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≪2≫

 あの伝説の人魚、名前はサレス。

 フルネームだと、サレス=パールサイドって言うらしい。御人魚(みとな)川にあるっていう人魚界の姫。


 サレスは、『姫』という立場のせいのしばられた生活が嫌だったんだって。姫としての仕事が嫌だった訳ではなくて、むしろとても素晴らしい姫だった。だけど、プライベートの時間にまで侍女などがいて一人になれない……、そんな生活が嫌になっていた。


 そしてある日、一人になれる場所を求めて、なんとか侍女をまいて、本当は成人するまで行けない人間界へ行ってしまった。


 人魚は、10年で人間でいう1歳分成長するとのこと。人魚でいう成人は200歳。当時サレスはまだ169歳。人間界へ行くことは、未成年としては最大の罪だった。


 それで、人間界で出会ったのがライティス。

 フルネームだとライティス=ティド=ハリー。イングランド王国貴族:ハリー家の第二子長男で跡取り、とのこと。


 ハリー家は科学者一家で、ライティス自身も科学者。日本に来たのは『人魚』の研究のため。当時人魚は世界中に点在してたらしいけど、ほとんどは海で生活してて、川に人魚界があるのは日本ぐらいだったんだって。海より川の方が探し易そうだった、だから、日本へ来た。

 一家は従者等を従え全員来ており、日本の大名家:風見家の協力のもと、人魚を探しを始める。

 ライティスは、『人体実験』みたいで嫌だと、人魚研究には反対していたけれど。


 そしてライティスは、 研究は関係なしに御人魚(みとな)川の川原を散歩していた時に、人魚界を抜け出して来ていたサレスと出会う。


 二人は出会った瞬間に互いに惹き付け合い、恋に落ち、いつしか愛し合った。


 しかし、サレスは『人魚』。

 人魚は女性しかいない。地上へ行き、尾を乾かすと人間の足になるという性質もあったため、男と交わることは出来る。が、人魚は古来より人間により興味本意に捕まえられるなどされていたため……、人間は人魚にとっては良い存在ではなかった。そのため、人間と愛し合うことは人魚界最大の罪とされていた。


 ライティスにしても、人魚を追っている一家の一員でありながら、人魚と愛し合う……、つまりは人魚を擁護する側にまわってしまったために、いろいろあって、二人はついに夜逃げまがいにかけおちをした。


 その後二人は、逃げつ追われつではあったがそれなりに幸せに暮らした。子どもにも恵まれた。

 ──でも、それにも限界が来る。追ってくるのが、ハリー家に風見家、更に江戸幕府……。という大変な数だったからだ。逃げ切れる訳がない。


 そして二人は、子どもを残して心中した……。




 「──っていう訳。

 どぉ? 信じてくれた?」


 全てを話し終えた渚君が満足気に言った。


 信じられると思ってるの? こんな現実離れし過ぎた話。

 そもそも、私が非現実的な話が嫌いとか言う前に、ここまで空想じみた話、普通誰も信じないと思うんだけど。どうして、この男はこうも平然と言い放ってるの?


 「その目は信じてないね。明日菜ちゃん……」


 私の疑心に満ち溢れた瞳から気持ちに気付いた渚君は不満顔。


 「当然でしょ……」


 渚君の言葉に、深いため息と同時にこんな言葉が漏れた。


「うーん……。まぁ……、いっか」


 え……。

 渚君は少し困った様に頭を抱えた。が、あっさりと諦めとも取れる言葉を放つ。

 なんだか、意外な言葉を聞いた。もっとこう、『いいから信じなさい』とか『信じてくれなきゃ駄目』みたいな強引に押しきられるかと思ったのに。こんなあっさり諦めるなんて。なんだか調子狂う……。


 「でもっ」


 私が驚いて目を丸くしていると、渚君は身を乗り出して私の視界に入りこんだ。そしてニコッと笑う。


「そのうち絶対っ、信じざるを得なくなるよ」


 はい?


「うん、絶対に。だから今はいいよ。そのうちねっ」


 目を丸くして、というよりむしろ怪訝な顔をしているであろう私を無視し、渚君は勝気な笑みを浮かべている。なんだか、一人でうんうんと頷き、納得している。


 そのうち信じざるを得なくなる? だから今はいいよ?


 つまりは……。

 諦めてなんかいないって訳なのね?


