なろうテンプレ作品とはすなわち、ラーメン屋である
最近、あるエッセイに感想を書いてから、よくエッセイを読むようになりました。
小説の書き方や『小説家になろう』のポイント制度など、今年度になってから本腰を入れて小説を書き始めた自分にとっては、大変良い勉強をさせていただいております。
そのなかで、一つ興味深いエッセイを見つけました。それは今から三年ほど前に書かれたもので、昨今の『小説家になろう』の現状を憂いているエッセイです。憂鬱な若人さんの「なろう作家、読者の皆さま方へ」というエッセイです。
内容を噛み砕いて言うと、流行りのタグを入れた模倣作品が乱立していて、このサイト全体の質が下がっている、というものでした。
それについての意見を書いたものが、このエッセイです。
まあ自分の結論としては、既にタイトルに書かれているように、『なろうテンプレっていうのは、ラーメンみたいなもの』というものです。
ラーメンというものは人気があります。それこそ三食ラーメンだけでよいという、藤子不二雄さんが生み出した、ラーメン大好き小池さんのような猛者もいることでしょう。
味も様々なものがあります。鉄板どころでは醤油や豚骨、味噌、塩、などなど。アッサリしたものやコッテリしているもの。トッピングもチャーシューやらメンマやら盛り沢山。
世にはラーメン屋が沢山あります。ですがどれだけ違いがあろうが、大雑把に言ってしまえば、それは全てラーメンという単一料理のはずです。ですが美味い不味いはあれど、人々に飽きられることなく、食され続けています。
テンプレもこれと一緒だと考えています。VRMMOや異世界、公爵令嬢など、様々な鉄板設定があります。ハーレムや最強などの要素を含む場合もあります。人の愛憎や内面を緻密に描いたコッテリしたものもあれば、まさしくライトノベルといった感じでアッサリしたものもあります。テンプレをこよなく愛し、それだけを読み続ける人間が居るのです。
ラーメンに飽きた? なら別の中華料理を食べればいい。ここには別の料理も沢山ある。その中から別のものを選べばいい。
批評の内容が『スープにコクがない』や『麺にコシがない』というのなら、それは受け入れるでしょう。どうすればコクやコシが出るのか教授していただければ、さらにナイスです。
ただそれを、『ラーメン食い飽きたから、嫌い』などと言われた日には、作り手もプッツーンと来ることでしょう。なら端からここに来るなと。
テンプレ作品をラーメン屋と例えましたが、実際のラーメン屋と違う点が二つあります。
一つは金銭のやり取りが発生しないこと。
通常のラーメン屋なら、美味い不味いに関わらず、食べた時点で代金が発生します。その味が値段と釣り合っていたなら普通。良ければ美味い。低ければ不味い。などというように、値段による基準のようなものが作られます。『この値段ならあそこの店の方がいい』『向こうは味がそこそこだが値段がリーズナブル』といったように。
ですがここでは金銭のやり取りなどは発生しません。しいて言えば読むのに掛けた時間が代金といった所でしょうか。
金を取るプロならば、『不味い、不愉快だった』と吐き捨てて帰っても、まあいいでしょう。払った金額に見合うだけの満足を提供できなかったのですから。
ただこのサイトに集まるのは大半がアマチュア。それを頭ごなしに『またラーメンかよ。っけ』などと吐き捨てるのは如何なものかと思います。ただ趣味で書いた作品なのかもしれないし、プロになるための練習としてまずそこから始めたのかもしれません。
ラーメンを攻めるのではなく、せめて中身を攻めてください。
そしてもう一つの違う点は、資格の有無です。
ラーメン屋は食品衛生法に基づいて、責任者の資格を取得する必要があります。これがなきゃ営業することが出来ないようです。まあプロなら当然と言えるかもしれませんね。
ですが小説などの創作活動にそれらの必要な資格などございません。少なくとも金銭を要求しないアマチュアの段階では、そのようなものは必要ありません。
創作活動の資格は誰もが持っているのか、誰も持っていないのかのどちらかでしょう。一級建築士ならぬ一級小説家などという資格など、この世にないのですから。
書く書かないの自由が書き手にあるのと同様に、読む読まないの自由は読み手にあります。その中から、自分に合ったラーメンや別の料理を探すのが、この『小説家になろう』の楽しみ方ではないでしょうか?
長々と失礼いたしました。
感想受け付けています。