私の経験を誰かが笑ってくれたら
始まりはやはり最近読んだ又吉さんの火花に感銘を受けたからでしょうか
それは突然私の身体を戦慄させた
2018年9月6日午前10時頃であったと思う
2年半前からここの病院でお世話になっていたので粗方の要領は分かっているつもりだ
今日はいつになく自分の名前が早く呼んでもらえた
9時までに大学病院に来て診察券を通し 先に予約していたCT検査を終えて待っていた時だった
「ミヤザキさん」早くも呼ばれたのだ
今日は早く帰れると内心喜んでいた私に
先生が「48ミリ」
「半年で5ミリ大きくなっていますね」
と言われた
そしてこの言葉こそ私が一番聞きたくない
「1年以内に手術した方がいいですよ」
私の体の心臓を超えたあたりから大動脈血管が解離(裂けている)しているのだ
「とうとうマグマが爆発しようとしているのか?」
2年半前趣味のテニス中にそれは突然襲って来た
サーブをして前に出た途端「これはいつもと違う」と思いそのままベンチへ走り込んだ
意識はしっかりしていたけど心臓が鷲掴みにされたみたいに呼吸ができないのだ
「いつもと違う」そう時々はあったのだ
初めての時は20代の新婚時代だったような
「クシャミとシャックリが同時に出て心臓がビックリしてる」とうちあけたと思う
その時は直ぐに治ったが子供を産んでからも過労がピークに達するとまず喉の奥に葡萄の様なポリープが出来その後就寝後に心臓が痙攣を起こすのだ
長くは続かない5分そこらで眠りに落ちて
「あすの朝は無いかも」とか思っていても 必ず朝は来て又バタバタと忙しい1日が始まっていた
その日は何か違った
夜の9時位から1時間くらい経っても痛みは続いていた
平静を装いながらも主人に我家の家計や保険などをまとめて書いた紙を渡して説明した
主人もいつもは面倒くさがるけど聞いてくれてるようだった
次の日の朝私はテニスコートにいた
地域スポーツのお手伝いの仕事をしていたのだ
午前中突然の雷雨になり仕事を中断して車で2分ほどの家でランチを済ませて又出かけようとした時
「今日は辞めといたら」と言われたが 「出しっ放しのボールやなんかを片付けなあかんから」
と又テニスコートに戻ったのだった
昼からの仕事の中止を伝えてボールを片付け 雑談していたら急激に天気が回復してきたので暫くしてから趣味のテニスに転じたのだった
救急車を呼んでもらって 主人も呼んでもらった
蒼ざめた主人が駆け付けてくれた時
これ又お世話になっている地域の小児科の先生も駆けつけてくれて そこから先は全てが上手くいったように思う
救急搬送された病院で色々な検査を受けたがなかなか分からない
CT検査で初めて「この人血管が裂けてるわ」と言う声が聞こえてきた
親切にピチピチのテニスウェアを着替えさせて貰い「水が飲みたい」という私に「今飲んだら死にますよ」と我慢させた
「ああこんな事になるんだったらあの時水を飲んでおけばよかったなぁ」と数時間前のテニスの休憩の時に飲まなかった事を後悔した
元々余り水を飲まない
それが今回の結果を招いてしまった原因のひとつである事は間違いないのだが ただ単に今飲めないと言う事への後悔であった
その後今お世話になっている大学病院に搬送された
9月の検診の前日テニス友達に体調のことを聞かれたので「明日はヤバイかも知れない」と答えた
検診の結果をLINEで尋ねられたのでありのままを伝えた
「何となくそろそろかなぁ」と思っていたので
友達の力を借りて「手術しよう」という自分なりの判断を下したかったのかもしれない
確かに私にはそういうところがある
10月の検査入院の時には造影剤CTによる検査で
私の大動脈の一番大きなコブの大きさは 正確には44ミリだった
担当の医師は「手術の決心固めて来てくれたけど慌てなくてもいいですよ」と言われた
慌てなくても1年位先でも良いって事だ
手術しなくても良いって事ではない
私には高齢の母親が2人いる
今の50〜60代の殆どが親の介護と自分の高齢化が重なって来る
おまけに主人も5年半前には食道癌の大きな手術をしている
当時食道癌でやしきたかじんさんや歌舞伎の勘三郎さんが亡くなられた
今もお元気なのは桑田佳祐さん
おそらく彼らはトップクラスの医療スタッフと設備の整った病院にお任せしたんであろうが
やはり亡くなる方は亡くなるのだ
主人も何回ももうだめだという時期があった
特に術後2年半位は酷かった
2ヶ月で30回くらい私の車で救急搬送したり救急車のお世話になったりした
そう言えば主人は彼らの誰とも似ている
彼らの性格は実際のところ知らないのだが
桑田佳祐さんのヤンチャな所 勘三郎さんの生真面目すぎる所
やしきたかじんさんの哀愁漂わせながらぶっきらぼうで面倒見の良い所
いや彼らはみんな似ている
死にそうになるまで深酒をしていたのだろう
主人と言えばやはり未だにタバコが辞められないのだ
お酒も身体が受け付けないのに未だに飲もうとしているのだ
家ではよく口論になった
でも今母親2人と私
3人がほぼ同時入院になって実に良くやってくれている
「毎日は来なくても良いよ」と言ってる割には毎日のように3人に顔を出してくれているようだ
「私の旦那さんなかなかイケてる」
暇に任せてはお気に入りのお洋服を見つけてきているようだ
これも家ではよく口論の原因になってたなぁ
主人はものを買うのが好きなのだ
「年金暮らしだからね」
世の奥様達は私も含めて
自分のものは買うけど旦那さんの物はたま〜にしか買わないようだ
だから何が似合うかより実用性で判断してしまいがちになる
実は私達は今流行りの卒コン夫婦になろうと決めた
婚姻関係は解消しないけど
お互いに好きな事しようという関係
だからあまり相手の事をとやかく言わない
そう決めてから手術入院した
「こんなにオシャレが上手な人だったんだ」
「惚れ直したかな」
今一番避けたかった3人揃っての入院となってしまったが何とかなるものである
これが私の持論