「し、『信じざるを得ない』って?」


 私は顔を引きつらせながら聞いた。

 こんな話が『信じざるを得なくなる』事態。つまりは、この話が現実味を帯びる事態。そんなこと、考え付かない。


「あぁ、あのね。明日菜ちゃんはサレスの生まれ変わりだから、これから体に変化が現れてくると思うよ」


 普通に、渚君が言う。ふざけてる風でもなく、至って普通に。


 身体に変化って……。何、それ。


「……人魚に、なっていくと思うよ」


 渚君は一呼吸置いてから真顔で言った。真っ直ぐ私の目を見て。

 私は、更にもう一呼吸置いてからやっと言葉の意味を理解した。が、声にはならなかった。事態は理解できていないから。


 何それ。私が、人魚に? そんなことあり得ないでしょう。私は、人間だもの。

 そもそも、人魚なんていないもの。


「あと、夢を……、サレスの夢を見るんじゃないかな。僕がライティスの時のこと、色々詳しいのも夢で見るからなんだ。」


 私の困惑した目を見つめたまま渚君は続ける。またも、現実離れした話を、相変わらず真顔で。


 何それ。理解、出来ないよ……。人が混乱してるのに、一人で勝手に話進めないで。


「明日菜ちゃん。そんなガチガチに考え込まないでよ」


 私の混乱に気付いた渚君は、優しく私の頭を撫でた。直後。


「あっ! 最大のこと忘れてたっ!」


 渚君が突如大声をあげる。

 まだ何かあるの? いい加減、空想話の許容範囲を超えた私は更に混乱する。渚君はそんな私の目を見てニィッと笑う。いつもの子どもっぽい笑顔。そしてたっぷり間を開けて言う。



「僕を、好きになってく」



「だといいなぁ。なぁんてねっ。 ほら、なんたって、サレスとライティスの生まれ代わりの2人だからね」


 反応すらできずにいた私。に茶化す様に渚君が言う。頬を赤く染めて、嬉しそうに。


 時間と共に、渚君の放ったとんでもない言葉の意味を理解して行く私。の、顔が真っ赤に染め上がった。


「何言って……っ」

「はーい。ストップストップ。ここ図書館だから叫ばないでね」


 叫びかけた私の口を渚君がふさぐ。そして、持っていたあの本を本棚にもどした。


「さ、明日菜ちゃん。もう出よっか?」


 疑問系で言いつつも私の答えは待たず、渚君は私の手を取り強引に図書館を出た。


 な、何。この男。

 馴れ馴れしい、強引、意外に頑固で、どこか女々しい。それから、ひたすらマイペース。

 なんだか渚君といると自分のペースが保てなくなる。分からなくなる。

 渚君のペースに引きずり込まれる。


「ちょっ、渚君…っ。手、離してよっ」


 図書館を出て数分。私の言葉などおかまいなしに、私の手を握ったままどんどん歩いて行く渚君。

 もう。聞こえてない訳ないのに。

 私は少し怒って、叩く様に渚君の手を振りはらった。


「離してっ!!」


 軽い打撃音が響く。

 渚君は立ち止まり振り返った。なんだか静かな目で私を見てる。

 目が合う。

 と、なぜだか心臓が跳ね上がる。渚君の目がいつになく本気で。だだからって、なんで私のは心臓高鳴ってるの? 渚君から目を、反らしたい。でも、渚君の真剣な目は、目が合うとなんだか反らせない。


 やだ。私、また、きっと顔赤い。


「明日菜ちゃん」


 相変わらずの真剣な目で、渚君は静かに口を開いた。


「君、誕生日、12月18日だったりしない?」


 ……え?

 何? この話題のずれ方は……。それに、どうして。


「なんで、知ってるの……?」


 そう。確かに私は12月18日生まれだ。だけど、渚君に教えた記憶はない。クラスの皆にだって言ったことないから、人づてに聞いたとも、考えられない。そもそもあの学校で、私の誕生日を知ってる人なんて聖亜ぐらいだ。


「やっぱりね。じゃないかなと思ってたんだ」


 渚君は満足気に微笑む。

 一体、どういうこと?


「12月18日はサレスとライティスが死んだ日なんだ。あの石碑にも書いてあるしょ?

 実は、僕も12月18日生まれなんだ。

 サレスとライティスが死んだちょうど300年後に、ちょうど僕らが生まれたんだよ」


 渚君は、真摯に私を見つめる。説き伏せる様に言葉を紡いでくる。


「ね? こんな偶然でもいくつか重なるとすごいでしょ? こういうのを僕は奇跡って言うんじゃないかと思う。

 顔から髪と目の色、特技から誕生日まで。

 やっぱり、僕はライティスで、明日菜ちゃんはサレスなんだよ」


 渚君は、飛び切り優しく笑った。


 何それ。こんな変な話。行き過ぎた話。あり得ない話を、どうやって信じろって言うの? どうして渚君は平然と、当然かの様に話すの?


 私がサレスの、『人魚』の生まれ変わり……?


 私は人間じゃないって言うの……!?


