Reason!!
?
俺は眼が覚めると、西暦2700年の未来に居て、なんか能力とか言うのを得ていて、ロックに出会ってから色んな奴と戦った。
そんでユイと出会って、タリナーって組織に入れてもらったけど、みんな殺されて、3人でヤラーンの前まで来て……
なんだっけ?
そう今眼の前を歩いて通り過ぎたのがヤラーンだ。ここカプカムを治める守護で、コイツに会いに来たんだけど……
なんでだっけ?
ロックがヤラーンに殴られている!助けなくては!俺は足を踏み出し……
?
何をしようとしたんだっけ。マズイ!ロックがヤラーンに蹴られている!助け……
あれ、ここに何でいるんだけっけ。
ーーーほんの何十秒か前
「ヤラーン! くたばりやがれぇ!」
そう言いながら突撃するロック。少し後ろを駆ける和泉。彼らの剣と拳は血の出そうなほど握り締められている。
次の瞬間彼らから殺気が消え、和泉は足を止め膝をつく。ロックは全身のスラスターが止まり、慣性で投げ出される。
「ロック?!」
佐久間ユイは何が起こったか理解できず名を呼ぶことしかできない。
「フン…… 能力の分からない相手に猪突猛進、愚の骨頂だなあ。しかも小娘は俺を殺す気すら無し。甘い奴らだな……」
ヤラーンはロックの目の前に行きその頭を掴み上げ、右腕をぶん回しその顔面をスーツの上から殴った。
和泉がヤラーンとロックの方を見るが、行動を起こす事は無くただボーッと見ているだけ。
「何やってんの! ヤラーンを倒すんでしょ!」
ユイの声に反応したのか、ロックは腕の銃口をあげヤラーンに向ける。が、力を失ったようにその腕はすぐ垂れ下がり、ヤラーンが高笑いをしながら暴行を再開する。
声を聞いた和泉も目に闘志を燃やし立ち上がるが、すぐに瞳は炎を失い膝から崩れ落ちる。
ユイは2人に心配の声をかけようと口を開きかけ、閉じた。2人を引っ張りここから逃げようと言う考えが脳裏に浮かぶが、ロックとの約束を思い出す。
彼女の身につけた布は彼女自身を守るためのものであり、身体能力も一般の17歳女子より少し体力が高い程度だ。2人を助けることができず、無力感ばかりが募る。
「だがな小娘、これは仕方のない事だ。例えお前に俺を殺す力と意志があっても無駄だったさ」
「2人に何をしたの」
「小娘よ、お前はなぜ生きる?」
「えっ」
ユイは黙ってしまう。突然の質問に戸惑ったと言うのもあるが、答えが思い浮かばない。
「難しかったか? まあ理由もなく生きる人間は多い。じゃあ、なぜここに来た?」
「2人を、見届けに……」
「人が行動を起こす時理由がある! 俺を殺そうとした暴徒は不満を忘れる。スコープで俺を捉えたスナイパーは暗殺依頼を忘れる。戦いには理由が必要だ!」
「ま、まさか!」
「理由が無ければ行動は起きない。その理由を記憶から引っこ抜く! 暗殺すら不可能! コレが俺の能力『Reason!!』」
ヤラーンはロックを蹴り上げる。
「そして俺は慢心しない! 見よこの筋肉!」
ヤラーンの豪腕が唸る。宙に浮いたロックの身体は、拳のぶつけられた頭から地面に叩きつけられる。ロックはピクリとも動かなくなってしまった。
「最後に物を言うのは腕力! 生まれつき強かった腕っぷし、能力を授かってからもっと強くなった! 俺はコレでいずれ超東京をも我が物にし、世界を服従させる!」
ヤラーンの次のターゲットは和泉だ。筋肉の鎧を動かしズシリ、ズシリと一歩ずつ近寄った。
「和泉ぃ!」
「ほお、和泉と言うのか。じゃあ死ねぃ!」
膝立ちの和泉のクビに水平チョップが決まった。そのまま勢いにやられ倒れるかと思われたが、右脚を立て身体を支えた。
ヤラーンが和泉の顔面めがけてヒザ蹴り。当たらない。ヒザ蹴りが当たる前に和泉の右脚が伸び身体が跳ね上がる。左拳が振り上げられヤラーンの顎にクリーンヒットした。
ヤラーンは内心驚愕した。なぜ攻撃を食らったか思考する。身の防衛か? だが彼の『Reason!!』は自分の身を守るという理由さえ忘れさせる。
驚き疑問を浮かべるのはユイも同じだ。彼女は和泉に問う。
「和泉!あなた、どうして戦えるの?!」
それに答える和泉は笑みを浮かべていた。
「俺の血の滾りが、筋肉が、細胞一個一個が。何より俺の中の修羅がずっと俺に言い続けるんだ。コイツは強敵だ。戦えってな」
好きだから。それは理由であって、理由にはならない。しかし好きという気持ちは心を暴走させ、心は身体と連動する。
体に身についた経験。それは物事を考える前に先に身体を突き動かす。
どちらが和泉の身体を動かしたか。とにかく、彼はヤラーンへの反撃を成功したのだ。
「なぜ戦える……? だが! さっきから見てれば大した能力もないお前は俺には勝てん!」
ヤラーンは両腕を振りかざしクロスチョップをするが空を裂く。和泉は僅か後ろに下がり避けた。
「少しばかり強かろうと、消耗したお前など、雑魚雑魚! ただの雑魚だ!」
回転しながら右拳を突き出し裏拳を繰り出すヤラーンだが、和泉の右腕はギチィと音を立てそれをガードした。ヤラーンが一歩飛び下がりキョリを取る。
水平チョップが効いているのか、和泉はそれを食らった首を押さえる。額からの出血もまだ止まっていない。だが首を押さえていない手がヤラーンを指差して言った。
「手負いの虎が1番怖いんだぜ」




