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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

南森の最期の一日

作者: エンタルピーでエントロピー

 

  AM5:00


  起床

休日が終わり今日から仕事の日々がまた始まる。

 

 洗面所に向かい歯を磨き顔を洗う。

 

  AM5:30


 リビングに向かい『ミナコ』と片思い中の人物の名前を付けた日本人形に「おはよう」と挨拶をし、その口に自分の唇を押し付ける。その後、家を出るまでの間『ミナコ』抱きしめながら一緒に朝食等で時間を潰す。


  AM7:00


『ミナコ』に「行ってきます」と告げ、キスをして家を出る。


  AM8:30


職場に着き、 同僚に挨拶をする。

「みな子さん、英ちゃんおはよう。」

「南森さんおはようございます。」

「ナンちゃんおはよう。」


 みな子さんは僕の片思い中の相手だ。英ちゃんは本名、英吉という仲の良い同僚だ。


「あれ?みどりちゃんは?」

と、問いかけると

「おはようございます。南森さん」

  そうすぐ後ろで挨拶してきたのは、みどりちゃんだ。


 僕は驚きながらも挨拶を返した。みどりちゃんは、いつのまにか僕のすぐ後ろにいることが多々ある。


  PM1:00


  昼休憩

いつも四人で昼食を摂るのだが、今日はみどりちゃんがいなかった。不思議に思い、聞いてみると早退したとみな子さんが応えてくれた。体調が悪いようには見えなかった。



  PM2:30


 デスクに座り仕事をしていると、突然みな子さんの叫び声が聞こえた。何だ?お思い駆け寄ってみると、其処には腕を抑えて蹲っているみな子さんがおり、その腕から血が出ているのが見て取れた。


 どうしたのか訊こうとすると、また叫び声を上げ脚に切り傷が突然発生した。其処からは顔を背けたくなるような光景だった。


 同じような切り傷が体全体に現れ、みな子さんを中心に血溜まりを作った。そして腕、脚と順に切断され、最期には首までもが切断された。


 その間、そのあまりにも不思議な光景に動揺し、誰も救急、警察へ通報出来なかった。


 みな子さんが動かなくなり少し経ち漸く誰かが通報した。


警察に事情聴取などをされている時にみどりちゃんの携帯に連絡したが返事はなかった。



 

  PM11:00


家に帰ったのは日付が変わる1時間前だった。家に着いて玄関に鍵を刺し回したが、開かなかった。鍵を閉めた様に記憶しているが、記憶違いだと思い再び鍵を回し、中に入った。あんな事があったので真っ先に『ミナコ』に会いたかったので真っ直ぐにリビングに向かった。


 リビングに入ると、其処には『ミナコ』を切り刻み『ミナコ』の頭を膝の上に乗せ椅子に座ってる、みどりちゃんが居た。訳が分からなく呆然としていると、みどりちゃんと目が合った。ニヤニヤと笑っていた。



「邪魔な奴を殺してあげたよ。」そう言った。僕はみどりちゃんが何を言っているのか全く分からなくて何も言えないでいると、突然みどりちゃんは般若の様な形相に変わり、詰め寄ってきた。


「あいつが死んで私と一緒に居られるのにうれしくないの。もっと喜びなさいよ。私と貴方は結ばれる運命なのに、邪魔者が現れたから貴方の為に折角殺してあげたのに何で何も言わないの。ねぇ、私の事を愛しているのよね。愛してるって言いなさいよ。」

そうまくし立てた後、突然に笑いだし

「そうね。貴方が自由に話して、笑いかけたりするから邪魔者が出て来るのよね。完全に私だけの物すれば良いのよ。私は貴方が居ればそれだけでいいの。話せなくても、笑いかけてくれなくても、そして死んでいてもね。」


 僕は何を言われているのか分からなかった。そして何より、怖かった。だからその場を逃げ出した。しかし、その判断は遅かった。背を向けた僕の背中に鋭い痛みが走った。恐らく『ミナコ』を切り刻む時に使った大きなナイフで刺したのだろう。








  次の日の朝



「南ちゃん昨日辛かっただろうな。みな子さんの事好きだったもんな。」


 そう独り言を呟きながら、励ましてやろうと思い、俺は南ちゃんの家に向かった。道中、南ちゃんの好きな食べ物を買う為にスーパーに寄った。買い物を終え、南ちゃんに電話を掛けたが出なかった。自殺とかしてないだろうな、そんな不安を抱きながら少し急いだ。


南ちゃんの家に着きインターホンを鳴らすが返事はない。ドアノブを捻ると玄関が開いた。すると昨日嗅いだばかりの匂いがした。みな子さんが血を大量に流して死んだ時と同じ匂いだ。


 まさかと思い、南ちゃんの名前を呼びながら家の中に入り、南ちゃんを探した。すぐに見つかったが、予想だにしなかった人物も一緒だった。其処はリビングだった。


 まさに血の海だった。リビングの椅子に座るみどりちゃんがいた。その膝には首だけとなった南ちゃんがいた。床には何故か日本人形の頭が無造作に放ってあった。








最後までお読みいただきありがとうございます。


みどりはどんな表情だったのか、英吉はどうしたのか、或いはどうなるのかはご想像にお任せします。


なお、みな子は毎朝2回唇に何かが押し当てられている様な不快感があり、それをみどりに話していた様です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 時系列で淡々と文章が綴られていきますが、じわりじわりと恐怖感が増して来ます。良いホラーだと思いました。
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