 とは、思うんだけど……。

 渚君はずっと私を優しく見つめてる。なんて言うか、この渚君の優しい顔見てると反論できない。強く否定できない。とても嘘ついてる瞳じゃないから。なんか、信じなきゃいけない様な気すらしてきてしまう。


「やっと見つけた……」


 不意に渚君が口を開いた。そして、静かに手を私の頬へのばした。優しく、優しく撫でる。


「僕は、自分がライティスの生まれ変わりだって分かってから、ずっとサレスを、君を探してたんだ」


 凄く穏やかな顔をしている。


「やっと、見つけた」


 渚君……。


 噛み締める様に渚君は呟いた。穏やかな顔、私の頬を撫でる優しい手、そして声に、私は何故か釘付けにされてしまった。

 信じない。信じられない、あんな話。だけど、反論の言葉が出て来ない。何も言う言葉が見付からずに、ただ私は立ち尽くしていた。


 それから数秒。渚君は突然ニコッと笑った。さっきまでの穏やかな、優しい微笑みじゃなくて、渚君らしい子どもっぽい笑顔。そして私の頬から手を離しつつ背を向け、2〜3歩前へ出た。


「君と僕は運命の人だよ」


 私に背を向けたまま平然と言う。とんでもないことを。

 何を、と思いながらも言葉に詰まり、反応できない私。それに対し渚君は、再び私の方へ向き直り、ニッと笑う。


「僕はそう信じてる」


 渚君はきっぱりと言った。

 私は、目を見開いたまま動けない。身体中の血が沸き上がる様な、逆に凍り付く様な。

 わからない。なんだかわからない。だってこんなこと初めてで。私なんかに言い寄ってきた人なんて今までいなかった。だからどう対処していいかわかんない。


 ……何? 一体何が起こったの? 訳わからない。こんな私に、まさかそんな……。


 本気なの? 渚君。


「じゃね、明日菜ちゃん。また明日!」


 固まったままの私に、渚君はニコやかに手を振る。


 「え……。ちょっと、待っ……」


 私はまだ納得のいかないことばかりだったから、思わず渚君を呼び止めようとした。けれど……?


「渚君……?」


 ぽつりと呟いた私の言葉は受けとる相手もなく、宙に溶けた。


 私が呼び止めた、思わず手を差し出し、渚君の腕を掴もうとした。その瞬間、そこにはもう渚君の姿はなかった。

 いや。


 消えていた。


 渚君の腕を、私の手は微かに触ったのに、手は何も掴むことが出来ずにパタリと落ちた。






 次の日。今は学校、朝のショートホームルーム真っ只中。私の隣りには、いつもの笑顔で担任の言葉に耳を傾ける渚君がいる。


 ねぇ、渚君。

 昨日のアレは、何?


 私はこの質問をできないでいる。


 ──昨日渚君は、気が付いたら目の前からいなかった。いや、認めたくはないが消えていた。と思う。

 そんなこと、有り得ない。人が『消える』なんてことは。それは分かってる。分かってるけど……、否定できない。

 実際、目の前から突然渚君がいなくなったのは、事実だから。声をかけた瞬間に居なかった。微かに触った渚君の腕が掴めなかった。『消えた』ことを、体感してしまった。


 渚君本人に確かめたい。だけど、『そのこと』を認めたくない自分がいて、なんとなく聞けない。



「あぁーっ、渚ー!! やっと見つけたー!!」


 ショートホームルーム終了直後。教室のドアの方から、女の子の甘ったれた黄色い声が響き渡った。


 何? 『渚』って、渚君の知り合い?

 一瞬のざわめきの直後に静まり返った教室。このクラス一同の視線は、真っ直ぐにドアへと向けられた。

 そこに立っていたのは、スラッと背の高い美女。

 長い手足に細い身体、だけどバランスの取れたスタイル。目鼻だちのはっきりした女の子。

 そして、そんなことを凌駕する特徴が。

 髪の毛が『黒っぽい青』。目の色素もかなり薄い。

 私が言うのもなんだけど、何? この人……。

 その時、私の隣の渚君が、椅子や机をガタガタ言わせながら突然立ち上がった。


「リ、リアァ゛!? なんでここに!」


 渚君は目を丸くして叫んだ。それはもう、心底驚いた顔で。


 『リア』? やっぱり知り合い?


