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入れ替わりのプリンセス  作者: 夜宮
プロローグ
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覚醒した悪役令嬢カレンの暗躍 4

 今世、カレンの母はカレンを産んだ後間もなく亡くなった。

 父親はいつも忙しそうにしていてカレンのことにはとことん無関心に見えた。


 だからカレンは父親に自分を見てほしくて屋敷ではとにかく皆に我儘を言って困らせることにしたし、母がいないことがとても悲しかったから、母親に甘えている使用人の子供を見かけるたびに、またお茶会などで他の貴族の子供たちに会うたびに意地悪をしてまわった。


 我儘で意地悪な令嬢だと皆がカレンを遠巻きにしても尚、カレンは行動を改めなかった。


 そして物語では運命の日がきて、カレンは王子様と出会うことになるのだ。


 その人の名はカリストラータ国の第二王子ライアン。


 カレンは父に我儘を言ってライアンの婚約者に納まると、とにかくライアンのことを追いかけまわすようになる。なんとしてもライアンに愛されたかったからだ。


 カレンにとってライアンが唯一の人であるはずだから。

 一目ぼれした彼に愛されることで、母から受けるはずだった愛情を失ったことも、父の愛情が向けられていないことも帳消しになるという妄執に取りつかれていたのだ。


 だがライアンはカレンを愛さなかった。


 ライアンが愛したのは貴族の子女が通う学園で出会った公爵家の庶子サラだったのだ。


 カレンはサラに嫌がらせをした。罪悪感はなかった。なぜならカレンからライアンを奪うサラは悪者だからだ。


 しかし、日々エスカレートする嫌がらせを受けるのが辛くなったサラに早くライアンを諦めてほしいというカレンの願いは裏目に出て、嫌がらせによって益々サラとライアンの仲は深まっていった。


 このままではいけない。カレンは焦った。


 学園でするような子供だましの嫌がらせではサラを排除できないと悟ったカレンは、その出自からか公爵令嬢となってからも気軽に一人で市井へと出歩くサラを暴漢に襲わせる計画を立てることにした。


 この方法は過去に一度、別の令嬢を排除するためにカレンの父が係わったものであることを偶然にもカレンは知っていたからだ。


 カレンの父はカレンを第二王子の婚約者にする見返りに第二王子の母親である側妃の実家と共謀して一人の令嬢を亡き者にするための計画に係わっていた。


 カレンとてそのことを知った時には恐れおののいた。父がまさかそんなことを平気でする人だなんて何かの間違いだと思いたかった気持ちもあった。


 だが、それは必要なことだったのだ。カレンがライアンの婚約者になるためには。

だから無理やり納得した。父は成すべきことを成しただけ。


 そして自分もそうやって邪魔者を排除するのは正しいことだと考えることにした。


 しかしカレンの企みはあっけなく失敗した。


 サラはライアンやノアに守られ、反対にサラを襲った事件の黒幕はカレンだと暴かれることになる。


 ついでに過去に辺境伯の娘であるクロエを同様の計画で殺害した事件の黒幕がカレンの父親であるバーンスタイン侯爵だということも証明されたとしてカレンと父親はそろって絞首刑に処された。

 

 しかし、カレンたちが処刑された後の調べでクロエ殺害は第一王子派の貴族の婚姻による結束を弱めるためにセルジュ公爵家が主導して行われたことが示され、王太子には順当に正妃の息子である第一王子がつき、ライアンは嫡男の失踪によってヴェルナー公爵家の継承権を与えられることになったサラと婚約。ゆくゆくは婿入りすることになる。


 同じく第一王子派の辺境伯家のお抱え騎士であるノアは一連の王位継承争いによって失われた令嬢の仇を討てて満足だと二人を祝福して辺境へと帰っていく。


 めでたしめでたし、だった。


 「ただ一人の君へ~僕だけのプリンセス~」はこれでいい。


 だけど、花蓮がカレンとなった世界はどうだろうか?

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