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予言者の募集1

この作品を見ていただきありがとうございます。

スマホを見ても、何も変わらないのはわかっていた。

けれども彼女は、一通のメールを見つめ続けていた。


件名「1次面接の結果についてのご連絡」


この先は見なくても分かる。

結果が良かったら「2次選考についてのご連絡」や電話での連絡がくるはずだ。

「明日隕石でも振ってくれないかな?」


私は大学4年生で3月には卒業してしまう。

しかし、現在 12 月で就活二十連敗中の私に内定先などない。


周囲で内定を持っていない人はごく少数で、後は内定先でマウント合戦をしている。

しかし、私は内定を持っていない。

その為、日を追うごとに焦りが募る。


「どこかいい企業無いかな?」

そう思いながら、就活サイトをスクロールする。

そうしているうちに、いつの間にかSNSを見て、時間が過ぎていく。


気づけば、時計の針は6時5分を過ぎようとしていた。

「そろそろ、家に帰らないと」、そう思いかばんに荷物を片付け、大学を出た。

大学から家まで歩いて約 30 分かかる。

家に帰る途中で、喉が渇いたためかばんの中にある飲み物を取り出し、キャップを開けたが中身は空っぽだった。

その為、仕方なく約5分歩き、最寄りのコンビニに到着した。

そして、コンビニでミネラルウォーターと肉まんを購入し、そのまま出ようとした時に張られていた一枚のポスターに視線が移った。


そのポスターにはAIのようなイラストとともに「予言職・大募集!!!」と大きく書かれていた。

そのポスターはダサく、胡散臭いと思いながら一応、募集している会社名を確認した。

ポスターの右下に「警視庁」と書かれていた。

自分は疲れているんだと思い、一度目をこすり、瞬きをした後再度確認したが、同じであった。

どうして、こんなものが張られているのか、いったい何がしたいのか理解が追い付かなかった。


家に帰った後も、夕食を食べている時も、お風呂に入っている時もポスターのことを考えていた。

なぜかって?私は、簡単な予言をすることができるからである。


一日一回だけだが、これから起こることに関連するものを3個、頭の中で浮かべることができる。能力は自分のタイミングで発動することができるが、予言の内容は自分自身で決めることはできない。


まあ、難しいかもしれないから簡単に説明すると。

家から出る時に、能力を使うと「車」と「看板」と「水」が頭の中に浮かび上がる。


最初の「車」は、私が信号のない横断歩道を歩くときに猛スピードで車が走ってきて、横断歩道の前に止まって、クラクションを鳴らされた。あれは理不尽だよね。

次の「看板」は、いつも歩いている道路が工事されていて、通れなかった。その工事しているところに、「工事中」と書かれていた看板が置いてあった。だから、遠回りするしかなかったんだよね。

三つ目の「水」なんだけど、歩いていると突然天気が暗くなって、土砂降りの雨が降ってきた。おかげで大学の講義はびしゃびしゃで受けたんだよね。


これが私の能力。まあ使いづらいし、社会では他の能力の方が必要とされているのが現状だ。

言うなれば、炎や水、風、雷などの王道の能力が社会では必要であり、他の能力は正直邪魔だと思われている。そういう経緯もあり、就職活動では自分よりもいい能力が使える人が採用される。


私は警視庁の選考を受けるかどうか迷っていた。

今から公務員試験をしても遅い、体力が無い。

落ちるのではないか。

そんな不安ばかりが頭をよぎる。


しかし、予言は私ができる唯一のものである。

だから、一度だけでも選考を受けてみようと思った。

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