「だぁってー、渚に会いたかったんだもん! 聞いて! 私、この学校に入っちゃった!」


 と、この『リア』と呼ばれた娘は、女性陣に有無を言わさずに嫌われそうな猫なで声で語り、渚君に抱きついた。なんて言うか、語尾にハートマークが付きそうなしゃべり方。それはもう、渚君以上に。

 なんだか、今までの話し方から察するに、いわゆるぶりっ娘な上に自己中気味。

 クラス中の女子がと言っても言い程、女の子達が怒りに満ちた瞳で『リア』を見てる。多分、渚君に抱き付いているから。

 私からしても、渚君に抱き付いているのはどうでもいいとしても。この話方はかなり癪に触る。


「ちょっ、リア! 離れてよ!」

「いやーん、渚ったらっ。照れなくてい・い・の・よ!」


 かなり嫌そうにその娘を振り払おうとする渚君に対して、その娘はこの反応。


 なんていうか……、何なのこの人。渚君の上を行くゴーイングマイウェイだ。クラスの女の子達の視線がより一層厳しくなった。


 ふと、私と『リア』の目が合った。その瞬間、『リア』は突如氷ついた。

 明らかに私を見て、ハッとして息を飲んだ。

 一体、何?

 それから『リア』は猫撫で声から打って変わって、キリッとした声で言った。


「渚。この娘ね。サレス姫の生まれ変わりって」

「うん。まね」


 『リア』の言葉に、今度は私が目を丸くした。渚君は平然と答える。


「本当にこの娘なの?」

「うん。明日菜ちゃん、あの本見えたし。何より、この顔だよ?」

「まぁ、それもそうね」


 クラスが静まり返った中、渚君と『リア』のハタから見れば意味不明な会話が続く。この2人はこの痛い程の回りの視線に気付かないのかな。


 それにしても。

 『サレス姫の生まれ変わり』って……。どうしてこの人も『サレス』を知ってるの? この人もあの話の関係者なの? また、誰かの生まれ変わり、とか?


 その時、静まり返った空気を切り裂く様に1時間目始まりを知らせるチャイムが鳴り響いた。


「あんっ。もう1時間目ぇ? どうして渚とクラス離れちゃったのかしらっ。

 んじゃ、渚。私4組だから。また後でね〜」


 と、『リア』は渚君に手を振り去って行った。

 嵐が去った。正にそんな感じ。いろんな意味で凄い、あの人。怒りの視線を向けていたクラスの女の子達も、逆にもう唖然としていた。怒りを通り越したんだろうな。


 と、それよりも……。


「渚君。あの人、何?」


 あの話を知っている風の女の子。青い髪と色素の薄い瞳、変わった出で立ちの女の子。


「あぁ。まぁ、ね。今の話でなんとなく分かったと思うけど、ここじゃ話せないし……、後でね」


 苦笑いの渚君。

 やっぱり、あの話の関係者なんだ。……でも、あの伝説には『サレス』と『ライティス』しか出てこないし。他にあの話に関係するっていったら、どうやって? あの不思議な出で立ちも関係あるのかな。私と同じ様に。


 って、あれ?

 私、なんであの話を信じかけてるの?


 あぁ。もう、冗談じゃない。あんなに変な話。現実感のない話。信じてなんかやるものか。


 とは思うけど。

 だめだ。だめだ、私。完全に渚君に流されてる。思いっきり『渚君』という激流の中に流されてる気がする。


 嫌だな……。なんかこんなの、私らしくない。らしくないよ。


「明ー日菜ちゃん」


 ん……?


「どうしたの? 黙り込んじゃって。そんなにあの話気になる?」


 気付くと、目前に広がる渚君の顔。しっかりと私を抱きしめた渚君の腕。

 飛び切りの笑顔が私の目に飛び込んだ。 

 この、男は……!


「んな訳あるかいっ! いちいち抱きつくな!」


 クラスの女の子達の痛い視線が注がれる中、私の肘が渚君のみずおちに軽く炸裂した。


 全く。信じるてなるものか、あんなおとぎ話。絶対、絶対信じない……。




 4時間目の終わりを告げるチャイムが響き、終了の号令がかかる。。着席と同時に私は、大きな欠伸と共に伸びをした。やっと、昼休みだ。


「渚ー!!」


 まだ4時間目が終わり、1分ま経つか経たないか。甲高い声が教室内を木霊する。また来た、この人。

 声の主は言うまでもなく『リア』。この人は10分休み毎、この調子でこの教室に……。いや、正確に言うと渚君のところに現れる。1分1秒を惜しむかの様に、休み時間になる度に速攻で現れる。

 渚君が好き、なんだよね? この人。物好きだよなぁ。おかげで、と言うかなんと言うか。私のクラスの渚君ファンのミーハーな娘達から目をつけられてるのは私だけじゃなくなった。



「明日菜っ」


 不意に、若干遠くから張りのある声が私を呼んだ。まぁ、この学校で私を呼び捨てにする人も訪ねて来る人も、1人しかいない。


聖亜(せいあ)?」


 振り返ると、教室のドアの所に一人の男が立っていた。


 標準並な背の高さ、華奢な身体。男にしては襟足の長く、金が混じるという日本人にしては変わった髪色をもつ。そして、女性の様に整った顔立ちでかなり女の子達にモテはやされいる男。

