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職業?・・・死神!?

作者: 空耳

俺は時々思うことがある。

人はいつの日も、死と隣り合わせだとよく言われる。明日死ぬかもしれないから、今日と言う日に、後悔を残さないように生きる。

でもそんなことを本当にしてる人は、いるだろうか。多分いないだろう。

いるならその人はきっと、自分の死を迎えたときに、満足しているはずだから。

でもどうだろうか、大抵の人は、自分の死を迎えた時、後悔の念で頭がいっぱいだろう。

何故なら、俺がその一人だったからだ。

俺の名前は、福見純太…高校1年になったばかりの16才。まぁごくごく普通の高校生だった。

高校に入ったからと、部活をやるわけでもなく、だからと言って友達と遊ぶわけでもない、

多分一人が好きなんだと思う。その日、つまり俺が死を迎えた時も、俺は一人で帰宅中だった。

毎日、特に変化のない帰り道を、一人歩いていた。でもその日は違った。

俺が横断歩道を、渡っている時だった。突如大きなブレーキ音がした。

俺がその方向に目をやると、目の前に、トラックが走ってきていた。その一瞬はまるで、静止画のように、スローモーションに見えた。気づいたら俺は、地面に倒れていた。周りの人が騒いでる。

血が流れ出るのはわかったが、俺は痛みを感じなかった。その時は、よくわからなかったが、俺は死ぬんだろうなと思った。

そう思ったとたん、頭の中でいろんなことを考え出した。

(そういえば、まだ買ったばかりのゲームやってないな、帰って宿題やんなきゃ、そういえば

今日、父さんの誕生日だ、帰ってきたらおめでとう言わなきゃ)

考えれば考えるほど、やってないことが出てくる。そして次第に、俺はもう何もできないと悟った。

「ヤダよ……まだ死にたくないよ、まだやり残したことがあるんだ」

後悔が俺を襲った。(今思えば、もっと学園生活を楽しめばよかった、母さんと父さんに、もっと親孝行してあげたかった)

後悔の念に襲われながらも、意識は遠のく、視界も狭くなる。もうすぐ終わってしまう。

(俺は…結局、後悔しかしてないな、なんか一つでも楽しいことを考えよう。その方が苦しまなくて済む。

もしかしたら、後悔して死ぬ人も、後悔してない人も、最後はこんな感じに、楽しいことを考えて死ぬのかな。)

そんなことを思っていると、救急車が来る音がした。俺は何となく、間に合わないような気がした。

「ふぅ…もう無理かな…でももし助かったら…後悔したことを全部やりたいな。

母さん…父さん…親不孝な息子でごめん…さようなら」

俺は意識を失った。




俺は目を覚ます。普通こう言うタイミングだと、天井が見えるはずだが、そこに天井はなかった。

そこはあたり一面真っ白なとこだった。

「なんだここ……本当に天国でも来たのか?」

その時だった。いきなり目の前に人が現れたのは、俺は驚き、後ろに下がった。

「あなたが…福見純太さんですね」

「えっ……はいそうです」

恐る恐る返事をした。

(なんで俺のこと知ってんだ。それよかここどこだよ)

「なぜあなたのことを知っているか…ですか?……ちなみにここは、現世とあの世の境目です」

「あっあ…そうなんですか」

(なんで…心を読まれた)

「まぁ心ぐらい読めますよ。神ですから」

「神……あんたが」

「はい…もっとも神と言っても…死神ですが」

(死神…この子が…歳は俺と変わらないぐらいだし、そんな子があの死神)

