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第79話 強襲揚陸艦薩摩②

その男性はツカツカと足音も軽やかに、休めの姿勢で立つ私とパティの前に現れた。ここは第869特殊任務群の旗艦である強襲揚陸艦薩摩の艦橋。部隊が出動する際には任務群の司令部ともなるらしいです。


「気を付け!」


私達をこの艦橋まで案内してくれた男性士官が号令をかける。その現れた男性は片手を上げてそれを制すると、私達は再び休めの姿勢となった。


「俺がこの第869特殊任務群の司令である青木大佐である。君達二人の優秀なパイロットを無事救出出来事は僥倖であった。君達が我々に齎した情報は大変貴重且つ有益であったぞ。」


部隊司令の青木大佐。スラッとした長身で筋肉質、そして面長のスキンヘッド。眼光鋭く、口周りから下顎にかけて髭を生やしていて、一言で言えばおっかないおっさんである。私達が伝えた情報が青木大佐にとってなのか、部隊にとってなのか大変有益だったのはいいのだけど、その恐ろしげな顔が実に機嫌良さげな笑いをたたえている事から、きっとその通りなのだろう。


「救出して下さり大変有難う御座います。つきましては原隊復帰にもお力添えを賜りたくお願いします。」


他人にお願いをするのはその人が機嫌が良い時に限る。私は青木大佐の機嫌が良い今が最善だと判断し、思い切って私達に原隊復帰、要は空母太鳳へ私達も機体も送り届けて欲しいとお願いしてみたのだ。


青木大佐は私達の原隊復帰への懇請を聞くや、うむうむと頷いた。


「無論、善処しよう。だが、その心配は今のところ無用であるな。」


「どういう事でしょうか?」


「君達の情報のおかげで奴等の巣が漸く見つかった。この情報に基づき、我が隊はこれよりJ宙域に巣食ったアム公どもを殲滅すべく作戦行動に出る。そのためクヌート宙域を含む全アステロイドベルト帯での船舶運航が全面的に停止される事となる。輸送船団もその対象となる以上護衛艦隊もその例外ではない。」


なるほど。でもそれだとその作戦行動が終わるまで私達はこの薩摩に居続けなくてはならないんじゃ…


「君達は大船に乗った気で、安心してこの薩摩で待機していたまえ。」


やはりそうなってしまうのか。原隊への生存報告も通信封鎖されるのでダメみたい。私とパティは思わずお互いに顔を見合わせてしまった。そして青木大佐の独説は続く。


「君達の戦闘機録も見させて貰った。朝倉少尉のあの思い切った宙返りからの反撃は実に見事だったぞ。後続する敵機をすかさず撃墜して朝倉少尉を守ったマツモト少尉も見事だった。二人の息が合っていないと出来ない戦技だ。君達は信頼し合った良いペアだな、ハッハッハッハ。」


青木大佐は私達を褒め上げ、実に上機嫌で大笑いすると、副官の若い女性士官へ私達を休ませるよう指示した。


「江摩中尉、彼女達の事は任せる。女性乗組員室ででも休ませてやれ。」


「了解しました。」


そして私達は青木大佐の副官である江摩真(えままこと)中尉に案内され、薩摩の艦橋を後にした。



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