 彼の名は、立花聖亜(たちばなせいあ)。私のはとこであり幼馴染み。因みに私の唯一に近い友だち。この河守(かわかみ)高校1年5組。親同士が仲が良く、家が裏同士。幼稚園から中学まで同じクラスになり続けたという、見事なまでのクサレ縁。今年、初めてクラスは離れたけど、隣のクラスだし。


「何? 聖亜」

「おう、明日菜。古典の教科書貸せ」


 聖亜に駆け寄ると、聖亜はいつもの態度で私に言葉をなげかけた。

 かなりぶっきらぼうな、上から目線の口調。教科書借りる側の態度ではない。でもまぁ、これが『聖亜』だ。

 ぶっきらぼうで、偉そうで、果てしなくクールで、協調性と言う言葉は聖亜の辞書に載ってないかの様に持ち合わせていない。

 にも関わらず、さっきも言った様に、聖亜は男離れした綺麗な顔で女の子達の注目を浴びている。でも、聖亜は私以上の1匹狼で、唯一親しいのが私。極度に協調性のない聖亜だから、雑談をする相手は私だけと言っても過言ではない。そんなものだから、私は聖亜ファンに目をつけられている。まぁ、今の状態なら聖亜ファンに『も』って感じかな。


「はいはい。ちょっと待ってて」


 と言い、私は振り返った。すると、渚君とリアがなんとも神妙な顔でこちらを見ていた。


「渚君……? どしたの?」

「ア……」


 私が声をかけると、やっと反応したかの様に渚君とリアは同時に口を開いた。


 「アクア……っ!?」 突然の二人の叫び声。教室中が一世にこちらを見て、静まり返った。

 何? ア、『アクア』って……、水?

 渚君とリアは目を丸くしてつっ立ってる。リアに至ってはこちらを、いや、聖亜を思いっきり指差して固まっている。

 聖亜が、なにかあるの?

 ふと、聖亜の方へ視線を移すと、こちらもまた驚いた様に目を見開いている。そして、聖亜はゆっくり口を開いた。


「お前、その顔……。しかも、『アクア』を知ってるっつぅことは……。

 『ライティス』、か……?」


 聖亜の言葉に、渚君とリア、そして私も声にならない声を上げた。


 どうして、聖亜の口からまでもその名前が出て来るの……?

 幼馴染みではとこで、常に一緒にいた聖亜。だけど、そんな話聞いたことないし。


「っつーことは……」


 パニックになってる私達をよそに、聖亜は私を見据える。そして、しみじみと呟いた。


「明日菜。お前やっぱり……、『サレス』なのか?」

「な……」


 『なんで知ってるの?』

 そう、言おうとして、言葉にならなかった。


「なんでんなこと知ってんのっ、君!」


 と私の言葉を代弁するかの様に渚君が叫んだ。

 本当に……、このリアといい、聖亜まで。なんでこんなにまであの話のこと知ってる訳? どうしてあの話を知ってる人がこんなにいるの?



 それから、聖亜の話を聞くために、私、渚君、聖亜、リアは屋上に集まった。この話は、教室ではちょっと……。まぁ、これだけ注目浴びてて今更、な気もするけども。




「俺、なんか知らんけど生まれつき前世の記憶みたいのがあるんだよ」


 聖亜が真顔でさらりと言った。なんでもない様に、とんでもないことを。


「えっ! そうなの!? へぇー……」

「そんなこともあるのねぇ」


 そして渚君とリアはあっさりと受け止め、おまけに感心までしている。


 ちょっと待って。なんなの、この連中は……。なんでこんな奇怪な話をさらりと話す?あっさり受け止めるの? どうして誰も疑わないの?

 こんなにまで現実感のない話なら、小馬鹿にしてもおかしくないのに。頼むから誰か否定して欲しい。


「で、君は、アクアの記憶を持ってる。つまりは、アクアの前世ってことか」


 パニックになってる私をよそに、話は勝手にお構いなしに進む。


「あぁ。俺は『アクア』、『アクア=リート=ハリー』だった」


 聖亜がポツリと呟く。その表情、なんとなく固くなった様な……。気のせい、かな?


「明日菜ちゃん、明日菜ちゃん」


 不意に渚君が、聖亜を指差し、ニヤッとしながら私に話をふった。


「この『アクア』って、女の人。そいでもってサレスとライティスを心中に追い込んだ張本人」


 え……。


「まぁ、そうなるな」


 ニコニコ顔の渚君に対し、聖亜は軽くため息、少し間をおいてから呟いた。


 聖亜が、聖亜の前世がサレスとライティスを心中に追い込んだ人? 一体、何があったの?


