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サムライ達がカラオケにいくとどうなるの?

結局、昨日はギルドの皆と延々と狩り続けた。んで、何とか皆がまとまった数の『魂の欠片』をゲットすることが出来た!!ランダムゲットにしたけど、結局トータルで出た数を人数で割って皆で分けた。パーティーを組んだからなのか、それとも単純に狩り効率の問題なのか、ギルメンでした夜の狩りはドロップ率が好調で、皆が2個ずつ『魂の欠片』を拾って狩りはお開きになった。


本当は、今日も朝から『ジェネシス』をやろうと思ってたんだけど、昨日の夜にメールがまさやんから来てて、どうやらノブもツトムも今日は空いてる日らしく、午前から遊ぶことになった。俺らはほとんど、っていうか俺を除いて運動部なので、言うほど夏休みは遊ぶ機会が無さそうだ。二つ返事でまさやんとノブ、ツトムに返信する。ちょっと迷ったけど野崎にもメールをすることにした。別に今日も午前から一緒に狩りをするって約束をしたわけじゃないし、かなり迷ったけど。


『おはよう!今日は、まさやんたちとカラオケ行くわ!野崎の話聞いてたら行きたくなった』


実際この短さのメールを作るのにマジで10分位かかった。我ながら引く。しかもかかった時間の割りに内容薄い。野崎からしたら聞いてねえよ!!って話だよなぁ。でも何かなぁ・・・。言わないのもなぁとか思っちゃうのは何なんだろう。ええい、ままよ!!


送信ボタンをクリックしてから、二つ折りの携帯を閉じたり開いたりしながらゴロゴロする。さ、そろそろ着替えないとな。


クローゼットを開いて何を着ていこうか迷っていると携帯がブルった。拾い上げてメールを読む。


『おはよー!いいな、私もどっか行こうかな』


当たり前のように返ってくるメールに若干の戸惑いを覚えながらも何故かほっとする。いや、いくら俺でも女の子にメールする位は・・・。あ、俺のメルアド知ってるの女子は野崎とよっちゃんだけじゃん。俺はその事実に落ち込みながらも着替え始めた。







<><><><><><><><><><><><><><><><>


待ち合わせの場所に着くとすでに皆集まっていた。手を軽く振りながら合流する。


「ごめん、待った?」


膝を少し曲げて息を整え、急いで来ました感をアピールする。


「ううん、今来たとこだよ?」


まさやんが小首を傾げながらにっこりと微笑んだ。ノブとツトムが顔を伏せたのを見て内心うんざりする。まさかの集合早々のネタ振りですよ。


「あ、ホントに?・・・じゃ、行こうか」


「うん♪」


まさやんの肩を抱いて歩き出す。数歩進んでたまらず叫ぶ。


「・・・いや突っ込めよ!!!!!!!」


「ごめん、余りにもいい雰囲気だったから」


「付き合ってまだ1週間のカップル感がすげえ出てたから」


お前ら真顔じゃねえか!!こいつらホントやだ!!


「ほら、礼ちゃん早く行こう?」


まさやんがしなを作る。えーーーー!?まだ小芝居続いてんの!?


「いやー礼ちゃん羨ましいわー!!」


「ほんとほんと!!俺もボランチポジションの彼女欲しいわ」


「需要がニッチ過ぎるだろ!!」


ぐっだぐだのままいつものカラオケ店へと到着する。とりあえず3時間にしておく。何故か壁にかかっているレンタル用のチャイナ服やメイド服を眺めながら店内を進んでいった。

今日は当たりのようで、4人なのに10人用くらいのパーティールームに通された。


「・・・っしゃあああああああああああああ!!!!!!」


「夏休みじゃああああああああああああああ!!!!!!!!!」


「ああああああああ!!!夏!!!!!!!夏ああああああああ!!!!!!」


部屋に入って扉を閉めた瞬間にタガが外れたようにテンションが上がる。


「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


4人でせっせと部屋の真ん中にあるテーブルを隅へ移動させる。部屋の中央にスペースを作ることは俺達のカラオケでは欠かせない。


「・・・あ、すいません、コーラを4つおねがいしまーす」


落ち着いたまま店員さんへ注文をするツトム以外のメンバーはすでに完全にスイッチが入っている。


「・・・ああああ。あああああ。ああああああああああああ!!!!」


電モクを持ちながらまさやんが生まれたての小鹿のように足をプルプルと震えさせる。


「まさやん!?どうした!?」


「ああああ。あああああ」


電モクを俺らに見えるように向けてくるまさやん。


「・・・充電がぁ・・・足りてなぁい・・・」


「・・・ひぃいいいいいいいいいい!!!!」


「うわああああああああああああああああああ!!」


「あばばばばばばっばばばばばば」


全員で生まれたての小鹿になる。


「まぁ取り替えて貰えばよくね?」


「うん」


「確かに」


「ね」


ノブの一言で一瞬にして全員がスマートに立ち上がった瞬間に、女の店員さんがコーラを持って部屋に入ってきた。あと数秒遅ければ生まれたての俺達を目撃されるところだった。

店員さんはテーブルを退けて部屋の中央に固まる俺らを怪訝な顔で一瞥した後、「ご注文のコーラになりまーす」と言いながらテーブルにコーラを4つ置く。「すいません、これ充電切れかかってるんで、替えてもらっていいですか?」と頼み、店員さんに電モクを託す。


突然の来訪者によってテンションを適正値まで下げた俺達は、電モクを待ちながら無言でコーラをすすり続けた。暫くして店員さんが新しい電モクを持ってきてくれた。店員さんの気配が無くなるまでしばらくコーラをすすり続ける。


