戦後の再会
二人の熱い抱擁が終わったあと、二人は近況を語り合っていた。
「なるほどな……じゃあムンドの奴ら黒竜は全滅か……」
「いや……邪竜大戦に参戦してた竜達だけだ。他は……分からない」
アレルは沈痛な面持ちで、窯で燃え盛る火を見つめる。あの血なまぐさい、残酷な同族同士の殺し合いを思い出した。自分たちに、自爆の術式まで刻み込んだ黒竜。自分を庇い死んだシン。今でも生々しく思い出すことができる。
「まぁお前が生きていてよかった。唐突に行方不明になって驚いたぞ」
「大戦時、あんなに世話になったのに何も言えずすまない。竜器を配ったことで、俺自身が戦争の火種になりそうだったんだ」
「竜器は力の象徴。圧倒的武力であり、その力を保有する国は百年の栄華が約束される……だったか?」
「竜器にそんな力は無いさ。そもそも使い手がいないと起動すらしない」
「それを知らん連中が多いんだよな」
ダンカイは、頭をボリボリと掻く。
「それ【ルオナ】だっけか?その竜器」
「あぁ、リオンの竜器だ」
アレルの視線は、汗を拭いながらドリトと共に鍛冶場を見て周ってるリオンに向けられた。
「ずいぶん若いな」
「ルオナが選んだからな。それよりダンカイ、ケンカイとシンカイはどうしてる?」
アレルが上げた名前を聞いたダンカイは、目を丸くしすぐに遠くを見るように大きく息を吐く。遠い昔を思い出すような声音でダンカイが口を開いた。
「二人は行方不明だ」
アレルが目を見開く。
「なにがあったんだ?!」
「分からん。戦争終結後、俺たちは変わらず鍛冶仕事をしていたんだが、二人が姿を消した。大量の黒竜の素材と共にな」
「竜の素材と?」
「そうだ。あの対戦ででた大量の竜の素材は、ドワーフ族が集め、竜族に返すことになっていた。その素材が根こそぎ消えておった。同時に消えたのが、ケンカイとシンカイだ。あの二人は、各国にも協力を要請して指名手配中じゃ」
「なんで犯人扱いなんだ」
「ケンカイもシンカイも竜器を、造りたがってたからな」
「でも、大量の竜の素材をどうやって……」
「それはワシにも分からん。だが、ワシがこの国に来たのは、家事指導もあるがこの国でケンカイらしい人物の目撃情報が出たからだ」
アレルが難しい顔で考え込む。ダンカイ、シンカイそしてケンカイの三人は邪竜大戦時、アレルの竜器作成を手助けしてくれた。といっても竜の素材の加工はアレルがやっていた。それを三人とも熱心に見入っていたのを覚えている。三人とも、ドワーフの里に所属する鍛冶師でも指折りの職人だ。そして、過去ドワーフが、竜の鍛冶師になったという前例が存在する。アレルの頭には、亜神から出てきた竜器のかけらが浮かぶ。あれは誰が造ったのか……その疑問の答えが見えた気がした。
「ダンカイ。もしかしたら二人は今回の事件にかかわってるかもしれない」
「事件ってあのネズミ大量発生のか?」
「詳しくちゃんと話す。頼む、協力してくれないか?」
アレルの言葉にダンかいが胸張り、ドンッと勢いよく叩く。
「お前と俺の中だ!もちろん良いぜ!」
その声は、騒がしい鍛冶場であっても良く響いた。




