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なろうラジオ大賞3

助手に憑りつかれたサーファー気取りの男

掲載日:2021/12/27

 目を覚ますと白衣を着た男が立っていた。

 名前を聞くと「平山です。助手をしています」とだけ答える。


 冷静に警察を呼ぶことにした。

 しかし、彼らにその男は見えないようで、異常者扱いされる。


「言ったでしょう、無駄だと」


 男は冷静に言った。


 ようやく俺は、ヤバイ奴に憑りつかれたと気づく。

 こいつは幽霊だ。




 それから数日。

 俺は普段通りの生活を送る。


 愛用するサーフィンを車に乗せ、都内のスタジオへ。


 モデルたちと一緒に写真を撮ってSNSに上げるのが日課。

 というか、仕事。


 これをやるだけで金が稼げるのだから、良い時代になったものだ。


「海へ行かなくてもいいのですか?」


 平山が言う。


 こいつはどこへ行こうと付いてくる。

 車に乗ろうが、電車に乗ろうが、同じ速さで並走するのだ。


「ああ……別に行く必要はないだろう。

 どうせ俺、泳げないし」

「今からスイミングスクールに通っては?」

「はっ! ばかばかしい!」


 今更そんな無様な真似ができるか。

 週刊誌に写真を撮られて以来、ナイーブになっていると言うのに……。


 俺はスタジオの備品であるプールサイドチェアに寝転び、天井を見上げる。

 まばゆい照明が太陽のように輝いている。


 本当にこのままでいいのか……。


 平山に憑りつかれてから、少しずつ今の自分を疑問に思うようになった。




「はぁ……はぁ……」

「ようやく5メートル泳げるようになりましたね」


 何を血迷ったか、俺は水泳の練習を始めた。

 都内のプールで小学生に交じり特訓をしている。


 コーチはもちろん平山だ。


「落ち着いて呼吸をしましょう。

 同じ動作を繰り返せば必ず泳げるようになります」

「ああ……分かった」


 一緒にプールに入った平山がアドバイスしてくれる。

 奴は水中でも白衣を着たままだった。




 数か月後。

 泳げるようになった俺は、ついに海へ行った。


 サーフボードをわきに抱え、鈍色の海を眺める。


「さぁ……いよいよ本番ですよ。

 心の準備はよろしいですか?」

「ああ、行ってくるよ」


 平山が見守る中、俺はサーフィンに初挑戦する。

 波には一度も乗れなかったが、手ごたえを感じる。


 陸へ戻ると、人だかりができていた。


「すげー! サーフィンしてるよぉ!」

「週刊誌のアレ、嘘だったの?」

「マジで本物ジャン!」


 面白半分で写真を撮る野次馬たち。

 もう何も気にならない。


 平山の姿を探すが、見つからなかった。

 おそらくだが……彼は俺の未練を姿に現した存在だったのかもしれない。


 今までありがとな、俺はもう一人で大丈夫だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ついに波に乗ることが出来たようですね。 嘘が本当になってよかったです。
[良い点] あの陸サーファーがついに! 前の陸サーファーの話がなければ、なんだか良い話のような気がします笑
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