「・・・っしゃ!!」


まさやんの叫びを合図に皆がテンションを戻し始める。


「まぁ、とりあえず!!一曲目入れるわ!!!」


まさやんの選曲で一曲目を入れる。


「じゃあ行くぞ!!せーの!!」


「「「「じゃんけんぽん!!ぽん!!」」」」

 

「はい!ノブから!!」


「時計回り!?」


「そう!!」


「おっけ?行くぞ!!!」


裂帛の気合を入れる。と同時に部屋の真ん中で円陣を組む。今日はノブからのスタートだ。

俺らのカラオケは始めから普通に歌うことはまず無い。画面に出る歌詞を一人ずつ歌い、マイクを回していく。サビは基本皆で大合唱だ。その間は直前まで歌っていた人間がマイクを持ち続ける。そして、最後にマイクを握っていた者が負け判定となる。まぁ、負けっつってもだから何?って聞かれるとすげえ困るんだけど。イントロが流れ始めると同時に俺達はぐるぐる回りながら踊りだす。歌の間は止まっても負けだ。とにかくバカになる。それがルール。


歌いながら踊り狂う。手を叩きながら合いの手を入れる。これが最高に楽しい。まぁ最初からこの勢いだと、後半は目も当てられない状態になるんだけど。あ、でもあんま騒ぎすぎるとお店に迷惑だから、防音が効いてる範囲内で留めて置くのがポイントになる。結局一時間半強、俺たちは踊り続けた。


「・・・もう、動けないわ」


「俺部活並みに疲れてるんだけど」


「ちょっと休憩入れようよマジで・・・」


全会一致を見せた提案により、場はしばらく静寂に包まれる。


「・・・はい、『似てない物まね選手権』~!!」


「休憩短いなおい」


「・・・まさやん生き急ぐなぁ」


まさやんがおもむろにタンバリンをたたき始める。


「はい!!じゃあーまずは礼ちゃんから!!・・・えー、ケイン・コスギ!!」


「はぁ!?」


「はい、3、2、1!!」


「大丈夫、君なら出来るよ!!ファーイト♪一発♪」


「あ、可愛い!!」


「礼ちゃんセーフ!!」


『似てないモノマネ選手権』は似てない物まねを延々と繰り返すゲームだ。若干似ている物まねをしてしまった人が出た瞬間に終了となる。ここで重要なのは、似てない=面白くない、では駄目だということだ。似ている物まねが笑いを誘うのは当たり前のこと。けれど、似ていない物まねは場を冷めることにしか繋がらない。そこをあえて似ていない物まねで笑いへ繋げることが出来れば、ある時ふいに物まねを強制される場に放りこまれても、怖がることなんてない!!俺達は誰と戦っているんだ。


俺は何とか自分の順番をパスし、ツトムへ繋げる。


「次!!宮崎あおい!!」


「森ガールっすか?いやー自分、海派なんで」


「宮崎あおいはそんなこと言わねえよ!!!」


「うん!!悔しいけどセーフ!!」


「はい、次!!ケンタッキーフライドチキンのカーネル=サンダース!!」


順番の回ってきたノブは一瞬表情を曇らせたが、すぐに立ち上がり、両手をひじの部分から挙げてポーズをとる。


「傘立てにも、なるよ!!」


「店頭の人形じゃねーか!!いや、置くなよ!!」


「判定は!?」


「んーーーーーー!!!まぁ、セーフ!!」


「はい、次!!品川庄司の庄司!!」


「ミーーーーキティーーーー!!!!!」


「はい、若干似てるからアウト!!」


「えええー!?」


今日の罰ゲームはまさやんに決定だ。


「いや、えーーー!?今の似てた!?」


「割りと。あとよくよく考えたら、まさやんの彼女の名前もミキちゃんだし・・・」


「それは今関係なくない!?」


アウトになった奴に待っているのはもちろん罰ゲームだ。罰ゲームって言っても場を締めるボケをさせられるだけで、うんまぁ結局はボケさせられるんだけど。


「ちょっとごめん時間くれる?」


「何が」


「目・・・瞑って・・・くれる・・・?」


まさやんが上目づかいで媚びてくる。


「いいけど!普通に言ってくれよ・・・いや、むしろそれは彼女に言えよ・・・」


「ちょ、まさやんもう一回言ってくれる?」


「ツトムは何のスイッチが入っちゃったんだよ」


まさやんの言うとおり皆で目を瞑る。渋々って感じで目を閉じつつもツトムもノブもニヤニヤしていた。目を瞑らせることは自らハードルを上げることにも等しい。俺達の期待は嫌でも高まっていく。


「・・・っしゃ!!」


暫くして聞こえたまさやんの気合の一言を皮切りに皆で目を開ける。


「ええーーーーーーーーーー!??」


まさやんが腰に手を当てて仁王立ちしていた。最高の笑顔で。


「すげえ!!はっぱ隊の葉っぱが無い人みたいになってる!!」


「つーか全裸じゃん!!まさやん!!さすがにそれは駄目だ!!」


「やってやった!!」


「やってやったじゃねえよ!!上手いこと言えてないからね!?」


「やって!!やった!!やって!!やった!!」


「跳ねんな!!履けよまず!!」


一瞬で満面の笑みを曇らせたまさやんは寂しそうにトランクスを履き始めた。


「ほんと俺らだから友達続けるけどマジでギリッギリだからな!?」


若干の説教タイムによりどんどん服を着始めたまさやんはようやく現代人レベルまで戻ってくることが出来た。やんちゃ過ぎる。


「・・・つーか・・・歌わね?」


至極全うなツトムの提案により残りの1時間は穏やかな時間を過ごしたのだった。


パソコンがフリーズして1時間分の作業が吹っ飛んだ怒りを込めてみました。

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