表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/38

お土産選び

大阪最終日。最後にお土産を買おうってなって、俺達は大阪駅中のお土産コーナーに居た。


まさやんはかなりの数の土産を買いこんでいた。


「え、そんな買うの?」


「あー、まぁ部活の奴らに買うってなるとさー、皆に行きわたるようにってなると数買わないとだから」


「あー、ね?まさやん偉いわー」


「偉くねえって。とりあえず消え物で数買ってごまかすみたいな感じだろ」


そうだ、俺も野崎にお土産を買わないと。家のは……まぁ適当に食いものでいいだろ。

野崎のも食いものでいいかな?いや、でも食ったら無くなるから、何か形で残るもんの方がいいの?あれ、でもそれだと何買えばいいかわかんねえ。っつうか面白い!ってならなそう。別に面白くなくてもいいんだけど。


「……ノブは中村さんに何買うの?」


そうノブに尋ねると、にっこにこ笑いながらこっちに近寄ってくる。


「俺は昨日阪急で買ったよ。中村さんにバトンドール買ってきてって頼まれたから。でも

いろいろ美味しいそうなお菓子あるし、もうちょっと買うかも」


「え、中村さんのお土産って一個じゃねーの?」


「……一個じゃないといけないの?」


天才か。俺に一条の光が指す。天啓か。そうだよ、別に一個じゃなくて良くない?


「ノブは伊達に眼鏡じゃないな」


「それ褒めてないからね」


そうだよ、買いたいもの買えばいいじゃん!金に余裕があるうちは!!

えーっとまず?家用、あーあとクラスの奴、石田とかにも何か買ってくか。

後は、よっちゃん。別に美雨に言われたことが気になってるわけじゃないけど、よっちゃんには日ごろお世話になってるしなぁ。何がいいんだろ。よっちゃん甘い物好きだったっけなぁ。


土産コーナーを回っていると、ビリケンさんのストラップが置いてあるのを見つけた。

うわ、これよっちゃんに買ってあげよう。ビリケンさんは幸運の神様っていうし。

まぁ、よっちゃんはいつもにこにこ笑ってるし、幸せそうだけど、別に幸せになるのに上限とかいらないもんな。買い物かごにビリケンさんを一つ入れる。


あ、野崎。野崎にも買ってやろう。絶対うっすいリアクションするだろうな。俺自身あんまストラップを付けた事が無いけど、確か野崎のスマホにもストラップの類は一切ついてなかったはずだ。でもまぁ、大阪行ったって分かりやすいし、お守りみたいなもんだから悪い顔はしない……と思う。たぶん。ストラップをもう一つ掴んだところで、ちょっとだけ迷って、自分の分も手に取った。せっかくだし。


でも何かしっくりは来ない。お土産選びってこんなんでいいのかな。こんなんだったら、何買ってくればいいか聞いておけば良かったわ。まぁいいや、後は大阪っぽいお菓子も買って渡そう。ノブの言う通り、別に一個じゃなくていいんだから。数撃ちゃ当たるじゃないけど、何か色々買えば野崎の気に入るもん一個位あるだろ。とりあえず甘い奴。あとはしょっぱい奴。ここら辺押さえとけば間違いないはず。俺はぽいぽいと菓子を買い物かごへ入れていった。


「あれ、れいちゃん意外に買うね」


自分の買い物は終わったらしく、ぶらぶらしていたツトムに声をかけられた。


「ツトム、お土産はさ。……好きなだけ買って良いんだよ!!」


めっちゃ力を入れてツトムに天啓を授ける。ツトムは俺に尊敬の念を禁じ得ないな。


「うん」


「えー!?うんって!!」


「いや、その通りだよ。れいちゃん大丈夫?」


「ええ……」


ツトムはそのままどこかへ行ってしまった。え、すげえ恥ずかしい!!何だよ!!


何かすごい寂しくなったので俺はさっさとレジで会計を済ませて店を出た。既に皆買い物は終わっていたらしく、合流する。


「れいちゃん買い過ぎじゃない?」


ノブに突っ込まれる。


「……いや、何か必要かなってなって」


「帰り大変だろそれ。バッグに入りきらないんじゃない?」


まさやんも結構買ったみたいだけど、呆れ顔でこちらを見ている。


「何かさっき『ツトム、お土産は好きなだけ買っていいんだよ!!』とか言ってめっちゃ笑顔だったよ」


「ワーーーーー!!!」


思わず叫ぶ。


「……最終日のお土産コーナーでテンション上がっちゃったんだな」


「……ごめんねれいちゃん、俺が余計な知識与えなきゃ……」


まさやんもノブもまったく笑わないでそんな事を言ってくる。え!?何!?俺がお土産いっぱい買うのダメなの!?


「何!?そんなにダメ!?いいじゃんいっぱいあった方が喜ばれるでしょ!?」


俺がムキになって反論すると皆はめっちゃ優しい表情で笑った。


「……喜ばせたかったんだなぁ、れいちゃん」


「うん、喜んでもらえるよ、きっと」


何!?お土産買いこんだことがそんなに大層な事!?何この空気!!


「カミヤレイ、スナオナキモチ、ダイジ」


「ポポに用はねーよ!!」


両手が塞がっていたので俺はそのままツトムに体当たりを食らわせた。

ツトムは目を見開いたまま微動だにしなかったので逆に俺が吹っ飛んだ。ちくしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