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エルハイミ‐蛇足編‐  作者: さいとう みさき
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ユーベルト編その一

エルハイミのその後を覗き見る蛇足編です。

ティアナの転生者を見つけた後の日常を垣間見てみましょう!



 ユーベルト編その一



「ねえ、エルハイミきて‥‥‥」


 シェルが頬を赤く染めうっとりとしながらあたしの首に手を回して来る。

 ふわっと香るシェルの香り。

 それは清々しい森の香りでもある。


 あたしは言われるままにシェルの上になる。



 * * * * *



「とまあこんな感じでバッチこーぉぃぃいいっよ、エルハイミ!!」



「いきなり何を言っているのですわ!?」


「あ~、シェルの奴またおかしくなってきたわね? 春だから?」


「あらあらあら~、シェルちゃんとエルハイミの子供って何時になったら見れるのかしらねぇ~」



 エムハイミ事シェルと行動を共にしているあたしは今実家であるユーベルトに来ている。 


 ここは今エルハイミ教の総本山と言う事で元ファーナ神殿があった場所が統一化と言う名の下に女神教と言う名になりつつある。

 そしてそのご神体として祀り上げられているのがあたしだったりもする。


 ただ実際には今のこの見た目十五、六歳の姿ではなくあたしの実年齢の二十三歳くらいの大人の女性像で女神様やっているので通常のあたしの姿を見ても誰も騒がなくなってきた。



「ところで姉さま、他のみんなは今どこにいるのですか?」


 カルロスが神殿から戻って来てあたしに話しかける。

 今カルロスは神殿の護衛騎士としてユミナちゃんと住み込みでそこにいるのだけど何か有ると実家に戻って来ていろいろと相談に来ている。

 あと何年かしてユミナちゃんが成人したら結婚をする約束らしい。

 一応ユミナちゃんには聞いていたけどまだ手は出されていないとか。


 あたしとしてもいきなり「おばさん」になることは無いらしいのでちょっと安心している。



「エルハイミの私はティナの町でサティアと一緒ですわ。エスハイミの私は今はベイベイの街にいますわ。そちらにはコクたちが一緒ですわ」


 あたしはママンからソーセージをもらって喜んでいるセキを見ながらシェルの妄言を戒める為にほっぺたをムニムニと引っ張っている。


「ひたぁひぃぃいいぃっ! もうゆろひてぇ~!!」


「うわぁ~いたそぅ~」


 マリアがその様子を見て身震いしている。


 全く、その都度戒めないとシェルはすぐにとんでもない事ばかり口ずさむので困る。

 まるであたしが見境なくシェルを襲っているかのようにだって聞こえてくる。



「そうですか‥‥‥では今の姉さまに手伝ってもらうしかないですね?」


「はいっ?」


 あたしは思わずシェルのほっぺたを離す。

 そしてカルロスを見る。



「シーナ商会から近々連絡は来ると思いますが、エルハイミ教を女神教と改名していよいよ実質一神性にすることを宣言する必要が有るのですよ」



 その話については実はライム様からアガシタ様の意向という事で連絡が来ていた。


 一応他の女神様たちにも了解を得ていてアガシタ様は引退して体を治す事を優先するという事になった。

 あの異界の悪魔の神と戦った後遺症と言う事らしいけどどう考えても丸投げしてきたとしか思えない。


 だけど師匠との約束もあるし、何よりあたしとサティアの輝かしいイチャラブの未来を作り上げる為にはこれ以上ごたごたを無くす必要がある。


 なのでそれを成し得る方法としてこの世界の根底に存在する女神様を統一して次世代の女神であるあたしがこの世界を導くという事で話が進んでいた。


 勿論最初はお断りしようとしたのだけど、冥界の女神セミリア様にイオマやショーゴさん、そしてティアナの魂転生に対して口利きをしてくれるという約束で仕方なしに引き受けた。


 ただ、一番の問題はその冥界のセミリア様の輪廻転生システム介入するのにあたしが直接会いに行く必要があるというのだけど、あの引きこもりの女神様ってどこにいるのかが分からない。


 どうも天空の月が重なる時に冥界の門が開くという風に言われているけどちょっと違うようだ。

 アガシタ様の話では精神体として会いに行く事は出来ても生身の体で直接冥界に行った事が有るのは何とご先祖様ただ一人であるらしい。


 なのでここが終わったらご先祖様を探す旅に出なければいけないのだった。 



「うーん、そうなると早い所終わりにしたいですわね?」


「姉さまが女神様をちゃんとやってくれればすぐに終わりますよ。あ、僕の希望としては少し露出気味の衣装でお願いします」


 まったく、この弟は自分の欲望に正直だ。

 あたしが女神様の姿になると大人の魅力あふれる超ナイスバディ―になるのでその都度カルロスは「目の保養」とか言って露出の多い衣装を望む。



 まさかこの子ってば姉に欲情しているのじゃないでしょうね?



「カルロス、あまりそう言う事を言っているとユミナちゃんに言いつけますわよ?」


「いやいや、姉さまは分かっていない! 信者の皆さんだってせっかくの姉さま降臨なんですから、そのすんばらすぅぃい姿を見たいじゃないですか!!」


 なんか違うよな気もするが、確かにあたしが露出多めの衣装で降臨すると信者の皆さんは真面目に話を聞く。



 一体どう言う事なんだか。



「ああっ! 女神姿のエルハイミも良いわねっ! そのまま抱かれたいわっ!!」


 シェルがまた余計な事を言う。

 カルロスは苦笑しながらその話を聞き流すけど全然応えていないシェルは後でお仕置きね?



「まあそう言う事で姉さまには準備してもらって欲しいのですよ」


「ふう、仕方ありませんわね。日時が決まりましたら教えてくださいですわ」



 カルロスは分かりましたと言って立ち上がるけど去り際にしつこく「露出多めで!」とか言って行ってしまった。




 後でユミナちゃんに告げ口してやろうと思うあたしだったのだ。



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― 新着の感想 ―
[気になる点]  シェルの痴女っぷり……悪化してね?(白目) [一言]  多分、サティアがティアナだった頃の記憶を思い出す前に、既成事実を作りたくて必死になっているんだろうけど。
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