ルオナ修復開始
カンカンと一定のリズムが響く鍛冶場で、アレルとダンカイはルオナを部品ごとに並べていく。
「なるほど。あのネズミがそんな大事につながってるとはな」
「誰かが竜器を造ろうとしているのは間違いない。けど、この世界で竜器を打てるのは俺と親父だけだ」
「それで、次点がケンカイとシンカイか?」
ダンカイは伸ばした髭をガシガシと撫でる。
「あぁ。ダンカイたち三人は、いずれなれるだろうと親父も言ってたからな」
「それはうれしいが、これは二人を早急に見つけなくてわな」
アレルは、ルオナの刀身を持ち上げると、炉にかざす。徐々に紅に染まっていく様は、夕焼けのように美しい。
「ルオナの記憶が残っていれば、何か手掛かりはあるはずだ」
そういって、炉から離した刀身を置き、フォルンを振り下ろし打っていく。キィンという高温が鳴る。ダンカイはその姿を見つめた。フォルンを振るアレルを見て、心底あの戦争が終結してよかったと思う。フォルンを敵相手に振り下ろすアレルは、いつだって辛そうだった。今は、我が子をバラバラにされた怒りはあれど、鍛冶のために槌を振れてどこか顔がほころんでいる。
「ワシは外にいよう。いままで調べたことを纏めておく」
「あぁ、頼んだ」
アレルはダンカイに頭を下げ、ルオナの修復へと戻っていく。段階が鍛冶場の外に出ると、手で顔を扇いでいるシーラを見つけた。
「な、なんであんたが……」
「ん?あぁ!あなたはあの時のドワーフ!」
気づいたシーラが、段階を指差す。こちらはこちらで、何か因縁がありそうだ。
ダンカイが、エグザヘイムで与えられている部屋で、今までの調査をまとめている。なぜかそれについてきたシーラが、本棚を興味深げに眺めている。
「なかなかの書物量ですね」
「まぁ、そうですね。個々には半年滞在する予定でしたし」
「敬語じゃなくていいんですよ?」
「竜族の族長の孫娘にそれはちょっと……」
「今は、アレルのお役目についてきてるだけですから」
「はぁ……そういえば何故ついてきてるんです?お役目は円卓からの任命が必要なのでは?」
「随伴者は自由に選べますから」
ダンカイが書類に目を通しながら、シーラと会話していく。シーラが本棚の本を無作為に取り出す。
「ん?この本って?」
ダンカイが、シーラの持っている本に視線が向く。
「それは、錬金術に関する書物ですね。四季書記と呼ばれているもののそれは確か……冬だったかな?」
「この国の宝物庫から盗まれたシリーズと一緒ですか」
シーラの言葉に、ガタっと立ち上がる。
「四季書記がこの国にあったのですか?!」
「そう聞いてます。確か盗まれたのは、春の書らしいですが」
「春の書……なるほど。アレルの言ってたことが現実味を帯びてきましたね
「アレルの言ってたこと?」
シーラが首を傾げ、ダンカイを見る。
「ケンカイとシンカイが今回の一件にかかわっているかもしれないというものです」
「四季書記が関係あるのですか?」
「わが国では、四季書記には暗号が隠されているというのが通説なんです。暗号の解読には四季書記の春夏秋冬をすべてそろえる必要があるともっぱらの噂なんです。ケンカイもシンカイも暗号解読に躍起でしたから」
シーラが、難しい顔をしながらペラペラとページをめくっていく。
「その暗号解くと何があるんです?」
ダンカイは得意げに鼻を鳴らしながら答えた。
「神の作り方だそうですよ」
シーラは思わず、本を落とす。落ちた本の開いたページは、竜の素材についての解説が、狩られる竜の絵と共に載っていた。
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