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第5話 めざせ!横須賀士官学校①

私は早速、地球連邦軍士官学校の入試対策に取り掛かった。いくら軍人の娘とは言え、今まで考えた事も無かった進路であったので、大急ぎで学校の進路指導室やインターネットで士官学校の資料や過去問を集めて対策を練った。幸いな事に私は学業成績は良く、今までの模試の結果によれば士官学校は十分に合格圏内だった。また、部活動(空手道部)では副部長で、インターハイに個人組手で優勝しているから、内申や家庭環境については問題無い、と思う。


しかし、高校三年生になって部活動も引退しているから、やや運動不足は否めず、体力向上のためにランニングと筋トレを受験勉強と並行して日課にした。


学校では既に担任の原田先生に進路希望の変更を申し入れた。進学希望先を地球連邦軍士官学校へ変更し、原田先生は驚いていたけれど、「朝倉さんの実力なら今からでも大丈夫」と太鼓判を押してくれた。「何かあったら相談してね」の一言を添えて。ありがとう、原田先生。



地球連邦は " 連邦 " というくらいだから多数の "国々 " から成り立っている。そして、地球連邦の成立と共に建軍された地球連邦軍は、人類史上で最も巨大な軍事組織となり、同時に大量の士官が必要である事から、世界中に複数の士官学校が存在している。


地球連邦の成立は、誤解を恐れずに言えば、第三次世界大戦の結果であり、その戦勝国が主要な構成国となっている。従って敗戦国の出身者が士官学校に入校する事は非常に困難となっているそうだ。


早い話、敗戦国にはそもそも士官学校が存在しないから、入ろうにも入れないのだ。しかも、敗戦国の国民、若しくは出身者は現在も地球連邦政府の監視下にあり、事実上敗戦国の国民は士官学校から締め出されていて、地球連邦軍の将校への道は閉ざされているのだ。


これは、第三次世界大戦から200年近く経つ現在にあっても、地球全土に核ミサイル攻撃(その大半は撃墜若しくは発射前に破壊されたが)と無差別テロ破壊工作により世界各地で大量虐殺を行った敗戦国とその国民、出身者は憎まれ続いているといえる。


話が逸れてしまった。それで、私はNー1コロニー群の軍事コロニーに住んでいて、私は日本連合(第三次世界大戦前に日本国と台湾共和国、それに南太平洋諸国により成立した同君連合)の国籍になるので、受験する士官学校は横須賀士官学校か軍管区コロニーにある士官学校のどちらかを選ぶ事が出来た。


私は前者である横須賀士官学校を選択した。何故かと言えば、まず横須賀士官学校は父の母校である。また、父が横浜の出身であり、今も父方の祖父母と叔母が横浜でカフェチェーンの会社を経営しているのだ。私も家族で何度か訪れて、祖父母と叔母には会った事があった。


因みに、妹の七海が受験する少年下士官学校も横須賀士官学校に近い湘南の平塚にある。二人ともそれぞれ合格したとすると、お互いが同時期に比較的近くに居られるので、実に心強いものがある。


そして受験を迎えた私と妹の七海は、受験に際して横浜の父の実家に泊めてもらう事になり、私達はNー1コロニー群の群都コロニーからの直行シャトルで日本連合のカデナ宇宙港に降り立つ。


日本の季節は秋でも沖縄は真夏のようで、陽射しが強く、スペースコロニー育ちの私達には少々キツかった。


更に、沖縄からは航空便に乗り換えて、日本連合の首都東京の羽田空港へ行き、京浜急行で横浜に向かう。


横浜駅には叔母が迎えに来てくれていた。叔母には会うのも中学2年生の頃以来だ。父の葬儀でも、流石に地球の横浜からNー1コロニー群までは容易に来る事も出来ず、横浜の父の実家からは弔電のみだった。


叔母もそうだけど、祖父母も私と七海が軍人になる事には基本反対だった。戦争で息子、若しくは兄を失ったばかりか、孫娘や姪も戦争で失うかもしれないのだから無理も無いと思う。でも、私達の気持ちも理解してくれているので、こうして協力してくれているのだろうと私は思っている。


そして受験当日。試験は私に元々合格に足る学力があった事と、出題傾向を把握していた事で、私にとってはさほど難易度は高くなく、落ち着いて受験する事が出来た。


翌日の面接はほぼ雑談のような感じ。主面接官から受験動機を尋ねられた際は、私は少々あざといとは思ったけど、父の戦死について話し、父の志を継ぎ、父の敵を討ちたいと答えた。まあ、立ってる物は親でも使えって言うしね。そして、面接官が「お父様の分もしっかり頼みますよ」と言って席を立ち、私の受験は全て終わった。合格発表は三日後だ。



読んで頂きました、有難うございます。何かしら評価を頂ければ励みになります。よろしくお願いします。

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