「で、お前らがサレスとライティスねぇ……。明日菜見ててよ、日に日にサレスに似てくるからまさかとは思ってたけどなぁ。

 でも、明日菜は『アクア』を知らねぇってことは、全部知ってる訳じゃねぇんだな?」


 聖亜は、私と渚君を交互にじっくりと見据え、しみじみと言う。なんだか、いろいろなことがあり過ぎて頭の中が真っ白な私は、聖亜の問い掛けにただ無言で頷いた。

 とその時、渚君は聖亜の言葉に顔をひきつらせて、割り込んだ。


「ちょっ、君……、ええと?」

「立花聖亜」

「そう! 立花君!

 『明日菜ちゃん見てた』って……。君、明日菜ちゃんの何……」

「はとこ」

「へ……?」


 渚君が言い終わる前に聖亜が即答。素頓狂な声を上げた渚君。


「ついでに言うと、俺らの両親同士がえらい仲良くて、家も裏同士で。まぁ、幼馴染みってやつでもあるな」


 きょとんとしている渚君に対し、聖亜はさらりと話す。

 そう。私と聖亜ははとこで幼馴染みで。お互いが協調性の足りない一匹狼で、それが故に今尚関わりがある。それだけ。多分、どっちかが普通に今時高校生だったら、今尚つるんでることはなかったんじよないかな。


「……あ、なんだ。そういうことか……」


 ちょっと間を開けて、渚君はほっとした様な顔をして呟いた。

 ……しかし、この男は一体何を気にしてるの? どうして出会って間もない、しかもよりによって私なんかにこんな入れ込むの?

 聖亜は、そんな渚君を見て軽くため息。


「お前、またなのか……? サレスならともかく明日菜だぞ? なんつぅ物好きな……」

「な……」

「全くさ」


 聖亜の掃き捨てる様に言った失礼な発言に反論しようとした渚君。私はその言葉を遮って思わず口を開き、その失礼な発言を肯定。すぐに聖亜が突っ込む。


「明日菜、自分で言うなよ……」


 そうかなぁ。




「ところでコイツ誰? 平然とここにいるけど」


 不意に聖亜が指をさしたのは『リア』。…そうだ。この人もサレスとライティスを知ってた。するとリアはかしこまった風に座り直した。鮮やかに微笑んだ。


「紹介が遅れてごめんなさい。

 私、人魚のリア=カイメールです。以後お見しりおきを」


 は、い……?

 今、なんて言った? なんか、あり得ないことを……。


「へぇ……。まだ生き残ってたか」


 リアの言葉に聖亜は感心の声を上げた。リアは腰に手を当てて、勝ち誇った様に言う。


「当たり前じゃないっ。まだ平然と繁栄してるわよ」

「だぁから髪が青かったんだな」


 聖亜はリアの髪をマジマジと見る。

 人魚って、髪青いのか……。そいやサレスも青かったっけ……。


 って、そんなことより。

 何を変な冗談を……。人魚なんていない。百歩譲って仮にいたとしても、リアは人間じゃない。立って歩いて、長い足を持ってる。尾びれなんかない。

 どこをどう見ても、立派に人間……。


「ちょっとっ、リア!」


 その時、渚君がちょっと強い口調で言った。


「そんなペラペラ喋っちゃダメだよっ。立花君はあのアクアの生まれ変わ……」

「ッバーカッ」 ……え?

 渚君の言葉を遮り、聖亜が力いっぱいにそう言った。そして、軽く睨んでる聖亜に対し、渚君はきょとんとして、目を白黒させている。


「俺はアクアとは違うんだ。もう……、前みたいなことはしねぇよ……」


 睨みをきかせていた聖亜の目が次第に伏せられていく。声量も少しずつ落ちて行った。

 なんだか、聖亜は表情を曇らせている?


「あぁ、そなの?」


 そんな聖亜のわずかな変化には気付かない渚君は、ほっとして胸を撫で下ろした。それから、少し間を置いてからちらっと聖亜を見た。そして、ニヤッとしながら口を開いた。


「それにしても久しぶりだねぇ。姉さん」

「……だな。弟」


 なんだか含み笑いの渚君に、聖亜は苦笑いで答えた。


 ちょっと、待って? なんか今、凄いこと聞いたよ?


「姉さん……!? 弟ぉー!?」

「まな」

「あれ? 言ってなかったっけ?」


 思わず叫んだ私に、聖亜と渚君が至って平然と返す。


「名字一緒だよ。『ライティス=ティド=ハリー』と『アクア=リート=ハリー』で。僕ら双子だったんだ」


 しかも双子。

 名字、『ハリー』が一緒だ。つまりは、『アクア』は弟を追い詰めて行ったの?

