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入れ替わりのプリンセス  作者: 夜宮
プロローグ
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覚醒した悪役令嬢カレンの暗躍 6

 カレンはまず物語の中でもずっとカレンを愛してくれていた父親との関係を修復することにした。


 そして、もちろん第二王子と婚約したいなどという世迷言を言い出すことなどしなかったし、父親が第二王子派にならず中立を保っているかの確認を怠らなかった。


 それから、悲劇の令嬢クロエをみすみすセルジュ公爵たちに殺させないために自分に何ができるかを考え続けた。


 学園入学前に起きるであろうクロエ殺害計画を絶対に阻止したい。

 協力する相手は変わっても殺害が行われる時期や手段は変わらないだろうからその際に手を打てるように準備することにした。


 それに、とカレンはクロエを助けるメリットについて夢想した。


 ”クロエを助けることはノアがヒロインと恋に落ちる未来を不確定にさせるだろう。


 私は傲慢にもノアの運命を断りもなく勝手に変えようとしているわけだけど、妹のように大切にしていたクロエを、自分が側にいなかったばかりに失ってしまったと後悔するノアはたぶん、ヒロインにクロエの影を見ていたところがあったと思う。


 だから本物のクロエが側にいればノアはヒロインに惹かれたりしないのでは? という思いが捨てきれない。


 ノアが本当にヒロインを愛していたのなら、まるで未練なんて感じさせず妹の結婚を心から祝福するかようにして去っていくなんてことにはならなかったはずだと物語を読むたびにそうとしか思えなかったし。


 私の考えが正しければ、本来なら亡くなるはずのクロエを助けてしまうことでヒロインを好きになるというノアの運命を変えてしまう可能性はあるかもしれないけど、結果的にそのことで誰に迷惑をかけるわけじゃないし、結ばれない相手との不毛な時間をすごすよりノアにとっても幸せだと思う。これもすべてクロエを助けるためだと思って許してほしい”


 そうだ、それでいいじゃないかと多少感じた罪悪感を綺麗に捨て去り、カレンはクロエを助けるためにはどうすればいいか考えることに集中した。


 幸い学園入学の年までは時間があった。


 カレンはとにかく色々と頑張った。


 そして、決意どおり父とは少しずつ互いに歩み寄って行き違いをなくし、当然のごとくライアンの婚約者にはならず、なんとか学園入学前のクロエ襲撃事件を未然に防ぐことができた。


 だからといってクロエに関しては第二王子派の脅威は依然としてある。

 

 だが、ここから先はカレンにも物語がどう流れていくのかがわからないため、事が起こるのを未然に防ぐことは難しいだろうが、注意深くクロエを見守っていこうと新たな決意を固めるのだった。


 それがノアの未来をカレンの勝手で変えてしまったことに対する償いになると信じて。


 そして結果的にこの時のカレンの起こした行動は無駄ではなかった。


 未遂に終わったとはいえ、大事なクロエが不自然な出来事に巻き込まれそうになったことに疑念を持った辺境伯が娘の警護を固めることになり、更にこの事件の裏側を独自に調査することにしたのだから。


 それにカレンによって助けられたクロエは物語では入学することすらなかった学園に元気に通うことができた。


 こうして物語は変わったこと、変わらなかったことが折り重なって動き出す。


 それゆえサラとライアンとの恋物語だったはずの物語はどこか歯車がかみ合わないまま走り出すこととなったのだった。


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