「そうです…死神ですよ」

「勝手に心を読むなよ」

「あーすいません…でっ…話を戻しますと…福見純太さん…あなたはこのたび見事、死神に選ばれましたー」

「……はぁぁ……」

「あーやっぱそうなりますよね。詳しくは後にして、福見純太さん…あなたはまだ死んでません」

「はっぁ!死んでないって…どう言うことだよ」

「あなた今…病院で危篤状態です。危険な状態に変わりはありません。しかし生き返ることができます」

「本当に…生き返れるのか…どうすればいい…どうすれば生き返れる」

死んでないことを知った俺は、まだやり残したことができると、嬉しかった。しかし死神は、そんな簡単には生き返らせてはくれなかった。

「そうですね……生き返るには、福見純太さんに、死神になっていただかないと、だめですね」

「だからそれなに…死神になるとか……そもそも死神は君だろう」

「はい…私も死神です」

「私も…ってどういうこと」

「そうですね…詳しく話しましょう」

そう言って、死神は話を始めた。

「そもそも死神とは、何のためにいると思いますか」

「そんなの死者を迎えに行くためだろう」

「そうですね…でも一日にどれだけの人が、死ぬと思いますか」

「そんなのわかるはずないだろう」

「だいたい一日3000人です」

「……そうなんだ」

「それで死神が一人では、とても回り切らない、そこでこうして死神になってくれる人を、

探してるんです」

「…はぁぁ…でっ…なんで俺なの、他にもいるでしょ」

「うーん…まぁそうなんだけど、私の好みかな…」

俺はイラッとした。

「ごめん…ごめん冗談…本当を言うと、君が死んだエリアを担当してた死神が、

不祥事でやめたのね」

「やめたって…死神って仕事なの!」

「えっ……そうだけど」

(えっ……そうだけどって…死神って仕事なの…じゃー死者連れて来たら給料でも、もらえるのかよ)

「えっ…給料出るけど…ちなみに月給制だよ」

(えーー…月給制だったー…どんだけ人の命粗末に扱ってるの)

「粗末になんて扱ってないよ!その人が素晴らしい死を、迎えられるように手伝うのが、私たちの仕事」

「手伝うって……どうやって」

「そうだね…まず仕事の内容から言おうかな」

(仕事の内容って言ってるよ……死神の自覚あるのかな)

「まず仕事だけど、死神は一人に一冊、この死神手帳通称死帳を持ってるは」

その死神手帳とは、普通にありそうな黒い手帳に、髑髏のマークが入ったシンプルなものだった。

「そしてこの死帳には、毎回自分のエリアで1か月後に、死ななければいけない人の名前と、詳細が出るは、死神はそれを本人に、1週間以内に伝えなければいけないの」

「1週間以内に伝えなかったらどうなる」

「その場合はペナルティーとして、給料から引いとくは」

「あっ…そう」

「続けるわね…本人に言ったら、そこからが私たちの仕事、その人がやり残したことがないように

してあげること、それと最後本人が望む死に方をさせてあげること」

「望む死に方?なんだそれ」

「人にはいろいろあるのよ…一人で死にたいとか、安楽死したいなどいろいろね。

それを叶えてあげるの」

「はぁぁ…あっ…今思ったけど死を宣告した時点で、殺してとか自殺したらどうするの」

「それでも予定の日まで殺してはだめ…自殺は大丈夫、死ねないようになってるから」

(大丈夫って、本当に大丈夫かよ)

「でっ…後はその魂を送って終わりね……以上だけど質問ある」

「いや…ないよ」

(てっかなんの質問すんだよ、怖いわ)

俺はなんか偉い目に遭ってしまったと思った。

死神は再度聞いてきた。

「でっ…福見純太くん死神になってくれるかな?」

「いや…無理だろう俺にはできないよ」

「えー…じゃーこのまま死を受け入れるの」

「うぅ…それは……他にないのか、俺が生き返る方法は」

「残念だけどないよ…それに時間もないの」

「時間……なんの?」

「君はもうすぐ本当に死んでしまう」

「はぁぁ!なんで」

「さっき言ったよね、君は危篤状態だって、今の君は魂だけだから、

後10分で戻らないと、体が死んでしまい君は本当に死んでしまう」

「マジかよ…」

(どうすればいいんだよ。死神とかなんなんだよ。でもこのままだと死んじゃうし)

「わかった…死神…俺が死神の仕事をやってやるよ」

「わーー…ありがとう…そうそう死神になると、相手が何考えてるかわかるようになるから。

それじゃー…福見純太をエリアkの死神に任命します」

一瞬あたりが眩しくなった。

「今ので終わりか」

「はい…あなたはもう死神です。ちなみに私は、死神の日本統括の佐藤美晴…なんかあったら相談してね」

「はぁーわかりました」

「福見純太1つ言っとくぞ…死の対象の人間は必ず予定日に殺してよ…もし遅れたら…あなたが死ぬからね」

「わっわかりました」

「よし…じゃー死神の仕事頑張ってね、最初は戸惑うと思うけど受け入れて、

死とは誰にでも訪れる、その時に最高の死を送らせてあげるの」

「はい…頑張ります」

「よし……行ってきて……」

あたりが眩しくなり、俺は目を閉じた。


目を開けると天井が見えた。横には母と父が心配そうな顔をして観ていた。

(俺は死神になったのか?夢だったのかな)

そんなことを考えてると、枕元にあの死神手帳があった。

どうやら母と父には見えてないようだった。

すぐに医師が来て言った。

「信じられん……奇跡だ…」

(マジか…本当に甦ったよ…ありえね…)

俺は驚いた。医師の心の声が聞こえたのだ。

「本当に…死神になったんだ」

「なんか言った?」

母が聞いてきた。

俺は何でもないと言って外を観た。

これから死神としての役目が始まるんだと、俺は心に誓った。

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