平和の夜
ミラとミカのゆるりとした。
家に着くとクリスはそそくさとキッチンに向かった。
本当なら手伝いたいが、俺なんかが隣についても邪魔なのを知っているので自分の部屋へ戻る。
この家は丸太を組み合わせたような作りで木のいい匂いが漂う。
木造とはいえ精霊の魔法を使って作られているので風も吹きこまないし雨漏りも絶対にしない。
かなり頑丈な作りになっている。
「邪魔になるとは言え、何かしてあげたいけど。 お母さんが家事系は全部やっちゃってるからなぁ。」
俺はぼやいた。
軽く周りを見渡しても、埃が溜まってるどころか埃一つ落ちていない。
窓も綺麗だし、本当にやることはなかった。
「ミカ!ご飯できたわよ!」
クリスの呼ぶ声が聞こえた。
鼻を凝らすとおいしそうな香りが漂ってくる。
俺は食卓に向かう。
いつも通り俺とクリスは対面に座って話ながら食事をする。
と言っても、クリスは人としゃべるのがかなり好きで、大体俺がずっと聞き手に回っている。
「それでね、あの子がね~」
「あらら、大丈夫だったの?」
会話はとても弾む。
俺はシチューを口に運びながらずっと笑みは止まらなかった。
食事が終わった後、俺は離れの湖に足を運んだ。
すると先客がいた。
俺はその人に向かって話しかける。
「よっ、ミラ。 こんなところで何してるんだ?」
「ミカこそ何か用があったの?」
「いや、ただのんびりとしたくてな」
ミラに月の光が当たっている。
彼女の銀の髪はその月の光を浴び、輝いている。
凄く幻想的で、美しかった。
「何よ、そんなに見つめて。 私に惚れちゃった?」
にこっといたずらな笑みを浮かべてそういった。
俺はそういわれてやっと見とれていたことに気が付いた。
「そんなわけないだろ。 髪に蝶が止まってたんだ」
ちょっと照れ隠しにごまかしてみた。
「へぇ~? 私の髪を見てたんだ」
「違う! 蝶が止まってただけだ!」
「ふふっ……ごめんね。 面白くてからかっちゃった」
いつも俺はミラにしてやられる。
「本当にからかうの好きだな。 まぁでも、楽しいからいいんだけどな」
「そうでしょ、ミカはいい反応してくれて私も楽しい」
二人で顔を見合ってくすりと笑い合う。
ミラとは拾われて間もないころからずっと一緒にいるので気心もしれている。
その空間は凄く心地の良いもので、一生こんな俺にとっての平和に浸っていたいと思った。
明日あたりに書きます