 しかも双子って、全然似てないよなぁ。まぁ、男女の双子なら二卵生だからな。似てるとはかぎらないのか。


 あぁ……。なんだか混乱してきた。

 そして、私また流されてる? このわけのわからない話の渦に完全に流されてる。なんなの? こんな話を平然としてくる、こんな連中は……。


「明日菜ちゃん、明日菜ちゃん」


 一人混乱に陥ってる私に、渚君がのう天気な声で呼びかけた。


「図書館のあの本ね、実はアクアが書いたんだよ」


 ……はい?




 そんてな訳で、放課後。私は、渚君・聖亜・リアというメンバーでまたもや図書館に来ていた。なんでも、あの本には『アクア』の肖像画も載ってるとかで……。私は、半強制的に渚君に連れてこられた。これ以上この渦に巻き込まれたくないから、あんまり行きたくなかったんだけどね。



「まーだあの本がこの世にあるとはなぁ……」


 渚君の案内であの本のある図書館の奥の本棚へ向かう途中、聖亜がしみじみとつぶやく。すると苦笑いで渚君が返す。


「本当にねぇ。僕もあの本見つけた時はびっくりしたよ」


「『こんなもん書いてたのか!?』ってか? あれ書いたのライティスが死んでからだったし」

「アハハ。まぁ、それもあるし、それより300年も前に書かれた物だよ!? びっくりするよ」

「全くだ。しかも図書館なをかにあるとは……」


 ……なんだか和んで話し込んでるね、この二人は……。ちょっと違うけど、昔話に花が咲くって感じ? なんか本当に流されてるな、私。この話、というか渚君の、そして今やリアや聖亜まで加わったこの巨大な渦になんて反抗できないよ。

 このままでいいの? 私。



「ハー……。なんか懐かしいな」


 あの本、『Mermaid』を見ての聖亜の第一声。しみじみと言った。渚君は笑いながら相槌を打つ。そしておもむろに本を開く。


「明日菜ちゃん、これ! アクアの顔!」


 渚君はあの本のラストページを開き、意気揚々と私に見せた。気の乗らない私。だけど、今更拒んでもきっと無理矢理見せられて意味ないんだろうなと悟り、そろっと目をやった。


「うわ……。聖亜だ」


 そこには聖亜と同じ顔をした金髪の美女が描かれていた。なんて言うか、聖亜そのもの過ぎて、なのに綺麗過ぎて、思わず声が出てしまった。

 本当に、女の私から見ても、溜め息ものの美女だ。長い金髪の髪はウェーブがかかり、優しく輝いている。宝石の様な、翡翠の瞳には笑みが浮かんでいる。白人ならではの白い綺麗な肌。科学者が故なのであろう白衣は、頭の良さを表している感じ。


「世界的に有名な科学者だったんだよ。女性だけど」


 へぇ……。この時代に女性が、って凄いんじゃないかな。男性ばかりが表立つ時代だろうし。


「ほら。立花君にもアクアの名残があるっしょ?」


 と、何故か得意気な渚君。


 名残……。あぁ、確かに。

 このアクアなる女性は金髪に緑の目。聖亜の髪には金髪の混じる本数が多い。目も、少し緑がかってる、かな。


 ……あぁ。また流されてる、私……。思わず盛大なため息をついた私に、聖亜も渚君も首を傾げる。

 なんだか、こんなに証拠やら証人やらゴロゴロ出てくると、信じざるを得なくなる。みたいな。

 渚君に言われた通りになって来ている。『そのうち認めざるを得なくなる』って。


 ──なんで、空想上の動物が、実在できる訳……?


