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READY!!

「このスーツ野郎はもう少しで俺の能力(パワー)を理解しかけてたし、バレても大したことねえから言うとなあ、俺の瞬間移動、目についてる人間の、俺が攻撃を加えれるって範囲にだけ瞬間移動できるんだ」


 突然敵の見せた余裕っぷりに俺は、くっ、と呻いてしまう。


「つまり俺が瞬間移動した時には攻撃準備は終わってるってわけ…… これが俺の能力(パワー)『READY!!』だ」


 喋り終わったがツネヒコはこちらを警戒して攻撃を仕掛けてこない。俺はまた入り口の方に向かって走り出した。さあ、乗ってこい!


「同じ手か! その程度か! じゃあ死ぬかあっ!」


 乗ってきた!ツネヒコは俺の左前に瞬間移動してきて左ストレートを打ってきた。

 その左腕を俺は右腕で掴み少し引っ張り相手の体制を崩す。そして空いたその脇腹に左腕で正拳突きを叩き込んだ。


 何本かの骨が折れる。いや、肋骨が折れたどころではない。ツネヒコの左の肋骨のある場所には俺の拳の形に陥没している。


「ぐあああああああああっ」


 叫びながらツネヒコの姿が消える。コイツは今冷静さを失ったので、さっきロックに移動先を見切られた事を忘れているだろう。


 ツネヒコが血しぶきを上げながら吹っ飛ぶ。吹っ飛んだ方向とは逆の方向には、右腕の砲身から硝煙が出ているロックがいた。


「チクショおおおおおおおお」


 颯爽と俺に詰め寄られたツネヒコが叫ぶ。もはや瞬間移動も忘れて俺に殺意のこめられた両腕を伸ばすが、それが届く前に心臓のある位置に右正拳突きを叩き込む。


 ツネヒコはその場にヘタレ込み、呼吸も痙攣し始めたが、我慢しながら喋り出した。


「お、おかしい。なんて……パワーだ。お前は高能力持ちだな、だ、だが、なんの能力だ?その肉体……高能力にしても、つよ……すぎる……」

「晩御飯のために腹減らそうと思って筋トレしてたからじゃねえか?」


 呆れた顔をしながらツネヒコは息を引き取った。


「んじゃ目的のものを探す。」


 そのモール内で黒い繋がりの証拠を探そうとした時、ロックが叫んだ。


「センサーに反応っ、凄いスピードで何かが離れてったぞ! これは乗り物だ! 先に回収されたかもしれねえ! 追うぞ!」


 俺たちはバイクに跨り、低い草の中を、岩場を、砂地を吹っ飛ばし逃亡者を追う。


 逃亡者もバイクにのっていた。そのオレンジの物は俺たちのバイクより小型でのってる人数が1人少ないにも関わらず、俺たちにどんどん差を縮められていく。


「おいロック! あいつは何も持ってない囮で、今別の奴が回収してたらどうすんだ!」

「ゲッ、そりゃあ考えてなかった……」


 追っているバイクから声が響く。


「あああ!! そのてがあったか!!」


「今なんかマヌケな声が聞こえたよな」

「ど、どうやら! 俺の最初の目論見は間違ってなかったらしいな!」


 目の前のバイクの奴が証拠を持ってるって事で間違いないらしい。しかしロックが焦った声で


「だめだ! この方向は町! 中に入ったらスピードを落とさざるを得ない! 俺はもちろん特に何もしてない人は轢きたくないが、あいつは自分が逃げるためならそんなこと戸惑わず人を轢きまくるに違いねえ!」

「だったら町に入る前に決着をつけるしかない。腕の銃で撃つんだ」

「遠いし動いてるしバイクの上だ、当てれねえよ!」

「でもそれしかないだろ!」

「くううぅ。やるしかねえのか……? ならっ、漢ロック!絶対当ててみせるぜ!」


 ロックは右腕をハンドルから離し、構える。敵までは70メートルほどある。


「左手はハンドルから離せねえ。この右腕の弾は3発だけ…絶対当てる!」


 銃声がなる。1発目は敵のバイクの左の地面をえぐった。


「ロック、落ち着けよ、落ち着いて撃つんだ。君ならできる!」

「くうぅぅぅぅ」


 また撃つ2発目も外れた。


「わかった、完璧だ。感覚は掴めた。次は絶対当たる」

「最後の1発だろ?! ホントに頼むぞ」


 ロックが右腕を構え直す。かなり集中しているようだ。時が止まったかのような感覚。


 そして、3発目。


 


 その銃弾は確かにさっきまで敵のバイクがいた位置を通った。


 だが! バイクは銃声のほんの直前にフラッと横に移動したのだ!


「よ、避けられた?!」

「な、なにいぃぃぃ?! どういう事なんだ!?」


「マヌケ共! 聞こえてんだよお前らの会話ぜーんぶ! 3発しかねえってなあ! しかもこのバイクは後方カメラがあるから当たんねえ時はすぐわかんだよ! でも惜しかったんじゃねえかあ?! じゃああばよマヌケ共ッ」


たまらずロックが叫ぶ。


「やられたあああああ! クソ!」

「落ち着けロック! とにか……」


ドンッ


「え?」「え?」


 ロックの右腕から硝煙があがっている。

 敵のバイクは潰れ身を投げ出される。何回か転がってからなんと身を立て直し走って逃げ始めた。


「ハハハハハ! 人の演技に引っかかったマヌケは誰だぁ?! 実は4発!弾はあったんだ! まあ引っかかったのもしゃーねえなあ、この俺の演技だもんなぁ! 今年の主演男優賞は俺だあ!」

「なんてやつだ…」


「クズヤロー」


 目の前を必死に走るやつも叫ぶ。俺も呆れる。

 だが目の前には開けられた巨大な門があり大通りにつながっている。通りの端は石造りの平家の建物だが、道路の端にたくさんの露店があり野菜や果物がおかれている。人もまばらだ。


「ロック!もう町に入った!」

「問題ねえ!!」


 敵は脚だ。俺達はバイクだ。そのキョリの差は60、50、40メートルと直ぐに縮まる。

 20か15メートルのところで敵はトマトを取り出した。すぐそこの屋台で盗んだものだろう。そして奇妙なことに、そのトマトのヘタをとってこちらに投げてきたのだ。


「このままあいつを轢き殺す!」


 ロックが宣言する。ちょうど同時に、なんとそのトマトが熱と衝撃波と爆音を出して爆発した!


 俺とロックは吹っ飛ぶ。俺はダメージですぐには起き上がれないが周りを確認する。ロックは真横で起き上がろうとしている。敵も爆発が近かったので転んだようだがもうここから逃げかけてる。ロックはもう起き上がって愚痴を言う


「クソッ、バイクが壊れちまったじゃねえかよ! あいつ逃げるぞ! 和泉、あいつをさっさと追いかけて、落とし前つけさせるぞ! 」


 そう言ってロックは敵を追いかけ飛んで行く。俺もすぐに身体を起こしてそのあとについて走り出した。

今回は6話一括投稿で、これからはできれば毎日投稿したいです。今は全然できそうですが、やっぱりエタる人も多いと聞きますので難しくなるんですかね

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