野球部エースでモテモテの兄貴は、ベンチメンバーの俺に負けたことが悔しかったみたいで
俺は晴れてユーコと付き合うことになったのだが、当然、兄のユーヤに睨まれた。
お家デートのとき。
ユーヤはガチでユーコに詰め寄っていた。
家の廊下のところでユーコ相手に壁ドンしていた。
何しろ、兄貴の為ではなく、
俺の為にユーコの奴は胸の開いた黒いトップスに赤いミニスカートと、お洒落を決め込んで来てくれたのだから兄貴的に余計に面白くなかったんだと思う。
「なんで、おまえの彼氏が俺じゃなくて弟のほうなんだよ、どうして野球部エースの俺じゃなくてベンチメンバーのユーマなんだよっ!!」
「おかしいだろーがよ!?」
「いつだって、俺の方が弟よりモテてきた!
バレンタインのチョコの数だって、
俺は40個貰うのに、ユーマは0個なんだ!
母親と、ばあちゃんくらいしか、ユーマときたら貰えないんだ!!」
赤裸々に語る俺の兄貴。
全て真実だった。
ユーコは淡々と兄貴の前でこんなことを語ってくれた。
「私ね、縁の下の力持ちをしてる男の人が好きなの。例えば、日の当たる芸能人やモデルみたいな仕事をしてる人よりも、油塗れになってる
機械工や工事現場で額に汗して働いてる男の人がカッコいいなって思うの」
「現に、私のお父さんは大工だしね...」
「真っ黒になって火に焼けてて、見た目は
そんなよくないけど。
私は、すごく尊敬してる」
ユーヤは壁から手を離した。
「変わってんな...」
ボソリと呟いてユーコから離れ、
逃げるように家から出て行ったのでした。
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