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Star!!

「私の『Star!!』はこの武器自体が能力(パワー)でしてね、私が持つと片手でも持ち上げれるぐらい軽い鉄球なのですがね、他人が観測すると何100トンもの質量になるんですよ」


 そう言いながらジョブといった男は鎖を右手に持ち、その巨大な鉄球を無限の字の形に、手首の力だけで振り回しはじめた。


「そこのお嬢さんからは敵意が感じ取れませんねえ、殺るのは野郎2人……どちらが先か」


 鉄球が男の後ろで放物線を描く。その延長線上にいたのは俺だ。ごうごうと空気にも打撃を与えるような音を立て鉄球がこちらに飛んできた。


 俺は身を翻し飛んで躱す。今だと言わんばかりに俺の右にいたロックが剣を抜き、ジョブに向かって飛んだ。

 すると鉄球はジョブを中心として大きく円を時計回りに描きながらロックを襲う。


 ロックは膝を曲げ足のブースターをうまく使い後方に避ける。そのまま両腕の銃を2発、3発と連続で撃つ。

 ジョブは余った鎖を振り回し、銃弾の軌道を全て変えた。そして鉄球とつながった鎖を引っ張ると、鉄球がジョブの周りを回る速度はどんどん増しながらロックを襲った。


 大縄跳びのように鉄球が奴の周り公転するタイミングを見極め、俺はジョブに駆け寄った。

 ジョブが鎖を引き、鉄球が描く円が縮む。スケート選手が広げていた手足を中心に寄せて回転スピードを上げるのと同じ要領で、鉄球の速度も当然円が縮んだ分増す。


 避けきれない。そう判断した俺は右腕でガードする事にする。左手はその右腕を支える。俺の身長より大きい鉄球が俺の右腕にぶつかった。骨が軋み、肉が潰れそうな感覚と痛み。

 鉄球のあまりにも強大な質量に、脚の踏ん張りは意味をなさず、宙に浮き吹っ飛ばされ地面を転がる。


「和泉君! 避けて!」


 ユイの声で俺はハッとし、真上からくる鉄球を転がり避ける。鉄球は地面にめり込んだ。

 それと同時にロックの銃声と、それが全て鎖に弾かれた音が鳴る。


 ロックはジョブに近づこうとするが、近づけば近づくほど鉄球の公転速度が増すので断念し俺のところに来る。


「近づけねえ! どうすりゃいいんだ!」


 ジョブがこちらまで鉄球を振り回す。キョリをとってさえいれば速度は大したことなく躱せる。そう。鉄球を遠くで止めておけば良いのだ。


「ロック、俺が奴の攻撃を受け止めるからその隙に仕留めてくれ!」

「何言ってんだ! あんなもん受け止めれねえぞ! それに奴が俺の攻撃をすんなり食らってくれるわけがねえ!」

「でもやるしかないんだろ?!」

「チッ…… わかった!でもくたばるんじゃねえぞ!」


 ロックが俺から離れる。俺は膝を曲げ両足を開き、両手を地面につけた。相撲の立会いの構えだ。


「なんですかその格好は。私の『Star!!』と正面からやりあうと?! きっと最初で最期の馬鹿ですね! では望み通り死になさい!」


 鉄球は渦巻きを描きながら、どんどんジョブに近づき速度を増す。そして鉄球と奴が1メートルほどの所で円軌道を描きはじめた。


 奴が攻撃のタイミングをはかる。


 俺は奴の攻撃を待つ。


 鉄球が円軌道を離れる。直線で俺に向かい、ほぼ速度を落とさずに飛んできた。


 脚の筋肉が張る。床を蹴り大地から力を貰う。脚、胴体、肩、腕と力を伝える。鉄球に肘をぶつける。それは相撲でいうカチ上げ。


 俺と鉄球の衝突の衝撃で地面にヒビが入る。腕がはね上げられ、鉄球が額にぶつかる。俺はまた宙に浮き後ろに飛ばされる。


 だが負けてはいなかった。

 鉄球も逆の方向に飛んだ。鎖がたるむ。どれだけ急いで鎖を引こうとも、これでは鎖を動かすのに隙が生じる。


「今だロック!」


 俺が言うまえにロックはジョブに突撃する。振り下ろされる剣に対しジョブも大した反応速度をみせるが、ロックのバスローブは伊達じゃない。

 避けようと飛んだジョブの右腕に斬撃が当たる。彼は痛みに顔を歪ませながら飛び、鉄球を自分の元に寄せた。


 ドクドクと俺の額から血が流れ落ちている。顎にまで垂れてきたそれを手で触り、鉄球の威力を再確認する。立ち上がるがダメージで目眩がし足元がふらついた。


「ヤラーンめクソみたいな仕事おしつけやがってええええ!!」


 ジョブはヤラーンがすぐそこにいることも忘れ絶叫する。左腕だけで鉄球を自分の周りに今まで以上の速度で公転させ始める。火事場の馬鹿力というものか。全身の血が巡っているらしく、斬り落とされ肘から先が無い右腕から血が噴き出した。


「ぼあぁぁぁぁ!!」


 奴が叫び、またも鉄球が俺に襲いかかる。


「和泉!!」


 ユイの叫び声がする。だが俺の心には、別の声というか、確信みたいなものが響いていた。


 ただ力をぶつけるな。


 脚のふらつきが取れ真っ直ぐに立つ。右腕を上げ、鉄球に手のひらを向ける。足から手まで、身体に一本の棒を通すように芯を作る。鉄球と手のひらが触れる。手が押されるので当然肘が曲がった。


 それだけだった。それだけで鉄球は速度が殺され止まったのだ。


「なにぃ?! バカなッ」


 それがジョブの遺言だ。ロックの剣が一閃し奴の身体は2つになる。


「良かった……」


 ユイが胸を撫で下ろした。


 死体に俺は吐き捨てた。


「お前の言う通り、お前に挑む最初で最後のバカだったな」


 休んでいる暇はない。ロックが喝を入れて来た。


「まだ終わっちゃいねえ、目標はヤラーンだ。もう目の前だぜ」

「でも和泉君はケガを!」


 ユイはロックに反論してこちらを見る。俺は一瞬目を合わせると、首を振りヤラーンに向かって歩き始める。


「ここでヤラーンを叩く。作戦通りだなロック」

「ああ!気ぃ抜かず確実にぶちのめすぞ!」

「2人とも……」


 ユイのか細い声にロックは言う。


「ユイ、悪いな。でも、撤退させねえって約束したろ?」


 バスローブのスラスターは残光を残し、ロックは高速でヤラーンに突っ込む。

 俺も歩いていた脚が大きく沈み、力を溜めて一気に駆け出す。


 2人は雄叫びをあげながらヤラーンめがけ突進する。


 ここで絶対に奴を倒す。

そういえば、詳しい設定ですが身長171cm体重70kgです。詳しい設定と言いながら、大抵の設定は物語の中で出すつもりなのでコレぐらいしかここに書く設定が思い浮かびませんでした。

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