旅の仲間
街道を歩いているアレルと人化したシーラ。シーラの足取りは、スキップでもしそうなくらい軽い。
「何でシーラが来たんだよ」
「一緒にお役目をするためです!大丈夫ですよ、神々にも認めてもらいましたその証拠にほら」
そう言ってシーラは自分の首を指さす。そこには、絹のように白い首に金属の首輪がはめられている。
「縛り首輪か?いや、それにしては……」
「縛り首輪であってますよ。今の私は、人の尺度でそこそこ強いというレベルです。なので、人間の
実力者と戦うと苦戦すると思います。それに、一般人でも二十人以上になれば、勝つのは厳しいです」
「相当きつい縛りだな」
トムはまじまじとシーラの首輪を見る。本来のシーラは、竜の里でも竜王に次ぐ力を持っている。その証拠に、アレルの地球での暮らしを見て暴れた際には、武を司る神を戦闘不能にまで追い込んでいる。そんなシーラが人の尺度で中の上程度までに下げるには、並大抵の拘束具では不可能だ。アレルはそれを可能にしている首輪が気になり、構造を解析しようと首輪に手を伸ばそうとする。
「そんな見つめられると恥ずかしいです」
頬を赤く染め、両手を頬に添える。アレルは伸ばしかけた手を瞬時に引っ込めた。
「そうか、神々が認めたなら俺がとやかく言うべきじゃないな。それに、シーラがいてくれたら、俺も心強いよ」
アレルは屈託のない笑顔をシーラに向ける。それを見たシーラの目にハートマークが浮かぶ。
「任せてください!戦闘以外にも身の回りの世話とか!特に身の回りの世話とか!」
「お、おう」
ズイッとシーラはアレルに顔を近づける。思わずのけぞったアレルがバランスを崩し、倒れそうになる。しかし、アレルの体は柔らかい物に支えられ、倒れる事は無かった。見あげると、後頭部が埋まったたわわな双丘の間から、見慣れた赤髪が見える。アレルを抱きかかえたのは、人化フォルンだった。民族衣装のような服に身を包み、しっかりとアレルを抱きかかえる。その姿をみて、シーラは笑顔のまま、額に青筋が浮かばせている。
「フォルン?アレルに近すぎるんじゃない?」
「いえ、創造主様を護るのは私の大切な役目ですので」
二人とも笑顔だか間を流れる空気はギターの弦のように張り詰めている。
「まぁまぁ二人お供落ち着けって」
アレルが二人を宥め、人型になったフォルンも含め、快晴の空の下、三人で街道を歩きだす。
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