3:世界
前回からのあらすじ。
シたかった。
ライザから語ってくれたこの世界の情報はこうだ
1.ここは日本ではないこと。
2.そもそも日本などという国はないこと。
3.エッチなお店が立っている日本ではないこと。
4.この国の名前はニラカということ。
5.ライザが自分を興味本位で召喚してしまったこと。
6.当然戻し方など知らないこと。
7.今夜は仕事を終了させてエッチなお店に行くことができないということ
8.世界樹とかいうバカでかい木が近くに立っているということ。
9.この世には魔族や魔物と呼ばれているもの達がいること。
10.この世にはマホーとかいう概念があること
11.ぶっちゃけこの国は魔族の国であること。
12.今夜はさみしく一人でするしかなさそうだということ
マホー?
マホーってあの魔法か?
「いくつか質問があるんですけどいいです?」
「はい。とは言っても、学者ではないのでそこまで詳しくは説明できませんが。」
む、魔法についての分子だとか原子だとか物理学的な質量保存的な話は無理ということか?
「魔法を、大まかにでいいので教えていただきたいのですが。」
物理学とかは置いといてざっくり聞いてみた。
「魔法ですか・・・。そうですね、【燃やす】だとか【凍らせる】といったことは可能ですがそういうことではなく、魔法という現象について知りたいと言うことですね?」
お、なかなか鋭いなこの人。
「はい。お察しの通りです。私は魔法の存在を知りませんので。」
「わかりました。あくまで一般的に伝わっている範囲での知識だということを念頭に置いてください。」
そう言うと紙とペンを取り出し、説明を始めた。
自分の興味あるところの勉強は得意だ!必ずや夢から覚めた時に生かしてみせる。
未知の法則とかなら上手く行けば名を残せるかもしれないしね。
「まずこの世界には、稜威というものに満たされています。」
もう心折れそう。
「稜威・・・ですか。」
「はい。ところどころ濃い場所、薄い場所が存在しています。そうですね・・・この辺り一帯は特に濃いと言われています。」
マジか、濃いのか。体に影響が出ないといいが。
花粉みたいなものだとちょっと嫌だな。
「なるほど、数値で測ることが出来ないという事ですかね。」
「そうなります。なので、基本濃いかどうか判断するには、魔法が使いやすい。使いにくい。といった体感で得る情報に頼る事になります。魔法というのは、この稜威に働きかける事によって引き起こされる現象です。」
うーんイマイチ分からんな。
とりあえず稜威については保留。頭の中で花粉だと思っておこう。
「では、その稜威に働きかける方法というのは?」
「霊で直接語りかけます。要するに、えーと・・・イ、イメージです。」
霊で語りかける?頭の中でイメージすれば発現するということか?
そんな簡単に発現してしまったら、ミニスカの女の子なんて外出歩けないと思うんだけど・・・
「イメージすると無意識でも魔法は行使されてしまうのですか?」
「いえ、そういう訳ではないのですが・・・。んー魂で周りに語りかけると言いますか・・・。」
ライザは少し困り顔になっている。とってもかわいい。
「まぁ、理屈はわかりませんがなんとなくはわかりました。要するに、いかに具体的な実行したいイメージを稜威に伝えられるのか。ということですかね。」
「そう!そうです!特に我々魔族は特に人間よりも稜威に対する働きかけがしやすくなっていると伝わっています。魔法を使うには"人間"は向き、不向きがあったり、特殊な訓練をすると聞いています。」
・・・ん?