「そーだ。明日菜ちゃん!」


 人が深刻に考えてる時に、渚君が雰囲気を崩させるのう天気な声で話しかけてきた。


「夢まだ見ない?」


 目を輝かせている渚君。

 あぁ。昨日渚君が言ってた前世の夢か。『まだ』……、って昨日の今日なのに。気が早過ぎるよ。 


「……見ないけど。んなもん」

「えぇ〜……。そんなぁ」


 私が呆れて冷たくあしらうと、渚君はガッカリしてその場にうなだれた。

 あぁ。溜め息が出る。

 この渚君って人は、ナヨナヨしてるというか子どもっぽいというか……。いちいち振る舞われる大袈裟な反応。疲れる。


「夢?」


 私達のやりとりに聖亜とリアが疑問の声を上げる。


「あぁ。僕はね、立花君みたいに前世の記憶があるんじゃなくて夢に見るのさ。ライティスの時のこと。だからさ、明日菜ちゃんも見るんじゃないかな〜って」

 渚君の言葉に聖亜とリアがそれぞれ感心した様にうなづいてる。


 もう……、頼むから誰か否定して。


「明日菜ちゃん! もし見たらすぐ教えてね!!」


 渚君は真剣に言う。だけど、もはや返事する気も起こらない。


「ところで立花君。なんでこんな本書いたの?」


 渚君がサクッっと話題を変えた。

 私にあしらわれた時はあんなにうなだれていたのに、この替わり身の早さは何? あのうなだれは演技でもしつたのだろうか。


「はぁ? んなもん、後世の方々に『人魚』について知ってもらって、あわよくばアクアがなし得なかった人魚研究をしてもらう為に決まってんだろ?」


 渚君のあっけらかんとした顔に対し、聖亜は眉間にしわをよせ怪訝な顔で答える。聖亜に気押され気味の渚君。


「いや、でもこれ……、普通の人には見えないんでしょ?」


 そういえば、昨日渚君がこの本はあの伝説に関わりのある人にしか見えない、とかそんなことも言ってた。これもまた、おとぎ話だけど。


「あぁ、そっか。わり。ライティスが知るわきゃねぇよな……」


 聖亜は頭をガシガシ掻きながら言った。



 なんでも、この本を書いたことが何故か人魚にもバレて呪いみたいなものをかけられたんだとか。そこでアクアが使用人とかを使って調べたところ、どうやら人魚を知らない人には見えなくなったらしい、とわかった。

 そこでその本にこのことを書き足し、いつか呪いが解けるか、呪いの影響のない人が現れることを期待した。のだけども、これもまた呪いの効力なのか。更に書き込むことが不可能になっていた。よって、敢えて手放すことで、いつしかこの本が誰か人魚を知っている人に渡ることを祈ったそうな。


 そしてここからはリアの話。

 本当は本自体をなくしたかったらしいのだけど。あまりにも遠くから呪いをかけたものだから効果が薄くなって。人魚に関わりのある人、既に本の存在を知ってる人には見える様になってしまった……、と言う。


 ……なんだか、どんどん現実から離れて行くのですが……。

 聖亜とリアの言葉に、渚君はただうなづくだけ。


 もう、嫌だ。




 それから私達は帰路に着いた。夕方だけどまだ暑い、夏の初めの太陽が照りつける。渚君と聖亜は何やら昔の思い出話、ライティスとアクアの話で盛り上がっている。


 そうだ。思い出した。

 昨日渚君との図書館に来た帰り、渚君は消えた。あれは、何だったのかな。学校では、遂には聞けなかったけど、聞いてしまおうかな。


「な、渚君」

「ん? 何? 明日菜ちゃん!」


 恐る恐る口を開いた私に、嬉しそうに渚君が答える。目を輝かせて振り向く姿は、なんとなく犬を連想させる。


「あのさ、昨日の図書館の帰り……、渚君。


 消、えなかった?」


 思いきって口に出した。渚君はは軽く目を見開く。聖亜は怪訝な顔をして、リアは平然と。


「消えたって、渚。あの力使ったの?」


 なんとなく沈黙したところに、最初にメスを入れたのはリア。

 『あの力』? どういうこと……?


「あ、うん…。

 明日菜ちゃん、気付いてたんだ。聞いて来ないから気付かなかったかと思ってたよ」


 渚君が頭を掻きながら言う。と言うことは、やっぱりホントなんだ。


「気付いては、いた。けど、『そんな馬鹿な……』って」

「そっか。まぁ、そうだよねぇ」


 渚君は苦笑い。



 「ねぇ、渚君って……、

 何者?」


 私はちょっと間を置いてから聞いた。『何者?』だなんて、少し聞き難いけど。でも遠回しに聞こうにも、言葉が見つからなかったし。

 渚君は苦笑いのまま、少し目を伏せた。


「あぁ。僕にもよく分かんないんだよね」

「分かんない?」

「うん……。

 この力に気付いたのは4才ぐらいだったかな。なんのためにある力なのかは分かんないけど。僕なりの解釈では」


 渚君はおもむろに私の前に立った。そして、私の目線に合わせて前屈みになり、ニコッと笑う。


「君を守るため」


「はぁ?」


 少し間を置いてから、私は反応出来た。物凄く怪訝な反応。

 また、何を言ってるの? この人は。なんで私が、渚君に守られなくちゃいけないの?


「いや、前世ではさ、僕が無力だったばっかりに科学者だの幕府だのに立ちうち出来なくなっちゃってさ。結局二人で子ども残して心中みたいになっちゃったからね。今度こそちゃーんと君を守れる様に!」

「な……っ」

「ねっ」


 渚君はニコニコ顔。何故だか、逆流を始める私の血液。赤く染め上がる顔。動悸までも駆け足をし始めた。

 何、赤くなってるの、私。何をドキドキしてるの、私。


 そして、渚君の言葉に反論するリア、呆れ返る聖亜。渚君へと言うよりも、渚君の言葉に変な反応を見せる私自信に混乱する私。というゴタゴタの中、又も渚君は消えていた……。

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