で想像し創造するのだ」と書かれていた。

一般的には一度使った魔法に名前を付け、その魔名を口に出すことでその過程を飛ばすことができるらしいが、魔法を放つたびに出力や規模をいちいち計算して放つ人なんかもいるらしい。


そこに一体どんな利点があるかというと、無詠唱で放つことができるという利点がある。

この世界に魔法というものはありふれているため、魔名が被ることが多い。

中には自分だけのオリジナルの呼び名をつける人もいるが、それでも魔名から得られる情報というのは意外と多い。


例えば私が今発動したこの指先に小さな炎を灯す魔法。一般的には(トーチ)という魔名がついている。

灯と聞けば、誰でもこの魔法を思い浮かべるわけだ。

それだけでアドバンテージが得られるようになるため、魔法使いは皆、無詠唱で放てるように練習するというわけだ。


「まぁ対人以外に役に立たないからって、最近はめっきりこの考えは廃れてきたらしいけど・・」


魔物には人間の言葉など理解できないのだから、そんなものは必要ない、と最近では無詠唱を習得するものがめっきり少なくなっていったらしい。

だが、真に魔法を使いこなしたいと願うならば、無詠唱でこそだろう。

無詠唱といえば、小説で強いでおなじみだ。強くなると決めた今、極めないでどうするというのだ。


その思いを胸に、私は成人である十五歳までに無詠唱をマスターすることに決めたのだった。



あと五話続きますので、気になった方がいらっしゃれば是非ブックマークをしてお待ちいただければ幸いです!

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