「なぜ"私たち"は"人間"よりも魔法をうまく使うことができるか。という問題については、諸説あります。一番有力なのは【稜威の影響をより多く受けて育った】ということです。稜威のことは正確には定かではありませんが、魔獣、魔族、魔法についての最古の資料はおおよそ5千万年前。それ以前の資料は全く見つかりません。さらに、その古い資料には【大災厄が、3度にわたり起きた】と書かれています。というかその年代を境に、稜威や霊に関する資料が爆発的に増えているんです。なぜか大災厄に関する資料はなかなか発見することが出来ませんし、よく分からない連中は"大災厄とは神の怒り"のだのなんだのと言っていますが、私はそのような非現実的なものではなく、その大災厄こそが、我々魔族や、魔法、魔物を生み出したのではないかと思っています。その証拠として、その時代以後の文献をには、世界樹から生まれ出ているかのような魔物の姿や、手から火を放つ、おそらく魔法を使っているであろう人類の姿が散見されます。実際に世界樹を調査してもそのような現象は発見されていないですし、実は人型は人類ではなく、神の使徒を描いたものだといわれていますが、私はそうは思いません。実際人間は世界樹から少し遠い土地に住んでいるようですし、私たちの国も世界樹のおひざ元ですしね。もう一つ理由があるとすれば、大災厄と、世界樹の関係性ですね。世界樹は下から見上げると、木の幹しかを見ることはできません。枝葉すらも視認できる高さに存在しないのです。しかし、多くの大災厄の絵には、花が舞っている世界樹が描かれています。これは古代人が想像で書いている説、大災厄時に発生した火花や、犠牲者の魂を花びらとして抽象的に描いている説など諸説あります。しかし私は、花が実際にあったように思えてなりません。根拠の一つとして、大災厄の絵には、必ず世界樹が描かれています。なぜ世界樹が描かれているのか、具体的に大災厄とは何が起きたのか、そして、なぜ大災厄と呼ばれるに至ったのか、この辺りは全くわかっていないのですが、きっとこの世界樹こそがキーだと私は睨んでいます。そういえば、大災厄といえば、最近、大災厄よりも少し前、もしくは後に書かれたと思われる謎の塗料で書かれた文献が発見されました。古代人は、電力というきわめて非効率なエネルギーを主軸に生活していた。ということが書かれている文献らしいのですが、正直これは嘘だと思いますね!さすがにあんな不安定かつ、小さなエネルギーではちょっとしたものならともかく世界の人類を支えるための基盤には到底なりえませんよ。私が思うに大災厄後に稜威が・・・」
「ちょ、ちょっと待って!」
「え?あ、あぁああ・・・ごめんなさい!!つい熱くなっちゃって!!えぇと、稜威の話でしたね・・・。」
顔を赤くして慌てているライザさんもかわいい。
年上のシッカリしたお姉さんだと思っていたが、おそらくこちらが素なのだろう。
ギャップ萌えというやつだな。
いや、違う。そこじゃないんだ。
「あの、先ほどのお話を聞く限り、ライザさんは魔族なのでしょうか・・?」
「え?あれ?言ってませんでしたか?これでも魔族の端くれなんですよ。」
そんなドヤ顔で胸を張ったら、おっぱいがこぼれちゃうでしょうが!!!!
・・・違うそこでもない。おっぱいに惑わされてはいけない。
「そうだったんですね・・・。つい魔族と聞くと、角が生えてたり、しっぽが生えてたり、全身が鱗だったりという姿を想像してしまったのでとてもおどろきました。」
「そうですね・・・。確かにいないとは言いませんが、人間の方はそういった偏見を持っている方が、かなり多いと聞きます。」
そういいながら少し悲しそうな、寂しそうな顔を見せた。
「そう、そんなことよりも!次はコウの世界の話を聞かせていただけませんか!」
寂しそうな顔がウソだったかのようにキラキラとした目でこちらを見る。
なんかキャラ崩壊してない?最初思っていたキャラと全然違う。
凛としたお姉さんを返せ。
「わかりましたわかりました。では、この世界とは全く違うとても不自由な私たちの世界についてのお話をしましょう。ライザさんのようにうまくは話せないので、その辺りは我慢してくださいね。」
「はい!わかりました!」
そんなきらきらした顔しなくてもお話は逃げませんよ。
「あ、ちなみに私、尻尾はありますよ。」
そういうと、彼女のスカートのようなひらひらの中から、黒く細長い尻尾がひらひらと揺れていた。
生えてんのかよ・・・。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
全然話進んでなくてすいません。
いつ忙しくなるかわからないですががんばってかきます。