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1.プロローグー1ー

孤独令嬢、滅亡前に愛を知る

ぜひ読んでみてください。

「すまないが君とは婚約破棄させてもらう。我が家に出来損ないはいらないんだ。」


「えっ…」

つい、驚きの声が出てしまったのも無理はない。

私、アンジュ・シームーンはパーティーの途中で、突然婚約破棄を告げられた。

このパーティーは私たち国立星河学園の生徒の卒業を記念して開催された物で、貴族の子息子女はみんなここに集まっている。

そんな中、私の婚約者が突然公の場で婚約破棄を私に告げたのだ。周りの人たちは、もちろん私たちに注目している。だが、驚いた顔をしている人は誰もいなかった。つまり、みんな私がこうなることを知っていたのだ。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


私は普段いじめられていた。

とはいえ、貴族が集まる学園であからさまないじめがあるわけではない。例えば物理的な距離をとられたり、会話をしてくれなかったりするだけだ。しかし、たったそれだけが辛かったのだ。


授業では特に他の人と話すようなことはなかったから、先生たちは気付かなかった。いや、もしかしたら知らないふりをしていたのかもしれないが。



なぜ、こうなってしまったのか、それには理由がある。


私の婚約者も言った通り、私が()()()()()だからだ。

"出来損ない"というのは決して自分を卑下しているわけではない。実際私は、運動も無理、魔法も無理、勉強も無理なのである。


ということになっている。だが、実際私は勉強()()は得意である。それ以外は本当に無理だが。


なぜ、勉強ができないふりをしているのか。


忘れている人が多い、いやなかったことにしている人が多いが私は14歳の時のテストで全ての教科満点で一位をとったのだ。しかし、学年で一番爵位が高い公爵令嬢がそれを快く思わなかったようで、私を無視するように言い始めたのだ。


そこで私は、次のテストから、少しずつ点数下げていっていじめられないようにしたのだが、今度は「前回のテストの時はインチキしたのではないか」と、噂を流し始め、私はさらにいじめられるようになった。


その次のテストからは、良い点数をとるとインチキしたと思われるのではないかと思い、低い点数をとり続けた。そのため、私は低い点数をとるしかなくなってしまったのだった。


それが積み重なり、「出来損ない」といじめられていたのだ。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


婚約破棄が告げられた後は、気まずくてパーティーの場に残ることができず、私は家に帰ることにした。





家に着くと私は自室に直行した。

婚約者と仲が良かったわけではなかった(むしろ悪かった)が婚約破棄は流石に精神的に辛かった。泣きはしないが。



しばらくして気分転換に散歩をしようと部屋を出た時、私の母が外出から帰ってきた。

廊下で鉢合わせしたが、母は私が帰ってきていることに驚き...はせず、「今夜、あなたに話があるわ」と言い、去っていった。


(ああ、母も私が婚約破棄されることを知っていたのだな)

と思った。

しかし、婚約破棄するのには互いの両親の許可が必要なので、母が知っていても不思議ではないのである。


私は両親と仲良くなかったが、決して悪かったとは思わない。だからこそ、私が婚約破棄されることを知っていたのに教えてくれなかったのは悲しかった。

婚約破棄されることを教えてもらえないくらい、仲が悪かったのだ。

(ああ、仲が悪くないと思っていたのは私だけだったんだ。)




そして、夜。いつも通り家族別々で夕食を食べた後、私は父の書斎に呼び出された。そこには母もいて、重たい空気だ。なかなか、話始めづらかったが、無言の時間を過ごすわけにもいかず、私は切り出した。


「何か御用ですか。お父様。」


「わかっていることだろう。」


父は一度、大きなため息をついてから言った。


「お前が婚約破棄されたことだ。それも、多くの貴族の前で、だ。」


「そのことは誠に申し訳ありません。私の力不足でした。」


「婚約破棄されて、申し訳ないで済むことではないんだよ。」


そこでこれまで黙っていた母が話し始めた。


「残念ながらあなたみたいな出来損ないは我が家に必要ないわ。昔は勉強だけは何とかできていたのに、今はなにもできない。しかも、学園では浮いた存在になっていたらしいわね。」


私は否定できず、無言でやり過ごした。


「そんなわけで、お前は貴族として不適合ということから、我が家系から除名することになった。」


「えっ。」


(そんな。確かに出来損ないだけど、除名されたらどうやって生きていけば...。)


「そして、明日の朝、王都から我が家の領地の一つである辺境のサルディアに行ってもらう。」


「王都だと、学園の人たちに会うと気まずいでしょ。だから、学園人たちに会う可能性が1番低いサルディアを選んだの。サルディアまではちゃんと馬車で送ってあげるから、安心してね。」


流石にそんなことは予想しておらず、私の頭は真っ白になった。


その後すぐ、私は自室に戻り、必要最低限の物だけを鞄に詰め込んだ。宝石の類は売ったら金になるが、庶民が持っていたらおかしいので置いていくことにした。まあ、そもそもそんなに持っていないが。


私は準備を終えてすぐ、今日1日で精神的に大分疲れていたため、すぐに眠ってしまった。




次の日の朝。太陽が昇り始めたのと同じくらいの時間に私は起こされて、あっという間に馬車に乗せられた。


見送りは誰もいなかった。


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