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第一章 非日常からの御誘い(6)

「軽い脳震盪みたいね。一応、病院に行った方がいいわね。大丈夫?一人で帰れるかしら?」

ここは保健室。偶然にも保健の先生がまだ残っていたので、みていてもらっている最中というわけだ。

「は、はい。多分大丈夫です。病院に行って、家でゆっくりしておきます」

聖子も、なんだか頭を打ってまるくなったような気がする。

「確か、あなたの家、すぐそこだったわよね?私、送っていくわ」

と、美亜。

「え、ほんと、ありがとう。私、親が帰ってくるのちょっと遅いから心配だったんだよね、ありがとう」

「とんでもないわ。あ、あとね」

と、美亜は保健室の先生にお礼をいいながら保健室のドアを閉める。

「病院に行った後、絶対外に出ちゃだめよ?」

「え、なんで?」

「―――…なんでも。家が近いから、夕飯の差し入れにでも行くわ。今日、私の家、おでん作るから」

「わあい、ありがとう!最近同じものばっか食べてたから飽き飽きしてたんだ!」

「どうせコンビニ弁当でしょ?そんなものじゃ栄養はでないわよ?親が帰ってくるのが遅いからって、少しぐらい自炊したらどうなの?」

「だってえ、料理苦手なんだもん。いっつもへんてこりんな味になっちゃう」

そんなことを言いながら、二人は二組の教室に鞄を取りに向かう。

「鈴と、えっと、旭川君!ちょっと、聖子を家まで送ってくるわ、10分もあればもどってくるから、ちょっと待っててちょうだい」

「はあーい、いってらっしゃーい!」

よかった、いつもの鈴に戻ってる。そう美亜は安心しながら、聖子の鞄をとる。

外で待ってた聖子と合流して、一緒に校門をくぐった。

「そういえばさ、なんで噂の不良旭川元成が一緒にいるの?それがさっきから気になって気になって」

聖子が美亜に尋ねる。それもそのはずだ、美亜の説明では、三人で紅葉を見に行ったことになっている。

「えっとね、旭川君はね、聖子が頭をぶつけたさいに助けを呼びにいこうとしたらなぜか体育館倉庫の裏で一人携帯をいじっていたの。だから、協力してもらおうとして鈴に呼びに行ってもらっていたら、ちょうどあなたが目をさました、というわけ。ちょっと、偶然過ぎて信じてもらえるかわからないけど…」

「ううん、信じるよ、美亜は私をたすけてくれたもん!」

適当に思いついたにしては、上手くいったかしらと美亜は聖子を見る。聖子はにかっとほほ笑んで、八重歯が見えている。操られていたなんて、信じられないほどに、とても純粋な笑み。

「…ねえ、ちょっと手、かして?」

「?いいよ!」

美亜は、聖子の手をとる。そして、すぐに放した。

「???何したの?」

「ううん、元気になるおまじない、今日は安静にしててね」

「うん!ありがとう!」

そんなこんなしてたら、聖子の家についてしまった。聖子の家は一軒家だ。

「じゃあ、一旦家に帰って、保険証持ってからそばの病院いってくるよ。送ってくれてありがとう、美亜!」

「うん、ばいばい、病院から帰ってきたら家から出ちゃだめよ、聖子!」

聖子がばたん、と家のドアを閉める。美亜はというと。

「…守護結界の魔法はとっても苦手なんだけどなぁ…」

と呟きながら、聖子の家をぐるりと一周する。そして、玄関の前で立ち止まる。

「May a divine protection of God there be(神のご加護がありますように)」

そう呟いて、聖子の家を後にした。


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