表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/109

60.未知の正体

更新頻度下がってしまってすみません!


 予想外の結果に私は困惑する。

 錬金術による解析は、含まれる成分を割り出し認識する。

 作った料理を食材や調味料に戻しているようなもので、食材の種類を知らなければ理解できない。

 それと同じことではあるのだけど、今回のケースは極めて珍しい。

 私にわからなかった、という部分だけじゃない。

 わからなかった素材の種類が全くわからない。

 食材なのか調味料なのかすらわからなかったんだ。


「わからないならもう一度解析してみたら?」

「……そうだね。残り二つあるし」


 シズクの言う通り、残っている二つも順番に解析してみる。

 しかし結果はかわらず。

 他の素材は明確にわかるのに、一つだけ何なのかさっぱりわからない。


「何なんだろうこれ、さっぱりわからない」

「それを分解して調べられないの?」

「無理なんだ。分解にも段階があるから」


 錬金術による分解は、今ある物質を一つ前の状態に戻す。

 料理を材料には戻せるけど、それぞれの材料をさらに分解して解析は出来ない。

 今回の場合、未知の素材が何なのかすらわからないから、見附で分解することも難しいだろう。

 悶々と悩んでいたところにトーマ君の声が響く。


「ただいま」

「トーマ君」

「ん? どうしたんだ? 難しい顔して……何かあったのか?」

「えっと、実は……」


 戻って来た彼に事情を説明した。

 彼は頷きながら聞き終わって、話をまとめるように言う。


「つまりはアメリアも知らない何かが素材になっていると。それがわからないと作れないってことか」

「うん」

「なるほどな。こういうケースもあるわけだ。難題だなまったく」

「そうなんだよね……そうだ。村の人たちはどうだったの? スライムのこと」


 実はそっちも気になっていた。

 あんなに近くにモンスターがいることを、村の人たちは知らなかったのか。


「それなんだけどな。近隣にスライムが出現することは知ってたみたいだ」

「知ってたんだ」

「それを私たちに教えなかった?」


 ちょっぴり怒ったような口調でシズクが言う。

 言い方的には、私たちを騙したのかと問いかけているようだった。


「そう怒るなシズク。スライムが出現することは知っていたけど、最近は近くに現れなくなったらしい。川辺で見つけたって伝えたら驚いてたよ」

「……そう。なら良いけど」

「いや良くはないぞ。スライムとは言え魔物だしな。戦えない人間からしたら恐怖の対象だ」

「そうだね。駆除しておく?」

「時間と数次第だな。あんまりかかるなら王国に報告を――」


 二人がスライムの対処を話す中、私は一人別のことを考えていた。

 思い出していたのは、氷漬けになったスライムだ。

 なぜかひっかかる。


「トーマ君、ちょっと良いかな?」

「ん?」

「そのスライムがいなくなったのっていつからか聞いた?」

「聞いたぞ。キッパリこことわからないけど、川の氾濫が起こった後くらいから減ったらしい。村の人は川に流されたか嵐に吹き飛ばされたと思ってたみたいだ」


 つまりタイミング的には、水の岩が出来たのと同じ。

 未知の物質、一時的にいなくなったスライムたち。

 凍ったスライムと、私が知っているスライムの性質……


「もしかして……そういうこと?」

「アメリア?」

「どうしたの?」

「わかったかも! 水の岩が出来た理由!」


 疑問と疑問が、点と点が繋がった感覚がある。

 まだ予想で確信には遠いけど、そうなんじゃないかという期待が胸を膨らませる。


「本当か?」

「うん。それを確かめるために出かけよう! 二人とも協力してほしいから」

「協力はするけど何を? どこへ?」

「川辺! スライムを探しに行くの!」


 意気揚々と宣言した私に、二人ともキョトンとした反応を見せる。

 私は二人に仮説を話しながら川辺に向かうことにした。


「なるほどな。それで俺たちに協力か」

「うん。一応使えそうな物は持ってきたんだけどね。痺れ薬とか、睡眠薬とか。効けば簡単に捕まえられるし」

「出来なかったら凍らせればいいのか?」

「うん。その時はお願い。凍ったままでもすぐ分解すれば解析できるから」


 私が予想した未知の成分、それはスライムだ。

 スライムは身体は半分液体で半分は固体。

 そのほとんどは水で出来ていると言われている。

 また証明されていない仮説として、スライムには自分で水を作り出す力があると言われている。

 自身の身体を守るため、形状を保つために、そういう能力があるのではと。

 

 水の岩は川の氾濫の後に出来上がった。

 その後からスライムの数が減っている。

 加えて水の岩には、水を作り出し放出する性質がある。

 仮説に仮説を重ねた曖昧な意見だけど、これが正しいんじゃないかと自分は思う。

 スライムの身体なんて調べたことがないから、私が知らなくて当然だ。

 自分の知識の外にある物である。

 その一点が、曖昧な仮説を真実のように思わせる。


「川辺付近より、川を越えた奥のほうがいるかもな。もしくは川の上流か」

「さっきのも流されてきたのかもしれないね」

「シズクもそう思うか? じゃあ上流を目指してみよう。アメリアもそれで良いよな?」

「うん! 二人ともよろしくね」


 二人が頷く。

 私の仮説を確かめるため、そして村の人たちを安心させるため。

 二つの理由を一緒に果たせる。

 一石二鳥なスライム退治の始まりだ。


ブクマ、評価はモチベーション維持向上につながります。

現時点でも構いませんので、ページ下部の☆☆☆☆☆から評価して頂けると嬉しいです!

お好きな★を入れてください。


よろしくお願いします!!


次回更新は年明けになります。

皆様良いお年を!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿しました! URLをクリックすると見られます!

『残虐非道な女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女の呪いで少女にされて姉に国を乗っ取られた惨めな私、復讐とか面倒なのでこれを機会にセカンドライフを謳歌する~』

https://ncode.syosetu.com/n2188iz/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

第一巻1/10発売!!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000

【㊗】大物YouTuber二名とコラボした新作ラブコメ12/1発売!

詳細は画像をクリック!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000
― 新着の感想 ―
[一言] まあ想定通りな流れですね〜
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