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プロローグ2

新井が消えたところを目撃した3人は、未だ目の前で起きた事を理解できていなかった。いち早く我に返った皐月は、残された新井の荷物を持って、交番へ向かった。事情を必死に説明するも、変な光に同級生が飲み込まれたなんて話を、警察が信じるわけもなく、こういうイタズラは良くないと説教まで食らってしまった。その日はそれぞれ家に帰り、皐月は食事もとらずに、部屋のベットに入りうずくまる。


「あれは何?新井君はどうなったの?」


自分の同級生に何が起こったのか分からない恐怖が体を浸食していく。止まらない悪寒を打ち消すように頭まで布団をかぶる。



 皐月が新井に何が起こったのか分からないまま、登校すると言い知れぬ違和感があった。新井が消えた現場にいた他の二人も登校してきており、その顔色は優れない。違和感が何なのか分からないまま、挨拶を交わし、それぞれの席に着く。しばらくして、坂本たちがやってきた。教室を見回して、新井がいない事を確認すると、ゲラゲラ笑い始めた。


「アハハハハハあいつ、ついに引きこもりじゃん!カワイソー」


何が面白いのか3人は顔を合わせて思いっきり笑う。そこに、HRの鐘が鳴り、担任の眼鏡をかけた女教師が入ってくる。女教師は悲しそうに話し始める。


「みんなに残念なお知らせがあります。ご両親のお仕事の都合で新井君が転校しました」


その言葉に、固まる皐月と、下品に笑う坂本たち。


「ギャハハハあいつ逃げてやんの」


皐月はそんな笑い声も気にせず、教室を去る担任を追う。


「先生!」

「皐月さん、どうしました?」

「新井君はどこに?!」

「ご両親の仕事の都合で海外だそうです」

「そうですか……」

「皐月さん、新井君はいじめが原因で転校したわけではありません。仮にいじめが原因だったとしても、それはあなたの責任ではありません。いじめていた、坂本君たちとそれを止めきれなかった学校側に責任があります。あまり、思い詰めないようにしてください」


皐月の方に手を置き慰める。


「そろそろ授業が始まります。教室に戻りなさい」


そう言って、女教師は去っていった。皐月は肩を落として教室に戻り、先ほどの違和感の正体に気づいた。新井の席が無くなっていたのだ。その光景がもう新井はここにはいないという事実を皐月に突きつけた。



 タワーマンションくらいの大きさのある樹木や、緑豊かな広大な森。吹き抜ける風の匂いは澄んでいて、吸っていて心地が良い。明かに地球ではない場所で、新井は現在ドラゴンの背に乗っていた。新井を乗せたドラゴンは真っすぐ飛び続ける。ドラゴンの口が三日月に裂け、まるで笑っているようだ。心なしか楽しそうなドラゴンに新井が話しかける。


「予定より早くない?」


恐ろしいドラゴンに対し、まるで友人に話しかけるようになれなれしく声をかける。


「事情が変わったのだ」


威厳に満ちた低い声が返ってくる。


「事情?」

「それは、神々からお話があるだろう」

「そっか、ていうか、何?その喋り方」

「威厳をもたせようかとおもって。どう?」


先ほど固い話し方ではなく、砕けた話し方に変わる。


「普通の人間からしたら、威厳はあるかも。でも、お前の親父さんほどじゃないな」

「そんなぁ」


ドラゴンと気軽に会話する新井には、地球にいたころの無表情では無く。年相応の笑顔があふれる。


「帰ってて来てくれて嬉しいよ。里のみんなも心待ちにしてる」

「そっか。本当ならあと5年は向こうにいる予定だったんだけどなぁ」


そんな事を言っていると前方に、空に浮かぶ、巨大な浮島が見えてきた。浮島には緑が茂り、天高くそびえ立つ山。その光景をみて、新井はより笑みを深める。


「3年ぶりだな!竜の里!」


思わず大声で叫ぶ。その叫び声を聞いて、ドラゴンが笑う。


「おかえり!アレル!」


ドラゴンは新井をアレルと呼び、竜の里へとはばたき飛んでいく。



最後までお読みいただきありがとうございます!


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